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神話の英雄譚  作者: わらびもち
第五章 エルフの里・ユラトラ
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第28話 危険なヤツ

 朝起きて、というよりは昼であったが、おれ達は3人でギルドへ向かった。昨日の夜に話したようにクランの申請に来たのだ。


 おれ達がギルドに着くと、そこにいた冒険者達が一斉に声を上げた。セリアは元々名前が通っていたが、おれやグラは九月の件以前では有名でもなかったのでなんだか斬新な気分だ。それからクランの申請を終え、おれ達はギルドを後にした。


「あんまり良い依頼はなかったな。どれもBランク以下だ」


「もっと大きい街だったりしたらあるんだけどね。高ランクの依頼はそれこそクランが独占してたりもするけれど。まぁ平和ってことでいいじゃない」


「まぁそうじゃな。そろそろフラガル(ここ)も出るのか?」


「そうね……特にやらなきゃいけないこともないし。出発する? エストも普通に動けるくらいには回復してるものね」


 こうしておれ達はフラガルの街を出発し、エルフの里へと向かった。


***


「クロワール、九月がやられたって本当かい?」


 1体の魔族が魔界のある城を訪問した。三界の双角(序列2位)、クロワールの城だ。


「……マジだ。……流石に予想外だったな」


「九番と七番が行ったんだっけ? 誰にやられたんだ」


「本当かどうかは分からないが、“豪炎”とかいうパーティにやられたらしい。ネフィル=エストとグランデュース=セルセリアっていう冒険者のパーティだ。あとはジルダ=グラダルオって奴もいたな」


「ええっと……グランデュース家の奴と……竜帝がそんな名前だったっけ? エストってのは……なるほど。聞いたことないね。」


「ああ、ついこの間までは無名だったはずだ。とんだ誤算だぜ。九月がやられるなんてよ」


「どんな奴らなんだい? “豪炎”ってのは」


「詳しくは知らねぇけど、子供ガキだってよ」


「そうか、それは有望だね。役に立つかも知れないし、今度会いにいこうかな。ああ、そういえばこの前魔王の気配が強くなったよ。もしかしたら大きく動き始めるのかも知れないね」


「魔王が? なんでこのタイミングなんだ?」


「それは分からないよ。ただの気まぐれかも知れないし、何か理由があるのかも知れない。多分近いうちに一斉に動き出すよ」


「……なんか知ってそうだな」


「僕も魔王だからね。なんとなく、そうなんじゃないかってだけだけど。“混沌の再来”が近い気がするんだよね。多分“豪炎”も役者になるだろう」


「くっくっくっ……そりゃあいいな! 近いうちに俺らも暴れられるってことだろ!?」


「その可能性があるってだけだよ。でも確実に今は時代の節目になるね」


***

 

「あぁ……半日も歩いて全く着かねぇな。やっぱりグラに乗って飛んでった方が良かっただろ」


 昼に出発して8時間くらい歩いただろうか。エルフの里どころかそこに繋がる森も見えない。せっかくグラがいるのだから乗った方が速いだろうに。


「いやじゃ! 儂は乗り物じゃないのじゃからな! それに散歩の方が雰囲気出るじゃろうが」


 なんだ、雰囲気って……。そんなものは重要ではないだろ。とは言っても嫌がってることをさせるのも気が引けるから、愚痴を言いながらも歩いているが。


「でも大分暗くなっちゃったわね。今日はここら辺で野営しましょうか。このペースなら明日には着くでしょうし」


「野営か……。まぁこれくらい開けたところなら大丈夫だな」


 ここは見晴らしがいいから奇襲などはされないだろう。いや、厳密に言えばされたとしても問題なさそうだ。


 おれ達はテントを張って火を起こした。パチパチと音を鳴らす光を見ているとなんだか心が落ち着く。


「よーし! 飯は儂が作ってやる! エスト! 食材を出せ!」


「いいけど……お前、料理なんて出来んのか?」


「失敬な! 儂はドラゴンの王じゃぞ! 料理なんてお茶の子“せいせい”じゃ!」


「それを言うなら“さいさい”だバカやろう。おれは別にいいけども……」


「私もいいわよ。自身があるグラの料理食べてみたいわ」


 でもコイツ料理なんて本当に出来るのか……?ドラゴンなんて生肉ばっか食ってるんじゃないのか…? そんな不安を抱えつつ、おれ達のために頑張ってくれているグラを見守った。


 このときに止めておけばよかった。ドラゴンの料理なんだ、少し変わっていても不思議ではないと止めなかったんだ。それが間違いだった。


「よし! できたぞ! 儂の特製“スーパーかれー”じゃ!」


「……カレー……なのか……? これが……?」


「奇遇ね、私も全く同じ感想だったわ……。でも、もしかしたら美味しいかも知れないものね……。見た目で決めちゃダメよ……」


 セリア……そう言いながら震えてるじゃないか……! いや、気持ちは分からんでもない。ここまで見ていて食材や調理方法は普通だったのだ。火加減も間違っちゃいなかった。それなのに、何か不思議な力が働いたように、“これ”が完成した頃にはおれの知らないものが出来ていた。


「凄いじゃろ! ほれ食ってみろ!」


 グラは親切におれとセリアの分をよそってくれた。……ありがとうな……グラ。


 このカレーは……カレーと呼んでいいのか分からないが、酷い色をしていた。白味がかった紫色のような色だ。出来たてだからだろうか、湯気、というよりも煙を吹き出していた。


「いただきます……」


 恐る恐るおれは“これ”を口へと運んだ。瞬間、もの凄い刺激が口の中を支配した。


「………………ッ……」


「エスト……?」


 薄れゆく意識の中、セリアが涙を浮ばせながらこちらを見ている。ダメだ……セリア! 絶対に食べちゃダメだ! そう思っても声が出せなかった。


「そんなに美味しかったか! ほれ、セリアも食ってみろ」


「あ……え、ええ……」


 セリアは覚悟を決めたようにして“それ”を一口食べた。もちろん耐えられなかった。


「そんなに美味しかったか! いやぁ流石に儂も嬉しいな!」


「て、テメェ……! 一回食ってみやがれ!」


「むぐッ! ……? ……うがァああああ……!??」


 おれは怒りに任せてグラに食わせてやった。このヤロウ、二度と料理はさせん!


「くそッ! 仕方ない。おれが作るよ。……口の中が酷ぇ味だ。」


「……ご……ごめん……。儂が悪かった……」


 おれは料理は得意ではないが、いくらなんでも食べ物は作れる。セリアは完全にダウンしてしまってるからおれが作るしかない。


 そうしてグラの使った残りの食材でシチューを作った

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