嘆きの街道と「規格外」の盾(9)
戦いの余波で、里の入り口には黒煙を上げる魔導重機の残骸が横たわっていました。ツーダはへたり込んだまま、自分の真鍮プレートで補強された手を見つめています。
「……あ、あの……。僕のせいで、里がこんなことに……」
いつものコミュ障全開でオドオドと謝るツーダの頭を、大きなスパナがガツンと叩きました。
「痛っ!? な、なんですか……」
「湿っぽいこと言ってんじゃないよ! あの重機の装甲、最高級の『魔導鋼』だぜ? 修理代どころか、里の全設備を最新にしてもお釣りがくるくらいの素材が手に入ったんだ。むしろ感謝してやるよ」
ガラクは不敵に笑いながら、重機の残骸をさっそく分解し始めていました。彼女の目は、新しいおもちゃを見つけた子供のように輝いています。
「おい、継ぎ接ぎ野郎。あんたのその『水筒』と『知識』……いや、そのワケのわからない妄想力、もっと近くで観察させろ。この重機のパーツを使えば、あんたの体をさらに『フルカスタム』できる」
ナベが眉をひそめて割って入りました。
「お言葉ですが、ガラクさん。私たちはこれから聖都へ向かわねばなりません。お遊びに付き合っている時間は……」
「遊びじゃない。あんた、さっきの騎士を見たろ? 聖教会の最新兵器は、魔力だけじゃなく『機械』と『命』を混ぜ始めてる。今のままのツーダじゃ、次はスクラップにされるのがオチだ」
ガラクはツーダの肩から噴き出すドクダミ・スチームを指差しました。
「それに、この排熱システムもまだ不完全だ。私が同行して、旅をしながらメンテナンスしてやる。……どうだい、ライのバアさん?」
ライは酒瓶を空にすると、豪快に笑いました。
「ガハハ! 賑やかになるのは大歓迎だ。それに、ガラクの腕があれば、若造も少しは『ゾンビ』から『戦士』に見えるようになるかもねぇ」
こうして、一行に新たな仲間、技師のガラクが加わることになりました。




