英雄の骸
骸骨くんは結構重要だったりします。
恐らくですが、ここから100話以上後になってようやくここら辺の話の伏線が回収しきれるかな?
2日に1回の投稿すら出来なかったらもうダメやん……。
と、考えながら昨日は眠りに着いたんだよね。
謝るしかないよね。すみません
(まずいまずいまずいまずい!)
"前門の虎後門の狼"とはまさにこの事。
前方に"命の危険を感じる奴"が居るのに、後ろから"確実な死"が来るなんて誰が予想出来るだろう。
(この道を突き進むのは下策だ。体を魔術の当たる通路に晒した瞬間蜂の巣にされる事は容易にわかる……けど、後ろにはあの怪物が二体……!絶対に後ろには引けない)
絶対絶命。
何もしなければ間違い無く怪物によって殺されるが、それでも思い浮かぶのは良くて片方が死に、9割の確率で共倒れするであろう危険な策ものばかり。
正直に言うと、最悪ゼノが死ぬだけなら許容出来る。だが、そこにゼロ自身が死ぬ可能性があるならば、必ず避けなければならない。
前提として、ゼロは既に一度死んだことで30時間にも及ぶステータスのダウンを食らっている。
まだまだ完全な解除まで時間が残っているのに今死ぬなんて笑い話では済まされないのだ。
(何か方法はないか?見落としている物はないか?使えるものは全て確認したか?)
ゼロは自問自答を繰り返す。
戦闘になれば確実に殺されることが分かっている相手から逃げる方法を模索する。
普段ならば強い相手からは逃げ続けてきたゼロが初めて陥る真の意味で"逃げ場の無い状況"。
ゼロは自身の持つスキルを一から確認する。
一つスキルを確認する度に怪物の足音が一つ、また一つと近づいてくる。
運がいいのか悪いのか、まだ二体の死神はコチラに気がついていない様だが、それも時間の問題である。
([扇動]程度じゃダメだ。これじゃあアイツらには効かないし、効いたところで直ぐに解除される……もっと強力で、確実にアイツらから身を守る……)
そこまで考えたゼロはステータス欄、今の【特異悪魔】になった事で手に入れた二つのスキルを思い出した。
(コレだ……ッ!)
◇━━━━━━━━━━━━━━━◇
ソレは悲しき骸だ。
かつて英雄と呼ばれたが、知らぬ"王族殺し"の冤罪にのよって監獄に収容され、無念の中死んで行った4体の骸。
ソレがいつ魂を持ち、廃れた監獄を動けるようになったのかは誰も知らない。知ることは無い。
ソレの目的はただ、生きている人間を殺すことだけである。
ソレは光を感じた。
光を失って久しかったこの監獄の中で数瞬だけ見えた光。
二体の骸は光を頼りに足を進める。その先にあるのが何かなどは考えない。ただ、その先に生者が居るのならば"死"を運ぶのみ。
◇━━━━━━━━━━━━━━━◇
二体の骸が見たのは三人の人間だった。
その人間達はコチラに手を向けて魔術を構えている。
「カタカタカタッ!」
骸は骨を鳴らした。
ソレは久方ぶりに相見える生者への歓喜かもしれない。
ソレは生者へ刻まれた憤怒かもしれない。
ソレは生者に対する哀しみかもしれない。
ソレは生者と会えたことへの楽しさからかもしれない。
二体の骸は地をかける。
ゴォッ!
巨大な炎が前方よりうち放たれる。
ソレは通路とほぼ同じ大きさをしており、"逃げ場"と言うものを完全に消し去っていた。
「ダカラドウシタ?」
鎌が一閃される。
その一撃によって迫り来ていた炎の魔術がかき消された。
「ッ……!」
目の前の人間が驚いたように後ろへ少し後退した。……その瞬間、勝負は完全に喫した。
骸は無慈悲にも、自身の身体ほどもある大鎌を振り抜いた。大鎌は目にも止まらぬ速さで煌めき……三人の人間を切り伏せる。
ブンッ!
"死神"の名は伊達では無く、その一撃はありとあらゆる者を魂から切り裂く、必死絶滅の一撃。
圧倒的なレベルと圧倒的なステータスから繰り出されるその一撃を避けられる者などほとんど存在しない。
骸は振り切った鎌を見据える。
その鎌は鮮血で彩られており、確実に目的の人間を殺したことの証明が成されていた。
骸は何も感じていないかの様に再び大鎌を収めると、来た道を戻っていく。
彼らは骸。
かつて英雄と呼ばれながら、自国による裏切りに会い、殺された悲しきモンスター。
彼らは今も望んでいる。
自身を殺した吸血鬼を殺せる日が来ることを。
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