EPISODE 14 再会
平成五年。
季節は夏。
シィ……シィ……と、蝉の声のする頃だった。
カラン、とソーダ水の中で泳ぐ氷が一つないた頃、店のなかに男が入ってきた。男は高校時代の友人で、偶然の再会は、彼を喜ばせた。
男の名前は青空という奇妙な名字をしていた。
高校時代は、「愛知の中学から来ました」と自己紹介をしていたから、地方限定の名字なのだろう。地方限定の名字というのは、岩手にもあるのだろうか、と思ったことがある。
「滝! 久しぶりだなぁ、元気だったか?」
「お前こそ。いや、おまえは……元気そうだな」
「めっちゃ元気だよ」
青空要という男は、身体の強い男だった。
陽気な性格をしており、とても優しくて、彼を知る者はみんな彼に憧れを持っていた。滝大悟はそんな彼の親友だった。
警官になって暫くは忙しくて連絡を取り合う暇もなかったが、どうやら要は仕事の都合で岩手に帰ってきたらしい。
大悟は……「お互い大変そうだな」と笑った。
要も、それに乗って笑ってくれた。
二人は、紛れもなく親友だった。
連絡を取り合っていなかった時間を埋めるように、その間何をしていたかとか、そういう近況報告のような話し合いをして、解散した。
駐在所に戻って、同僚にそういう話をすると、「あんたにも友達とかいたんだね」とからかわれた。
大悟は不器用な男だった。女を好きになっても、その不器用が空回りをして、ろくに恋人もできやしない。
要と大悟は時折会うようになっていった。
お互いの時間が空いていれば、夜中でも構わないで笑い合うような話をして……そして、顔を合わせるたびに、要に怪我がある。
一度心配して、その話をすると、「なんでもないよ」とはぐらかされた。触れてほしくないことなのだと分かると、大悟はそれには触れなかった。
日に日に、怪我が増えていく。
最近は物騒で、正体不明の死体がよく出ているし、最近は物騒で、行方不明者も続出している。
要が帰ってきた時期とも一致しているから、もし、そういう事件に彼が関わっているのだとしたら……?
大悟は恐ろしくて、その場に立ち尽くした。
その日は闇の深い真夏の夜だった。
廃工場が近く、パトロールをしていた。
大きく息を吸い直し、背中に張り付くシャツをほどいて、歩き出した。道中、廃工場が近づくたびに、何かの金属音がする。
まさかなにかやってんじゃないだろうなと思い込み、覗いてみると、驚きの光景が広がっていた。
白い化け物と黒い化け物が戦いを繰り広げている。
そして、黒い化け物からは要の声がした。
『なんだ、これ』
思考が遅くなる。
『なんだ、あれ』
黒い化け物に刀が突き刺さりそうになると、大悟は思わず拳銃を放った。弾丸は偶然か、見事に刀に当たり、パキンと折れると、黒と白の化け物は同時に大悟を見た。
黒いほうがハッとして、白い化け物を蹴り飛ばすと、大悟のほうに寄っていき、「ここには爆弾があるんだ」と叫んだ。
それと同時に、爆発が起き……黒い化け物が盾になってくれたので、大悟に大事はなかった。
しかし……黒い鎧が溶けていく。
その奥から、痣だらけの要が出てきた。
「要、要……おい、しっかりしろ、おい!」




