鬼人族の過去・ゼノ
実は明日、作者は学校が休みなんですよ。
つまり、時間に余裕が持てるという事です!
平日に休みがあるとき程嬉しいことは無いと思うんですけど、皆さんはどうですか?
「は?殺してくれ?」
「ああそうだ。俺を殺してくれ」
信じられないその言葉にゼロは耳を疑った。
この世界の人にとっての死は現実の人間の死と同じ価値を持つ。もし、NPCがここで死ねばプレイヤーの様に生き返る事はゼロの知っている限りだと無い。
だからこそテールの街でゼロとリアが暴れ、NPCを虐殺した時は、多くの者が悲しみ、嘆いたのだから。
「なんでだ?お前ら世界人は死んだらそのまま……生き返ったりなんて出来ないだろ?死んでもいい事なんて無いと思うんだけど?」
「死んでもいい事が無い……か。……あるさ、一つだけ」
「それは?」
鬼人族の男は自重気味に笑うと当たり前の事実を言うように言葉を紡いだ。
「罪滅ぼしだ……俺のせいで死んでいった仲間達への」
そう言った男は天を見上げげて語る……自身の過去を。
「あれは……今から百年以上前の事だ」
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そこは鬼人族達の住まう王国。
鬼人族とは人間種よりも遥かに肉体が優れ、身体能力……特に力に関しては全種族でも一二を争う程の怪力を有する種族だった。
そんな鬼人族が建国した王国は武力に優れ、力ある者を優遇する国として有名であった。
そんな王国に激震が走る。
"神童"とまで呼ばれる程の麒麟児が生まれたのだ。
"神童"はその力こそ他の鬼人族と変わらない物であったが、他の鬼人族とは一線を画す"能力"を持って生まれた。
固有スキル『不壊甦生』
それはただひたすらに"壊れず、倒れず、無限の再生を持って死なない"というシンプルかつ圧倒的なスキルだった。
このスキルを突破する方法はただ一つ。生物の弱点を突いて一撃で殺すこと……つまり心臓を潰すのだ。
ただ、このスキルはただ再生能力が上がるだけでは無い。圧倒的な頑丈さをも持ち合わせるという厄介なスキルだった。
このスキルを生まれ持った男、ウルカン王国第一王子"ゼノ・ウルカン"はその力を崇められ、次代の英雄とまで言われる程だった。
王国に住まう全ての民がゼノを褒め称え、祝った。
固有スキル……それは世界でたった一人だけが持つことを許されているスキルである事の証明。
世界に愛され、神に愛される者にのみ与えられる天上のスキルである。
王国はこれから先さらに発展し、大国に上り詰めるのだと王国に住まう誰もがそう思っていた。
……だが、世界はその力を許さなかった。
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「いやーッ!」
「やめてくれ!息子だけは……!」
「なんで攻撃が通らないんだ!?」
「ここは通さんぞ!」
「助けてください……ッ」
「やめてくれッ!」
「死に……たく……な」
それは突然始まった。
聖教会による蹂躙。その理由は……闇の女神ルナへの信仰によって得た邪悪な力の根絶
絞殺、刺殺、射殺、毒殺、圧殺、撲殺、斬殺。
殺し。殺し!殺し!!殺し!!!
目に入った鬼人族、その全てを殺していく聖教会の騎士に鬼人族は逃げるしか無かった。
本来なら勝てるはずの戦い。いくら相手が騎士だとはいえ、種族として肉体の性能が高い鬼人族に分があるはずだった。だが、そうはならなかった。
「魔術を放て!」
「「「"光天槍"」」」
それは魔術。鬼人族達がその肉体の強さと引き換えに捨てた技術だった。
聖教会は魔術を使い鬼人族を一方的に屠っていた。近づこうとしても、それは自身から的になりに行くような物である。
魔術によって劣勢に立たされた鬼人族は敗走するしか道は無いと思われていた。
だがそんな時、騎士達の前にある男が立ち塞がった。
「させん」
ドゴォン!
凄まじい衝突音と共に炸裂する光の槍。だが男は騎士の魔術を生身で受け、その場に佇む。不思議な事にその肉体には少しの傷も見られなかった。
「……何者だ?」
そう尋ねた騎士のリーダーらしき男は目の前の男への警戒を最大限まで高める。目の前にいる鬼人族の男自体の見た目は他の鬼人族となんら変わりは無い。
紅蓮の炎の如きその肌に、漆黒の瞳、そして頭部に生えた一対の角。
だが、その威圧感と存在感。何より魔術をもって傷一つつかなかった肉体は明らかに他の鬼人族とは一線を画している。
騎士のリーダーが冷や汗を流すと鬼人族の男はその重い口をゆっくりと開いた。
「俺の名はゼノ……ゼノ・ウルカン。この国の王子だ」
「ほう……?お前がか」
騎士のリーダーはゼノの名を聞くとその手に持つ剣を顔の横で地面に水平になる様に構えて、1寸の隙も無いように鋭い目つきでゼノを睨む。
「ならば私も慣例に習い名乗ろう」
そう言った騎士は体全体から魔力を迸らせて答える。
「我が名はティア・アンナリーゼ。"闇の女神"へ魂を売った愚か者に裁きを下す」
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