毬栗忍者の巻!
投稿が既に遅い!説明不要!本当にすみません!
沼地を超えた先の森に男は来ていた。
「ふぅ、また来てしまったでござる」
男の名は"毬栗忍者"。
歳は今年で30となる立派なアラサー男性だった。
彼がここに来たのには理由があった。
「噂の"悪魔ゼロの右腕"である吸血鬼が本当にこちらに飛んで行ったのならば、この先にいるはずでござる」
彼の目的は一つ。吸血鬼の足取りを掴む事だった。
「これでも仮とは言え情報屋をやっている以上、吸血鬼の居場所は知っておきたいというのが人の性というものだ。………ござる」
男はそう一人呟きながら森の奥へと足を踏み入れていく。
(前回はこの先の開けた場所を根城にしていたゴブリン達のレベルを確認した所で引き返したけど、今回はその先まで行きたいところ……)
そう考えながら歩を進めた先で彼が見たのは前にみたゴブリンの大群ではなかった。
「は?」
そこにあったのは噎せ返るような血の匂いが充満した死地だった。
(なんだ……これ)
男はその衝撃的な光景に言葉を発する事さえ出来なかった。
(あれは魔鬼王か?確か前見た時はレベル90あったヤバい個体だよな?)
男は絶対に森の茂みから体を出さず、葉と葉の間からスキル[鑑定]と[遠視]を使って様子を伺う。
彼の[鑑定]には確かに"魔鬼王の死体"と表示されており、確実に目の前のゴブリン達が死んでいることが理解できる。
だが、"理解出来る"ことと"納得出来る"ことは別物である。
(なんであんな高レベルモンスター達が全滅してるんだ?モンスター同士の争い?そんな事があるなんて聞いた事は無いけど、モンスターも生物と考えれば縄張り争いがあってもおかしくは無い……?なら、殺した奴はどこに行った?)
そこまで考えた所で、ふとここに自分が来た理由を思い出した。
「まさか……もし、ここに件の吸血鬼が来て目の前のゴブリン達と戦闘になったんだとしたら?」
彼はゲームの歴史や世界観を紐解く事に心血を注ぐ"考察班"等では無いのでゲーム内のNPC達の行動の全ての意味を理解したりは出来ない。だが、彼も一端の"攻略組"と呼ばれる程度には前線で攻略を頑張っているため、一つの結論を出すことが出来る。
「確か吸血鬼を追い詰めた"魔殺会"が集めた人員が120だったでござるか?……ここにいるゴブリン達は明らかに300は超えてるんでござるが?」
考えたくは無かったがこのゲームなら有り得る可能性。
「敵モブが強くなるのはダメだと思うでござる」
「あは♪ そうかな?」
「ッ……!?」
強烈な悪寒と頭の中で突如なり始めた危険信号。
その直感に従い忍者はその場から即座に飛び退ろうとして気がつく。
……既に自身の片足が切り落とされている事実に。
「はぁ……人間を殲滅するのは彼と会ってからにするつもりだったのに、君たち異界人はすぐに僕の情報を拡散するよね?僕、困っちゃうなぁ〜」
忍者は何も言えない。何も考えられない。
彼自身もわかっている。これはゲームであり、本当に自身の身に危険がある訳では無い。そのはずなのに、目の前にいる少女を見ていると現代社会でぬくぬくと生きてきた過程で失われた筈の生物としての本能が自身に訴えかける。
"逃げろ"と。
「くっ……!」
忍者はインベントリからアイテムを取り出すと即座に地面に投げつけた。
ボンッ!
地面にぶつかる衝撃で、忍者がだした手のひらサイズの球体からは白い煙が出てきた。
煙玉である。
本来なら生物からの視線を切り一度体勢を立て直すために使う物。
今回忍者はそれを目の前にいる吸血鬼から逃げる為に使おうとした。切り落とされた足は無視して、片足でどうにか逃げ切ろうとしたのだ。
だが無駄だった。
「はぁ……つまんな」
ザシュッ
忍者は感じた。
忍者は理解した。
忍者は絶望した。
(アレは前に少しだけ見た吸血鬼じゃない。何か別の存在だ)
忍者は死に行くなか、そのナニカの呟きを聞いた。
「神が一柱堕ちました♪」
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