第12話 目覚め、謁見
「ふむ。傷は完治しておるな。凄まじい回復力じゃ。これなら自由に動いても平気じゃろう」
「そうか。ありがとう」
「本当にすごいのぉ。これほど回復が早い者は団長殿しかみたことがないわ」
セリアが呼んでくれた医師に怪我の様子を見てもらった。寝てる間に治っていたようでリハビリ等も必要ないようだ。
その後おれとセリアは部屋に案内されそこで待機した。
「なんか面倒くさいなぁ。王様と会ってどうしろってんだ」
「向こうからしたら街の危機を救ってくれた相手に何もしないわけにはいかないでしょ。まぁ私達がいなくてもなんとかなったでしょうけど」
「そうなんだよなぁ。会ってねぇけど、団長さんがいたらどうにかなっただろ」
「でも被害を抑えられたのも事実でしょ?」
ここの王室騎士団団長はガルヴァンという男らしい。なんでも六法帝の1人だとか。そんなすごいやつがいるなら1人でもどうにかできただろう。
「はぁ、まぁ挨拶が終わったら騎士団の人達と手合わせでもお願いするか」
そういう話をしながら待っているとおれ達は玉座に呼ばれた。言われるままについて行くとそこには皇帝と騎士団の人達がいた。現皇帝はジュートレッド=リリアード陛下という方らしい。
「君たちが魔族を討ち倒してくれたエスト殿とセリア殿だな」
「はっ。その通りでございます」
「楽にしてくれて構わん。私達がお礼をする立場なのだ」
「はい。わかりました」
国王というのはもっと高圧的かと思っていたが、どうやらそういう訳ではないらしい。むしろ柔らかい雰囲気であった。それなりに歳を重ねているのも要因だろうか。
とはいえ王様相手に大きな態度を取るのはまずい気がする。
「ガントラードから聞いた、君たちが奮闘してくれたと。民を守ることが我々の義務なのでな、魔物の討伐に人員を割いていたが、君たちが素早く動いてくれたから被害を最小限にできた。心から礼を言う」
「復興に集中しなければならないからできることも限られるが、何か望みを申してみよ。叶えられるよう尽力する」
「では、ここの騎士団の方達と手合わせをしたく思います。私達は強くならなくてはいけないので」
「その程度でいいのか?」
「充分な経験になります」
「そうか。エスト殿は何かあるか? 望むなら貴族の位を与えてもよいが」
「地位は枷になりますから。おれもセリアと同じがいいです」
「そうか。欲が浅いのか深いのか。面白い者達だな。いいだろう、好きなだけ王宮にいてくれて構わん。客人としてもてなそう。その間好きに鍛錬するがよい」
「ありがとうございます!」
「はぁー。なんだか緊張したな。さすが王様って感じだ」
「私は何度かお会いしたことあるけど、国民想いでとても優しい方よ」
「おーい! エスト君、セリア嬢!」
聞き覚えのある声がおれ達を呼んだ。ガントラードさんだ。
「せっかくリリアード陛下から許可を頂いたんですから。ぜひとも訓練場に来てくださいよ。今なら団長もいますよ」
「おう! ちょうど行こうと思ってたんだ。案内してくれ!」
そうしておれ達はガントラードさんについて行った。訓練場はとても広く普段から何百という人が使っているらしい。団長は普段はあまりいないようだが、今日は時間をとってくれたようだ。
「よう。来るの早かったなぁ」
「お久しぶりです。ガルヴァン団長」
「セリアお前見ねぇうちに随分でっかくなったな!」
「あなたがガルヴァンさんか!」
「そうだぞ。お前がエストだな! こんな子供が魔族を倒したなんて、将来有望だな」
王室騎士団団長・ガルヴァン。六法帝の1人に数えられる世界最高峰の実力者。そういう割には随分若い。見た感じ20代後半といった具合だろうか。副団長のガントラードさんよりは若そうだ。
「さて、どっちから始める? 聞いた話だと俺以外じゃ相手にならんだろ。なんなら2人同時でもいいが?」
「よし! セリア! ジャンケンで決めよう!」
「いいわよ! 勝った方が先ね!」
ジャンケンポン!
「くそー! 負けちまったー!」
「ふふっ。じゃあエストはそこで待ってなさい!」
くそっ! チョキを出しておけば良かった!!こんな大事なときに負けちまうとはおれもまだまだだ。
「まったく。強くてもそこら辺は子供だな」
「よろしくお願いします! ガルヴァン団長!」
セリアとガルヴァンさんは距離をとって向かい合った。セリアは剣を抜いているが、ガルヴァンさんは何の準備もせずただただ立っている。
「おう! 好きなタイミングで来い!」




