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序章:ゴミ捨て場の再雇用

登場人物

ツーダ(主人公)


外見: 全身が継ぎ接ぎで、肌は腐り落ちそうなほどボロボロ。大きなフード付きのボロ布を纏っている。


特性: 不死身の「ゾンビマン」。しかし中身は極度のコミュ障で、自分の見た目が周囲を不快にさせていないか常にビクビクしている。


心の声: (……あ、あの、すみません、生きててすみません、死ねなくてすみません……)


ナベ(30歳)


前職: 没落した名門貴族の「元筆頭メイド」。


役割: 口が達者な交渉人。ツーダの「通訳」兼「マネージャー」。


実力: メイド時代の護身術(あるいは暗殺術?)が染み付いており、実はかなり強い。


関係: ツーダを「ツーダ様」と呼びつつも、完全に尻に敷いている。没落した実家を再興する資金稼ぎのためにツーダの不死身さを利用しようとする。


ライ(60歳・女性)


特徴: 歴戦の風格を漂わせる老女。重厚な鎧を軽々と着こなす。


役割: 精神的支柱であり、戦闘の師。


性格: 豪放磊落。「死なないなら、いくらでも修行できるねえ!」と笑いながらツーダを鍛え上げる、ある意味ツーダにとって一番恐ろしい存在。

湿った土と、鉄錆の匂い。 ツーダが意識を取り戻したとき、最初に感じたのは「猛烈な痒み」だった。


「(……痛い、痒い……。ああ、またアトピーが悪化したか。昨日、ポテチ食いすぎたかな……)」


重い瞼を開ける。視界に映ったのは、四畳半の天井ではなく、どんよりと曇った灰色の空。そして、自分を見下ろす一人の女性だった。


「あら。やっとお目覚めですか? 粗大ゴミにしては、少々お高い包帯を巻いているようですけれど」


そこにいたのは、汚れひとつないメイド服を完璧に着こなした、冷徹なまでに美しい30前後の女性ナベ。ナベは、手にした箒でツーダの頬をツンツンと突いた。


「……あ、う……あ、あの……すみま……せん……」


ツーダは反射的に謝った。前世で染み付いた、目立たぬよう、波風立てぬよう生きるための習性だ。だが、自分の声がガラガラと枯れた、まるで墓場から漏れ出す風のような音であることに驚愕する。


ふと自分の手を見る。 そこにあるのは、土気色の、無数の糸で縫い合わされた「他人のパーツ」の集合体だった。


「(……え? 何これ、プラモ? いや、俺の体……!?)」


「驚くのは後になさい。あちらから、もっと驚かせてくださる方々が来ますわよ」


ナベが指差す先。霧の向こうから、銀色の仮面を被り、重々しい法衣を纏った集団聖教会の「剥離審問官」たちが、抜身の剣を手に歩み寄ってくる。


「発見したぞ。不浄なる失敗作、個体番号『ツーダ』。その魂ごと、大いなる火で浄化してくれる」


審問官の一人が呪文を唱えると、巨大な火球がツーダを目がけて放たれた。


「(ひ、ひいいいっ! 死ぬ! 今度こそ死ぬ!!)」


ツーダは頭を抱えて縮こまった。脳裏に浮かぶのは、前世で擦り切れるほど見たロボットアニメの「第1話」。絶体絶命の主人公が、無意識に展開する『多重積層フェイズシフト装甲』。


その瞬間、ツーダの全身からどす黒い魔力が噴き出した。 それはただの障壁ではない。緻密な六角形の幾何学模様が折り重なり、物理法則を無視した「絶対的な盾」となって火球を弾き飛ばしたのだ。


「……ほう」 背後で、酒瓶を片手にした老女ライが、感心したように声を漏らす。 「腰は抜けてるが、その『執念』だけは本物だねぇ。気に入ったよ、若造」


ナベがツーダの肩に手を置き、営業スマイルを浮かべた。


「決まりですね。ツーダ様、今日から貴方は私の『あるじ』兼『商品』です。まずはあの失礼な仮面の方々に、不当解雇の慰謝料を請求いたしましょうか」


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