キャラクター設定
ログインしてすぐ、目の前には美しい女性がいた。どこからどう見ても本物の女性にしか見えない。
「<NEW WORLD NEW SENSEの世界へようこそ。」
少し機械的に、しかし、美しい声でそう言う。
「ゲームに関しての説明は省かせていただきます。分からないことがあれば公式サイトをご覧ください。
それでは早速キャラクターを作成していただきます。よろしいですか?」
目の前に「YES」という文字が浮かぶ。えっ?NOないじゃん。ならいちいち確認取るなよっ!そう思って「YES」を選択しようとするがいったいどうやって選択するんだろうと思い、質問することにする。
「どうやって選択すればいいんですか?」
「空中に浮かんでいるYESの文字を触っていただければ結構です。」
そう言われたので「YES」の文字を触ってみると、ピッと控えめな音が鳴った。
「それではキャラクター作成に移ります。まずはキャラクターネームをお決めください。」
名前を打ち込む欄とパソコンのキーボードのようなものが空中に浮いていたのでそこに「天地雷鳴」と打ち込み決定する。すると、
「そのキャラクターネームはすでに使われております。」
彼女はそう言ってキャラクターネームの変更を求めてくる。自分でいうのもなんだが、はじまってすぐにログインしたにも関わらずこんな変わった名前でかぶることなんかあるのだろうか、と思いつつ変更しようとすると、
「冗談です。そんな変わった名前で登録する方はそうそういません。」
そう言って鼻で笑われた。いやいや、失礼すぎるだろ!?しかもたんたんというから余計に腹立つし。いや落ち着け俺。そうだ、深呼吸、深呼吸しよう。
「スゥーハー、 スゥーハー。」
ふぅ、落ち着いた。危うくブチギレるところだった。いつもどおりのクールな俺は確認をすることにした。
「天地雷鳴、いいんですよね?」
「もちろん構いませんよ。」
まるで何当たり前のこと聞いてんの?みたいな顔で言ってくる。むかつくがここは我慢だ。我慢。
「では、天地雷鳴でお願いします。」
「分かりました。では、続いてキャラクターの細部変更についてですが、あまり大幅に変更するのはプレイに支障をきたす恐れがあります。あらかじめご了承ください。また、この作業はスキップが可能です。細部変更をしますか?」
随分と不親切な聞き方である。細部変更っていったい何だよっ!?大雑把すぎるだろ!と心の中でつっこむ。でもまあ、プレイに支障をきたすってことは身長の設定とか、顔の設定とかそういったことだろうと思いスキップすることにした。 今度はちゃんと浮かんでいる「NO」の文字を選択する。
「では、細部変更をスキップします。続いて、職業を選択していただきます。この中からお選びください。」
目の前に、現在選択可能な職業と、その職業の簡単な説明が浮かぶ。
<重戦士>
重量のある武器や防具を得意とする。攻撃、防御ともに優れた職業。
<軽戦士>
基本的にどんな武器でも使いこなす万能職。防具は重量のあるものを苦手とする、スピードファイ
ター。
<弓使い>
武器は弓とダガー以外使うことが出来ないが、弓とダガーに関しては大幅に補正がはいる。防具は
鎧が装備できず、軽装になる。
<魔物使い>
モンスターを仲間にすることができる。レベルによって使役できるモンスターの数が変更される。
武器に関してはほとんどが苦手武器で、杖や棍はそこそこ。防具は軽装。
<盗賊>
軽戦士にほぼすべてにおいて劣る。だが、トラップを仕掛けたり、投擲に補正がかかったりと細か
い作業が得意だったりする。武器はダガーと投げナイフに大幅に補正がかかる。防具は軽装。
<白魔道士>
回復魔法専門の魔道士。防具は軽装で、杖のみに補正がかかる。
<黒魔道士>
攻撃魔法専門の魔道士。防具は軽装で、杖のみに補正がかかる。
<錬金術師>
生産職。アイテムの錬金ができる。戦闘は不得意。
<鍛冶師>
生産職。金属を使ったアイテムの生産、強化を行える。戦闘能力もそこそこ。
<裁縫師>
生産職。布や糸を使ったアイテムの生産、強化を行える。戦闘能力は皆無。
<ランダム>
ランダムで職業が選択されます。約1パーセントの確率で上級職になります。
基本職だけで10個もある。だが別になにがいいというこだわりもない俺は<ランダム>を選択する。
「<ランダム>でよろしいですか?」
そう聞かれた後、空中に<YES>の文字が浮かんだのでそれを選択して先に進める。
「生産職か戦闘職かをお選びください。」
せっかくゲームをするのに、あまり爽快感のなさそうな生産職はえらばず、戦闘職をえらぶ。
「それでは、戦闘職のランダムを開始します。」
その後突然、ポンと音がなって目の前に大きめのルーレットが現れる。
<ルーレット開始する>を選択しルーレットが始まった。目にも止まらぬ速度で回り始めたルーレットは10秒ほどたって、スピードを全く落とすことなく突然止まる。
「えっ!?ちょっとひどくない!?普通ルーレットって徐々にスピードがおちてきて最後にはハラハラ
ドキドキするもんでしょっ!」
つい独り言を言ってしまうほどショックだった俺の心情は放置され、突然大音量で音楽が流れる。何が起きているのか理解できていない俺を放置しつつ、話は進み衝撃の事実が伝えられる。
「おめでとうございます。上級職<シーフ>が当たりました。」
彼女がそう言って微笑む。一瞬驚きで声がでなかったが、すぐに理解し嬉しさがこみあがってきた。
<シーフ>
熟練の<弓使い><盗賊>であれば転職できる職業。防御面は全職中最も悪いが、器用で素早い。
武器はダガーと投げナイフ、そして弓。防具はかなり軽装。
「まさか上級職が当たるなんて。」
こらえきれないニヤニヤをどうにか抑えようとしつつ、俺はそう呟く。
「それでは、続いてステータスの振り分けをしていただきます。与えられたステータスポイントをご自
由に振り分けてください。」
いまだに全く気持ちの整理がついていない俺を放置し、さらに話は進んで、ステータス振り分け画面が現れた。
ステータスポイント20ポイントの振り分けをしてください。
HP: ステータスポイント1で5上昇します。HPがなくなればプレイヤーは死亡します。
MP: 魔法を使用する際に消費します。ステータスポイント1で5上昇します。
体力: 走ったり、武器を振るったりすると消費します。体力が少なくなれば動きが鈍くなります。
力: 物理攻撃力に影響します。
魔力: 魔法攻撃力に影響します。
器用さ: 生産に大きく影響します。武器をうまく扱いやすくなったり手先が器用になります。
身の守り: 物理防御力に影響します。
素早さ:武器を振る速度、移動速度に影響します。
精神: 魔法防御力に影響します。
運: クリティカル、ダメージ軽減が起こりやすくなります。状態異常にかかりにくくなります。
<シーフ>が当たってすっかり調子に乗っていた俺は、すべてのステータスポイントを素早さにつぎ込む。
「この振り分けでよろしいですか?」
俺は迷いなく<YES>を選択し、先に進める。
「それでは最後にスキルの選択をしたください。」
スキル一覧が現れた瞬間つい驚きの声をあげてしまう。
「まじっ!?多すぎだろ!」
それから30分以上かけてスキルをえらんだ。とんでもない数のスキルから俺がえらんだスキルは<ダガー> <隠密> <投擲>の3つだった。
「最終確認をお願いします。」
天地雷鳴<シーフ>
スキル <ダガー> <隠密> <投擲>
ステータス
HP 5
MP 0
体力 3
力 2
魔力 1
器用さ 20
身の守り 1
精神 1
素早さ 20(+20)=40
運 1
最終確認を終えた後、俺はチュートリアルをとばした。
「それでは、<NEW WORLD NEW SENSE>の世界を存分にお楽しみください。」
俺は<シーフ>を引き当てたことに対する満足感を感じたまま光に飲み込まれた。




