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神話の英雄譚  作者: わらびもち
第三章 炭鉱夫の集落
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第18話 4人の六法帝

「ほー。本当にカッチカチだなぁ! おれ達と戦ったときは手加減してたのか」


「そうじゃろそうじゃろ! これが儂の能力スキル『硬化』じゃ! 儂の肉体とこの能力スキルがあればどんな攻撃も効かんぞ! お前の技もな!」


「強い能力スキルだけど……それでも九月からは逃げてきたんでしょ?」


「うっ……! 痛いところを突くのう、セリアは」


「でも治癒系の能力スキルだったらよかったな。そしたらおれの傷もすぐ治せたのに」


「ちっぽけな怪我で騒ぐんじゃないわ。それでも男か?」


「誰のせいだと思ってんだ! 誰の!」


 おれ達は鍛冶屋で剣を受け取って集落を見て回りながら話をしていた。


 グラの能力スキル『硬化』はその名の通り身体の一部を硬くする能力スキルだ。本来は特別に強い能力スキルという訳でもないのだが、彼の強靭な肉体と膨大な魔力量とその出力によって他を寄せ付けない能力スキルへと進化させていた。


「でも何でおれ達と戦ってるときには本気を出さなかったんだ?」


「別に儂はお前達を倒そうなんて思ってなかったからな。そしたら思ったより痛い攻撃を喰らったって訳じゃ」


「そうか。その割にはおれも痛かったぞ」


「わっはっは! 拳を交えたからこそ生まれる友情もあるもんじゃ!」


「まぁお互い様なんだがよ。お前の態度には少しイラッとくるな」

 

「まぁ何でもいいけど、集落ここを出るのはエストの怪我が治ってからにしましょうか。それまではグラも好きにしてていいわよ」


「じゃあとりあえず宿を決めるか。……もうあそこの宿でいいか?」


「そうね。そうしましょう」


 おれ達は前に見えた宿で3つ部屋を借りた。おれは部屋で安静に、セリアとグラは買い物に行ったり適当に散歩したりして数日を過ごした。久しぶりにゆったりとした日だった。


***


 ところ変わってここは中央センダル大陸の聖都・ヘルダルム。中央会議場に4人の影があった。


「ガルヴァンとスリドの奴は来れなかったか。お堅い立場にはなるもんじゃねーぜ」


「確かに自由に動けないのは考えものだよね。ところで何があったんだっけ?」


「九番が現れた。バルバタの近くだな」


「バルバタって言うと……プレルド王国ですね。少し遠いけど誰が行きます?」


「っつーか、バンリューはどこに行ったんだ。アイツならすぐに向かえるだろ」


「気分屋だからね。今に始まったことでもないでしょ」


「俺は行かねーぞ。やることがあるからな」


「私は……誰も行かないなら行ってもいいですけど。誰かが行くなら2人は必要ないですよね」


「じゃあ僕が行きたいな。ちょうどそっち方面に用があったんだ」


「ワシも行こうかと思ったが、それなら譲るか」


「一緒に来てくれてもいいけどね」


「いや、無駄に戦力を集中させるのも良くないからな。興味があるだけだから拘る必要もない」


「じゃあ決まったな。帰っていーか?」


「本題はそれだけだが、もう一つお前達に気をつけてもらいたいことがある」

 

「? なんですか?」


「魔王共が大きく動き始めるかも知れん」


「魔王っつーと、魔神の子供だよな。これまでも時々暴れてたろ」


「そういう神託があったらしい。実際にどうなるかは分からんが、もし複数体に暴れられたら少々厄介だ」


「その時は僕達がさっさとやっちゃえばいいよ」


「ああ、そうしてくれれば問題ない」


「バンリューには私が伝えときますよ。一応」


「まったく、この程度の話ならわざわざ呼ばなくてもよかったじゃねーかよ」


「召集しなかったら話を聞かんだろ。特にお前は」


  人類最高峰の実力者達の会議はすぐに終わった。本来、彼らは我が強い連中なのでこうして集まることも滅多にない。いや、厳密に言うと集まること自体は割とあるのだが、今回のようにまともな話し合いがおこなわれることがほとんどない。


 というのも、大体のことなら彼ら個人で解決できてしまうため、話し合う必要が無いに等しいからである。


 そのためこれは対外的に“会議”の名を持っているだけの情報共有の場という方が正しいかも知れない。


 こうして、“六法帝会議”は幕を下ろした。


「よし、じゃあ僕は行くとするか」

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