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クロベコ  作者: 蟹谷梅次
〈前〉流星─METEOR─
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EPISODE 25 進路

 高校へ行って‥‥‥アルバイトをして‥‥‥松野ジムへ行って‥‥‥ときおり雨音と会って蕎麦を食ったりしてみて‥‥‥そういう繰り返し。

 そういう日常のなかで、あの事があってから天使が出なくなった。

 しかし、奴らはまだ生きているのだろうと確信できる。

 そういう直感というのは衰えないものだ。

 ある日、そういう日常のなかで、進路を考える機会があった。

 セキユを倒したあと‥‥‥あるいは、奴との戦いのなかで。

 自分はどういった存在になりたいのか、というのを考えた。

 色々な未来を考えた。会社員になったり、他にも、趣味を仕事にするというのもいいのかもしれない。ボクサーになってみたり。

 そういういろいろを考えていた。

 自分の未来はあるのだというのを思い出して、やっぱりもどかしい。

 雨音も中学三年生なので、進路のことを考えるのだそうだ。

 星太郎さんのいる学校に通いたいと言ってはいるけれど、「自分を主体に考えなさい」とマジトーン。

 まっとうに学生らしい悩みを、浩二に打ち明けると、彼はわからないといったような顔をした。


「将来が定まらんのなら、適当に進学でいいんじゃないか?」

「そういう適当な真似をしたくないんです」

「ふうん。偉い。お前はなにになりたいんだろうね? まだそこまで見つけられてないんじゃないか?」

「それもそうだけれど」

「難しい?」

「難しい。三橋さんはどうなさったの?」

「高卒で一旦パソコンの修理屋にアルバイトとして働きに入って、そして、機械類はある程度覚えたので、自前で発明して稼いでた」

「俺はあんたほど天才ではないんです」

「俺ほどの天才がそう何人もいてたまりますか」


 悩みは‥‥‥尽きない。

 そういう悩みを抱きながら、星太郎は生きていた。

 こういう悩みを抱きながら生きている自分はもしかしたら、過去一番で健全なんじゃないだろうかとふと思うと、足が止まった。

 そうして、また歩き出す。「どうしたもんかな」という悩みを引っさげて、年相応の子どもの顔で。ムッとして。心を力がすり抜けていく。風が流れる。日が照らす道の先に空ある。

 戦いは続くのだろうか。

 戦いをとめることはできるのか?

 自分の事を信じることはできるのだろうか?

 人の心を信じることはできるのか?

 ‥‥‥。

 ‥‥‥‥‥‥。

 できてしまえるはずだ。


「俺は滝星太郎で‥‥‥青空星太郎だ‥‥‥」


 心に「響き」がある。じんわりと反響して、えらいことになった。日に照らされて、星太郎の瞳は星のようにきらきらと輝いた。

 アバウトなことしか言えないが、これが自分のものだという認識はあった。結構はっきりと。


「やろう。‥‥‥終わせよう‥‥‥」

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