表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Guilty judge  作者: 六甲寺
5/8

紀之元 晴久 7月16日 24:00 開戦-0-

■■

7月16日 24:00 晴久の部屋


――ブブッ――ブブッ


 なにやら振動音が聞こえる。


「ん…………あ?」


 寝ぼけながらも周りを見渡す。


時刻はちょうど24時この辺りの住宅街の皆様は恐らく眠りに付くてあろう時間帯。


若干、眠い頭を軽く振り、叩き起こす


「えっと…確か部屋で飲んで、バカを縛り上げて、そのまま寝たんだったか…。」


 見渡すと洗わないで放置していた皿が目についた、ひとまず水に浸けておこう


――ブブッ――ブブッ


にしてもさっきから鳴っている振動音が気になる。


どうやら、ケータイではないようだ、考えながらもキッチン向かう途中玄関先に目が行った。


いつの間にか直されていた鍵も気になるが、それ以上に玄関先に置かれた振動するダンボールの方が異様なまでに気になっていた。


 受け取った覚えはない、恐らく俺が寝ぼけて受け取ったか、アパート管理人のババアが鍵を直してる途中に届いたもんだから俺の部屋に放置してったんだろう。


まぁ前者は絶対考えられないので答えは一つだが。


 さて本題に戻ろう、このダンボールに覚えはない、通販でもないし、親からの仕送りでもない、そしてダンボールから響く振動音。


「爆弾じゃ…ねぇよな…」


 最近宅配便を利用した爆弾魔のニュースを見たような、などと思考しつつ恐る恐る全く見覚えのないダンボールに手を伸ばす。

万が一開けて中身が爆弾だったら桐谷に頼んで分解してもらおう。

もしタイマーか何かが付いていた時は即刻扉を開けてアパートの外へ投げ捨てよう。

最悪開けた瞬間爆発した場合諦めよう。


と覚悟を決めて開けたが、中身はなにやら黒い物体だった。


「なんだ…?これ」


 と手に取ってみる、黒い艶のあるボディで見ようによってはケータイのようにも見える


何気なくいじってみるとなにやら中央に緑色の丸い円が浮かんだ。


何気なく、その円に指を置いた瞬間。


「いっ!!?」


 突然、親指に信じられない程の激痛が走った。


いきなりの激痛につい謎の物体から手を離す。床に落ちた黒い物体は複数回ランプが点滅した後、沈黙した。どうやら機械的な物らしい。


「あ…ぐぁ……」


 指に走った激痛は腕を伝い頭まで浸食してくる、数分間頭をかき混ぜるようなよくわからない激しい痛みが指先の神経から脊髄を駆け抜け、脳を食い千切りに掛かる。


「ぐふっ…ぐっ……!!」


 痛みのせいか視界は揺れチカチカとスパークしている、やがて全身の全ての感覚がじりじりと麻痺し意識が飛びかかった瞬間


「ッ………!!は…?」


突如として元から何事も無かったかのようにいきなり痛みが止んだ。


「なんだったんだよ…今の…」

 などと呟き機械を拾う、全く反省せず再びいじくり回す。すると今度は画面が浮かび上がった。


画面には〝M〟とだけあり、少し眺めていると音声が流れてきた。


『この端末を手にした皆様、おめでとうございます。貴方には特別な力が身に付きました。


そして、皆様方にはその力を使いこれからゲームをしていただきます。


皆様存分に楽しんで下さいませ。』



 そこで音声は途切れた。


「………は?」


 なんだこれは、殺し合いがどうとか言ってたが…まさか新手のイタズラなのだろう、と思いながらスルーしようとするが。


「だが…もしも、これが本当なら…。」俺は立ち上がり右手を直ったばっかりの扉に突き出してありったけの力を込める。


「はぁぁぁぜろぉぉぉ!!」

 と扉に向かい全力で叫ぶ。


すると扉はメキメキと音を立てまるで紙粘土の如くグニャグニャにねじ曲がり跡形もなく吹き飛んだ。もちろん妄想の中でだ、実際の所扉はピクリともせず相変わらず佇んでいた。


「ですよねー………」


 たった一人でこんなことしている自分に虚しさが一気に込み上げてくる、そしてなんかどことなく裏切られた感がある。

更に「ドンッ」と上の階から床を叩く音が聞こえた。どうやら上の部屋の爺さん起きてたらしい。


「はぁ…何やってんだろ…」


 急にアホらしくなり黒い機械、恐らく端末的な物をベッドの上に置き、ほったらかしにしていた皿を洗いベッドに横たわる、性懲りもなく端末をいじくると画面に光が灯った。


画面には青っぽい背景に『メッセージが届いています』とだけ表示されている、どうすればいいのか一瞬迷い表示されている文字を押してみた、一瞬身構えるが、特に何もなく画面が変わる。



「えーと…なに?ゲームの説明?」


 現れた黒っぽい画面にはなにやら白い文字でズラズラと書かれていた。


===========


この端末を手にした皆様へ。


※この端末を起動した皆様方はその時刻をもってゲームのプレイヤーとして参加されていただきます。

途中退場は認められませんのであしからず。



==

これより皆様はその身に宿った新たな力でゲームに勝ち抜いていただきます。


皆様のご健闘心よりお祈り致します。


==

〔ゲームの説明〕


初めに

このゲーム期間中、皆様は美咲市を離れることはできません。

ゲーム期間中、皆様は限りなく存在しない者としての対応をされます。

ゲーム期間中、こちらから物質や資金の支援を行います。


①『罪』能力について

これより始まるゲームには皆様に新しく宿った特殊な能力が最大の武器となります。

この特殊能力は皆様が犯した何らかの罪をモチーフとさせていただきましたので、今後この能力を『罪』と呼称させていただきます。ここでの罪とは一般的に『法律、道徳、教義に反した行い』に加え〝才能〟や〝トラウマ〟などもカウントさせていただきます。

『罪』を使用すると他のプレイヤーはそれを知覚する事ができます。

この『罪』は人それぞれです、各自の『罪』の内容については後ほど別にメッセージを送らせていただきます。


②ゲームのルール

このゲームの中では皆様の持つ『罪』は最大の武器となり、同時に皆様の命となります。

皆様には自らの『罪』を使い、同じ『罪』を持つプレイヤーに『裁き』または『罰』を与えていただきます。


②追記1『裁き』について


『罪』は皆様が犯した何かしらの罪をモチーフとしたものです。

その罪を『罪』から導き出し宣告する事で、相手に『裁き』を与えることができます。『裁き』により裁かれたプレイヤーは『裁き』の炎で身を焼かれ、その時点でゲームオーバーとなります。


②追記2『罰』について



『罰』とは単純に、相手を死に至らしめる事で成立します。

相手を絶命させる手段には制限をしません。




③ゲームの対戦方式と期間について


このゲームは期間を決めさせてはいただきます、そしてその期間内に二つの対戦方式で闘っていただきます。


③追記1サーチアンドデストロイ


こちらの対戦方式は、期間の最初にターゲットとなる相手の情報が端末へ送られますので、それを元にターゲットを見つけ殲滅する事が達成目標となります。

※ターゲットは必ずプレイヤーとは限りません。


③追記2デスマッチ


こちらの対戦方式はサーチアンドデストロイでターゲットを期間内に殲滅出来なかった場合に、他のターゲットを殲滅出来なかったプレイヤーと1対1で闘い相手を殲滅したプレイヤーの勝利です。



この二つの対戦方式でプレイヤーの皆様には争っていただきます。



④ジャッジメントについて


ゲーム期間内、街中には『ジャッジメント』を配備させていただきます。

ジャッジメントはプレイヤーを無差別に攻撃します。


ジャッジメントは『裁き』を受けませんが『罰』を与えることができます。

ジャッジメントは拠点には侵入できません。

==


ルールは以上です。


追加ルールがありましたらその都度メッセージを送信させていただきます。


===========


 謎のメッセージを全て読み終えた俺はじっくりと検討した結果、ある答えに辿り着いた。


「よし、イタズラだな。」


 端末を机の上に放り投げ布団に潜り込む。最近のイタズラはかなり手が込んでいるものだ、と関心していると眠気がじわじわと迫ってきた。


「明日もバイト……………しんどいな…。」


 現時刻24時30分12秒、特にやることもないので目を閉じ、睡魔に身を委ねた。


紀之元 晴久 7月16日 24:30 開戦-0- -了-

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ