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クロベコ  作者: 蟹谷梅次
〈前〉流星─METEOR─
14/29

EPISODE 14 再会

 平成五年。

 季節は夏。


 シィ……シィ……と、蝉の声のする頃だった。

 カラン、とソーダ水の中で泳ぐ氷が一つないた頃、店のなかに男が入ってきた。男は高校時代の友人で、偶然の再会は、彼を喜ばせた。

 男の名前は青空(あおぞら)という奇妙な名字をしていた。

 高校時代は、「愛知の中学から来ました」と自己紹介をしていたから、地方限定の名字なのだろう。地方限定の名字というのは、岩手にもあるのだろうか、と思ったことがある。


「滝! 久しぶりだなぁ、元気だったか?」

「お前こそ。いや、おまえは……元気そうだな」

「めっちゃ元気だよ」


 青空(あおぞら)(かなめ)という男は、身体の強い男だった。

 陽気な性格をしており、とても優しくて、彼を知る者はみんな彼に憧れを持っていた。(たき)大悟(だいご)はそんな彼の親友だった。

 警官になって暫くは忙しくて連絡を取り合う暇もなかったが、どうやら要は仕事の都合で岩手に帰ってきたらしい。


 大悟は……「お互い大変そうだな」と笑った。

 要も、それに乗って笑ってくれた。

 二人は、紛れもなく親友だった。

 連絡を取り合っていなかった時間を埋めるように、その間何をしていたかとか、そういう近況報告のような話し合いをして、解散した。

 駐在所に戻って、同僚にそういう話をすると、「あんたにも友達とかいたんだね」とからかわれた。

 大悟は不器用な男だった。女を好きになっても、その不器用が空回りをして、ろくに恋人もできやしない。


 要と大悟は時折会うようになっていった。

 お互いの時間が空いていれば、夜中でも構わないで笑い合うような話をして……そして、顔を合わせるたびに、要に怪我がある。

 一度心配して、その話をすると、「なんでもないよ」とはぐらかされた。触れてほしくないことなのだと分かると、大悟はそれには触れなかった。


 日に日に、怪我が増えていく。

 最近は物騒で、正体不明の死体がよく出ているし、最近は物騒で、行方不明者も続出している。

 要が帰ってきた時期とも一致しているから、もし、そういう事件に彼が関わっているのだとしたら……?

 大悟は恐ろしくて、その場に立ち尽くした。

 その日は闇の深い真夏の夜だった。


 廃工場が近く、パトロールをしていた。

 大きく息を吸い直し、背中に張り付くシャツをほどいて、歩き出した。道中、廃工場が近づくたびに、何かの金属音がする。

 まさかなにかやってんじゃないだろうなと思い込み、覗いてみると、驚きの光景が広がっていた。

 白い化け物と黒い化け物が戦いを繰り広げている。

 そして、黒い化け物からは要の声がした。


『なんだ、これ』


 思考が遅くなる。


『なんだ、あれ』


 黒い化け物に刀が突き刺さりそうになると、大悟は思わず拳銃を放った。弾丸は偶然か、見事に刀に当たり、パキンと折れると、黒と白の化け物は同時に大悟を見た。

 黒いほうがハッとして、白い化け物を蹴り飛ばすと、大悟のほうに寄っていき、「ここには爆弾があるんだ」と叫んだ。

 それと同時に、爆発が起き……黒い化け物が盾になってくれたので、大悟に大事はなかった。


 しかし……黒い鎧が溶けていく。

 その奥から、痣だらけの要が出てきた。


「要、要……おい、しっかりしろ、おい!」


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