EPISODE 5 天使
生物兵器。
そう言われ、納得しかなかった。
奴等のような白い悪魔と、それを討ち滅ぼす黒い悪魔。
そして、もうひとつの悪魔が存在してしまっている。
油機というのは、化け物を作り出し、化け物だらけの世界にしてしまう悪魔の道具である気がしてならなかった。
「‥‥‥‥‥‥」
なおのこと、戦わなければならない。
そう思えるのが、星太郎という男だった。
いくらでも過ちはおこすし、いくらでも償うつもりはある。
だから、いまのうちは誰かのために戦おうと決めていた。
警察署から出てすぐに夕子が言った。
「クロベコとセキユと言ったね、それについてもこちらで調べておくから‥‥‥君は、そうだな‥‥‥できる限り戦わんでほしい」
「何故です」
「何があるかわからない」
「はは。わかりました。それじゃあ」
ギィン‥‥‥と、感覚が走った。星太郎は警察署を離れるとすぐに走り出した。白い化け物は唐突に現れる。だからこちらもいちいち挨拶なんかやってられなくなって、生垣を越えると、そのまま化け物の顔面に蹴りを食らわせた。不意打ちを受けた化け物は転がって、その隙に星太郎は倒れていた少年? あるいは少女? ‥‥‥中性的な子供を起こして、「逃げなさい」と言った。
「ウ、ググ‥‥‥ウググ、ウググ‥‥‥キタナ、クロベコ!」
白い化け物は肩を震わせるように笑いながら、ギョロギョロと黄色く濁った瞳を歪ませた。星太郎は拳を握り締めて、戦闘態勢に入った。昨日の今日で、全身は痛んだままだと言うのに、それでも奴等は待ってはくれない。だから自分もなりふり構ってられない。
「君が見たのは、悪い夢」
「エッ」
「瞳を閉じて。‥‥‥すみません、せっかくの土曜に」
黒と白の対立を、理解してくれる人というのはどのくらいいるのだろうか。誰一人としていなくても構わないけれど、けれど、それなりに頑張っている自覚はあるから、せめて邪魔はしないでほしい。
ドキッ!
化け物の蹴りが星太郎の脇腹に入るが、それをグッと受け止めて、その脚を叩き折る。白い化け物はギャアと悲鳴をあげながらも拳を振るおうとするので、そのガラ空きの顔面に拳を叩きつけた。
化け物は地面に転がる寸前で姿勢を変えて、ぐるんと腰を捻り星太郎の後頭部に、強く蹴りを叩き入れた。背骨から全身に‥‥‥四肢末端に電撃が走り、しばらく動けなくなった。
「ク、ロ、ベ、コ‥‥‥! オマエハ‥‥‥悪魔ダ! 黒イボディ‥‥‥真ッ赤ナ目‥‥‥! オマエハ‥‥‥マサシク悪魔ナンダ! ソレニクラベ、私タチハ白クソシテ神々シイ! 我々ハ天使ナノダ! 正式名称モソノヨウダ」
「あ、あんたら天使だっての。はは‥‥‥お前らのような汚い天使がいるかよ。‥‥‥だったら、相当下等な天使だな。人の形をしておられる」
「貴様!」
天使はそうして星太郎の頭を蹴り上げた。身体をよじり、次の瞬間宇宙色の閃光が走り、星太郎は意地で拳を握り振るった。天使は吹き飛んだ。星太郎は痛む身体を起き上がらせて、おそらく中学生なのだろうその子に向き直り、笑顔を浮かべながら、「警察呼んでくれ」とたのみこんだ。
その中学生はすぐに警察へ電話して、北斗夕子が出ることになった。夕子は「まさか変身してないだろうな」と思いながらパトカーに乗り込んで、すぐにやって来た。
天使はそれもお構いなしにやってくる。蹴りが向かってくると、星太郎はそれを躱して、背中に回し蹴りの要領で膝を叩き入れた。転がった天使に馬乗りになり、何度も顔面を殴り付ける。あの宇宙色の閃光が発生しないように、頭を片足で強く地面に踏みつけながらの事だった。
重たい一撃がはいると、天使は変身を解いた。
「し、辛勝‥‥‥!! 北斗さん‥‥‥こ、こいつらは‥‥‥天使というらしいです。そして‥‥‥れんじゅうは、気絶をさせると変身が解除されるので、ウーッ‥‥‥クソ‥‥‥良いですか、もし天使が現れたら気絶させんです。アッ、すいません気絶します」
四肢が震える。星太郎は倒れた。
変身しろ




