リアのステータスと完全なる従属
ステータスの表記の仕方をこの話から少し変えます!これから先でスキルが増えた時のためなのであまり変化はありませんがよろしくお願いします。
それと気づいたらブクマ付いてました!めっちゃ嬉しいです!
「さぁゼロ様、私の血を飲んでください」
「指を切ってとかでもいいだろ?なんでキスしようとするんだ?」
「少女の肌を傷つけるんですか?吸血鬼は口からなら血を出せるんです。第一ゼロ様が飲むって言ったんじゃないですか」
「いや、あれは流れで……」
「知りません。隙ありです!ゼロ様っ!」
「あっ」
どうしてゼロとリアがこんな事をしているかと言えば、数分前のワールドアナウンス直後まで遡る。
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「あんなアナウンスがあるなんて聞いてないんだが……まぁいいか。それじゃリア、ここから移動するぞ」
「それは構いませんが、どこに行くんですか?」
「んー……ちょっと待っててくれ」
そう言ったゼロはメニュー画面から掲示板を開く。掲示板なら何か有益な情報が見つかるかもしれないと思ったからだ。
「ゼロ様、それは何ですか?」
「ん?コレが見えてるの?」
「はい」
普通のNPCにはプレイヤー固有の機能は見る事は出来なくなっている。ステータスなどは別だが、掲示板等はプレイヤー固有の機能のため見ることが出来ないはずなのだが……
「コレは異界人の力だから世界人のリアには見えないはずなんだけど…?」
「……もしかしたら今の私の状態が関係しているかもしれません」
「え?」
「これが今の私のステータスです」
そう言ってリアは自分のステータスをゼロに見えるように展開した。
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Name リア Lv104
種族 吸血鬼男爵級 Lv4/100
職業 吸血姫 Lv92/100
状態 従属(仮)
SP 580/580
MP 0/4200
ステータス
STR 90
VIT 200
INT 1200
MID 900
AGI 150
LUK 0
スキル
・武術系
[拳術Lv8][蹴術Lv5]
・魔術系
[大海魔術Lv4][暴風魔術Lv3][大地魔術Lv3][暗黒魔術Lv7]
・技術系
[料理Lv5][舞踏Lv9]
・その他
[見切りLv8][気配察知Lv7][魔力操作Lv8][魔力循環Lv7]
職業スキル
〖吸血姫〗
種族スキル
《血液魔術》《吸血》
固有スキル
『血の魔眼』
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ゼロがこのステータスを見て最初に思った事はひとつだった。
(こんなに強いのかよ)
ステータスの差も凄いがスキルのレベルも全てが違う。魔術に関しては明らかに進化しているだろうし、固有スキルなるものまである。後々リアから聞きたいことが幾つも出来た瞬間だった。
だが、リアの言う"今の状態"とはステータスの中でも上の方にある"従属(仮)"という文言のことだろう。
「従属……?なんで(仮)なんだ?」
「それは私の職業"吸血姫"が原因だと思います。効果のひとつに"隷属抵抗"というのがありますから」
「別に奴隷にしようとしてる訳じゃないんだけど……まぁ、理解は出来た。ついでにいくつか質問していいか?」
「いいですよ」
ゼロはこの際いくつか気になっていた事を質問する。
「種族と職業とでレベルが違うのってなんでなんだ?」
「種族としてのレベルはその人の積み上げきた経験値で上がって行くんですが、職業はその職業にあった行動をする事でより大きくレベルが上がっていくんですよ。なので職業の方がレベルが高い人が比較的多いです」
「へーそういう仕組みになってたのか。固有スキルってのは?」
「文字通り世界でその人のみが持つスキルです。私の『血の魔眼』は私の視た血液を操ることができる魔眼で、世界で私しか持ってないので固有スキルとなっています」
「なるほど納得。MPが0になってるのは?」
「力を封印されていた影響ですね。魔法陣に使われていた魔力の一部は私の魔力から強制的に奪われていましたから。ですがまた時間が経てば戻ります」
「それなら問題無いか…」
「あの……質問じゃなくてお願いなんですけど、私からもひとついいですか?」
一通り質問が終わったゼロに今度はリアがお願いがあるという。
「ん?別にいいけど俺に出来ることなんてほとんど無いぞ?」
「いえ、簡単なことなので……私の血を飲んでください」
「……え?」
"血を飲んでくれ"文字に起こしてもとんでもない狂気としか捉えることが出来ない台詞。これが、リアのような美少女じゃなかったら警察沙汰ではすまないレベルのヤバい発言にゼロは脳が停止した。
「ゼロ様?生きてます?」
「すまん、もう一度言ってくれ」
「こほん……私の血を飲んでください」
「なんで?」
当然の疑問。今までの会話と何ら脈略が無いように感じるお願いだったが、何かしら理由があるならゼロとしても文句は無い。
「完全な従属状態になりたいんです」
「……?」
そのリアのセリフに完全に声も出ず、頭に"?"ばかりが浮かぶゼロだったが、なんとか言葉を捻り出す。
「なんで血を飲まないといけないんだ?」
「吸血鬼にとって血を飲んでもらうという行為が相手への従属を意味するからです」
「完全な従属状態になる必要ってあるのか?」
「いえ、無いですね」
清々しいほどの笑顔で答えるリアに対して頭から"?"が離れなくなってしまうゼロ。
「ちなみになんでなりたいのか理由はあるのか?」
そう聞いたゼロに対してリアは微笑みながら答える。
「本来、"吸血鬼"、"鬼人"、"魔人"は悪魔族に仕えていた過去があります。ゼロ様は異界人ですが悪魔族の一人である事には変わりありません。なのでゼロ様に完全に従属するのは不思議なことではありません。それにこう言ってはなんですが、私はゼロ様が来てくださったとき、解放して下さればゼロ様を殺して逃げるつもりでした。その罪滅ぼしとでも思ってください」
「え…あ……わ…わかった」
一気に色々なことを言われて少し混乱していたゼロはついつい肯定してしまう。結果、冒頭のリアの血を飲むこととなったゼロが誕生したのである。
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「ふふ……ゼロ様とキス…ゼロ様とキス」
頬を染めて上機嫌なリアの横でゼロは膝をついて疲れ切っていた。
「はぁはぁ……なんで、セクシャルプロテクトが機能してないんだ…?」
セクシャルプロテクトとは設定によってON/OFFを切り替えることができ、性的な行為をされること、する事を全てのものから守ってくれるものである。
本来ならリアからの血の受け渡しと称したキスも妨害されるはずなのだが、設定を開いてみるとOFFになっていた。
「なんでOFFなってるんだ……あ、あの時か」
思い出すは痛覚設定やグロテスクの設定を弄ったとき。"これから先同じ様な事があるかも"と、面倒くさがったゼロはその時色々な設定を切っていた。その一つがセクシャルプロテクトである。
「はぁ、初めてのキスがゲームの中とかマジかよ。ま、相手がリアみたいな美少女だったのが救いだが」
「ゼロ様」
「うわっ!びっくりしたぁ!」
突然後ろからリアに話しかけられてビビるゼロだがその後に続くリアの言葉で自分が何をしようとしていたのかを思い出す。
「掲示板なるものを見るのでは?」
「あっ……そういえばそんな話だったな」
話が関係ない方向にズレていたせいで忘れていたが最初の話はそんな話だった。
そして掲示板を開き、いくつかのスレを見ていると面白い記事を見つけた。
「この羽を生やして逃げた男って俺の事だよな?ってなるとここは南の森の奥になるわけか。方角なんて街の人達に確認する前に逃げることになったから全然知らなかったな」
そうして少しスクロールするとある人物の書き込みを見つける。
「リア、行く場所を決めたぞ」
「どこに行くのですか?」
リアの質問にゼロは薄く笑いながら答える。
「まだ、異界人を殺してなかったからな。最初の犠牲者を拝みに、この森の入口までいくぞ」
ゼロはリアを連れて洞窟の外に向かう。
「最初の犠牲者はこのアランって奴で決まりだ」
リアに掲示板を見せながらゼロは嗤う。
アランと悪魔が出会うまであと少し。
リアの印象が変わったかもですが、その理由はこれから先、リアの過去を語る時にでも言えたらなと思ってます。
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