EPISODE 4 解析
警官・北斗夕子がその事を聞いた際に真っ先に思ったのは、「妄想」という二文字だった。しかし、それを察した星太郎は彼女の目の前で変身してみせると、信じざるを得なかった。
「その、怪しいれんじゅうが何らかの目的の為に人を襲っていて、本屋の事件もそれが原因であると?」
「はい、その何かっていうのはまだわかんないんですけど‥‥‥」
「そうか‥‥‥でも、なんで私に?」
「エッ、あなたが来たから‥‥‥」
「‥‥‥そう‥‥‥」
「はい。‥‥‥えっと‥‥‥その、じゃあ、俺ってもう帰っていいですか。一応帰るの遅くなると両親からの印象がちょっと」
「ああ、ありがとう。‥‥‥送っていこうか?」
「近いので、構いません」
帰宅すると、星太郎はすぐに眠りについた。明日は土曜日なので、少しくらいシャワーをしなくたって、困らないはずだ。
翌日、部屋で勉強をしていると、夕子から電話が来た。
どうやら用があるとのことで、出かける準備をしていると、そこに清子がやってきた。星太郎はジーンズパンツと
「すこしはノックぐらいしてもらいたいもんですけどね。どいてくださいね。予定があるんです」
「ど、何処行くのかな〜って。え、えっと‥‥‥二人でほら、あの‥‥‥そう、二人でどっか遊びに行こうぜお兄ちゃん!」
「はは」
鬱陶しい。
星太郎はクローゼットから冬靴を出すと、窓から飛び出した。クロベコになったせいか、ある程度身体が頑丈になっていたので、特に怪我などはしなかった。
「付き合ってられるか」
盛岡の県警に到着すると、夕子が手招きをしてくれるのでそちらに寄っていく。
「何事で?」
「君が言っていた油機とやらを解析してもらったんだが、どうやら人体の一部が使用されているらしいんだ。こう、箱の中にびっしりと人骨だ」
「‥‥‥」
星太郎は懐から油機を取り出した。
「開けてみてもいいかな?」
「エエ、これにも骨が入っていたらとんでもないので」
「ありがとう。いや、このくらいの用事なら会いに行けばよかったのだけれど‥‥‥」
「家にいなくて済むので助かってます」
「家族とは仲がよくないのか?」
「人間とソリが合わんのです」
星太郎が簡単に返すのを見て、「そうだろうな」と夕子は思った。顔を見て分かる。端正に整った顔立ちをしているけれど‥‥‥目に光があまりにもなさすぎる。これじゃあ不気味だ。言って悪いけれど、「悪人」の顔をしていると思った。
「なんです?」
「目に光がなくて悪人みたいだと思ったんだ。ごめんね」
「はは。俺が人を殺したら頼みますよ」
「ふ、不吉を言うんじゃありません」
「はは」
解析は一時間程度で終わった。
その結果、箱のなかに骨は入っていないことがわかった。
「しかし、見たことのない技術です。現代のものではありませんよ」
解析を担当した専門家は、簡単な構造を表した図をパソコンのモニターに表示して、それを解説した。
どうやら星太郎が変身するために油機のボタンを押した途端、油機から神経のものが伸びて身体機能を向上させ、箱の中で生成される「不思議なエネルギー」を液体に転換し、強化皮膚に変化させているらしい。神経のようなものの一部は体の上に突出して全身をつつみ込み、それを骨組みにして、強化皮膚が形成されているのだとか。
「変身すると服が消えるのは、強化皮膚の下に押し込まれてるだけなんです。こんな事、機械にできっこない! これは‥‥‥まるで、そうだ、まるで、バイオテロのための生物兵器だ」
「はは。ですね。‥‥‥そうならんように、気を付けますよ、せいぜい‥‥‥せいぜいね‥‥‥」




