邪神気解放
今日の夜も投稿します!たぶんですが…
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"固有スキル・『邪神気解放』"
それはゼロがアドラに接触する前にルナに頼んで与えてもらった物だった。
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「チッ……あいつら森に火なんて放ちやがって……それにリアが誰にやられたかと思ったらアドラかよ……」
ゼロの視線の先にはアドラが気絶しているリアの後ろに立ち、周囲を警戒していた。
ゼロとしては運のいい事にアドラは"感知"系統のスキルのレベルが低いのか、背の高い木の上からアドラの事を見ていても未だバレてはいない。
「だけど、リアを助ける為にはアドラをどうにかしないといけないんだよな……無理じゃね?」
今回のアドラはゼロに手を抜くこと無く、最初から殺しにくるだろう。そうなった場合、間違いなく負けるのはゼロの方だ。ゼロはアドラにレベル、ステータス、スキルの全てで負けている。戦ったらどうなるかなど火を見るより明らかである。
だが、ゼロは普通に考えたら"無理"な状況だろうと最後の最後まで諦めたりなどしない。だからこそ前回の戦いではアドラをギリギリで出し抜く事が出来たのだから。
ゼロは考えた。そして、一つの結論を出した。"剣"の対処法はそれよりも上の存在に聞くのが一番だと考えたのである。
つまり神である。
「《祈祷》……ルナ、聞こえてるか?」
『ん?ゼロ君?』
「よし、繋がった。突然なんだけど、今いいか?」
『どうしたんだい?』
「単刀直入で悪いんだけど、ちょっと聞きたい事があってな……」
ゼロはルナに今の状況とアドラに勝つ……もしくは出し抜く方法が無いか質問をした。
『なるほど……ハッキリ言っていいかい?』
「……ああ」
『ゼロ君がアドラに勝てる可能性は0だよ』
「っ……」
神であるルナから告げられるその言葉。
こう断言されるという事は、間違いなく勝つことは厳しい……いや、控えめに言っても0なんだろう。
だが、ルナの言葉はそこで終わる事は無かった。
『でも、君とアドラが引き分けになら持ち込める可能性がある』
「そっ……その方法は!?」
『まあ、落ち着いてよ。まず一回よく聞いて欲しい。君がこのスキルを発動させたら君は死ぬ事になる。これに例外は絶対に無い。スキルをセーブして使えば少しは死ぬまでの時間を伸ばせるだろうけど、死ぬのは変わらない。つまり、もしリアちゃんを助けたいなら、ゼロ君に残された道はゼロ君とアドラの共倒れ狙いだけだ。ただ、君達異界人は死んでも生き返る事が出来る。それは世界人の人々には無い、異界人固有の強い特性と言える。でも、君はなんの問題も無く復活するって訳じゃ無い。そうだろう?』
ルナのその言葉にゼロは苦い顔をした。
リアを助けたいのは勿論だ。だが、使えば必ず死ぬスキルを使わないと助けられない上、それでようやく共倒れに持ち込めるといった程度。それにゼロとしてはここで死ぬのは不味い。ここで死ねば間違いなくゼロは監獄に入れられる事になるだろう。カルマ値なんてマスクデータを確認する術は無いから正確な値は分からないが、かなり高い事はゼロ自身何となく分かっていたからだ。
「なるほど……つまりルナはこう言いたい訳か?俺自身かリアか大切な方を選べと」
『まあ、そうなるね』
ゼロが自分自身を選べば、リアを助けずにさっさとこの場から離れればいい。だが、間違いなくリアは死ぬ事になるだろう。リアがいくら待ってもゼロが助けに来ることは無くなるのだから。
だが、ゼロが自分の身の危険を顧みず、リアを助けに言った場合、リアを助ける事は出来るかもしれないが、代わりにゼロが死に、今までのPK行為から考えて、長期間監獄に入れられる事は確実だろう。それこそ、ゲーム引退を視野に入れなければならない程の。
二つに一つ。ルナが聞いているのは"どちらがゼロにとって大事なのか?"というシンプルな物だ。
だが、ゼロにこの答えを直ぐに出せるほどの決意は未だ無かった。これまで、ゼロはリアを大切にしてきた。それはゼロがリアを守ると誓ったから。"女の子の為なら自分の身がどうなっても構わない"なんていう偽善なんかじゃなく、契約を守る為の行動と捉えてもいい。
それに、前提条件がまず違う。前回のアドラとの戦闘はゼロがアドラと戦闘を"する"か"しない"かを決める前に凡そ決定していた。
だが、今回は違う。アドラとの戦闘は回避することが出来るのだ。回避出来る、負けるかもしれない戦闘。それを自分の身を犠牲にしてまで挑む事こそ、普段ゼロが嫌う"自己犠牲"の精神以外の何物でもない。
葛藤。
ゼロは決断が出来ないでいた。
心の中ではリアを助けたいと思っているが、頭の中では態々リスクを負ってまで助ける必要があるのか?と自問自答する。
リアを助けるメリットは?
リアは大切な"仲間"だ。誰かに殺されるのを簡単に容認出来るほど俺は腐っちゃいねぇ。
なんでリアを助けたい?
リアは強いし、普段から魔術でサポートをしてくれる。アイツが居なくなったら死ぬ確率が上がるだろうから助ける。
リアを助ける為に自分が死んだら元も子も無いだろう?
それは……。
最後の一歩。
リアを助ける為の一歩が踏み出せない。リアを助ける理由があと一つ足りない。
「こんなとき、主人公なら直ぐにでも助けに行けたんだろな……」
『ゼロ君?長考していた様だけど答えは決まったかい?』
「ルナ……俺は……」
"ここから逃げる"
ゼロは自身の情けなさと悔しさで押し潰されそうになりながら、そう言葉を発そうとして……止めた。
それはゼロの耳にある言葉が届いたから。
「私は……貴方には屈しません!たとえ貴方が相手でも私はゼロ様を守る為に戦います!彼女がそうしたように……!」
言葉の前後を聞いていなかった為、その真意を推し量ることは出来ないがリアは言った。"ゼロを守る為に戦う"と。
その時、ゼロの中で何かが動いた。
「ルナ、俺はリアを助けるよ」
『……そう言うと思った。行きなよ、彼女が殺される前に』
「ああ」
ゼロは飛び降りる。そして新たにルナから与えられたスキルの名を発する。
「『邪神気解放』」
そのスキルはルナから与えられたスキル"《神気解放》"がゼロの悪魔としての力と合わさり、変化したスキル。
その能力は、"ステータスの強化"と"スキルの強化"というシンプルな物。だが、その強化率が圧倒的だからこその"確定された死"という代償なのである。
それは数値にすると、全ステータスが等しく200づつ増加し、スキルは三つまで一段階進化を進めるという物だった。
それは正しく"神"の名を有するスキルに相応しい力。
だが、それと同時に代償は重い。実際、”死”という代償は本当の代償の副産物に過ぎない。本来の代償はゲーム内時間にして1か月に及ぶ100レベル分のステータスのダウンと、5か月間《神気開放》が封印されるというものだった。
ゼロが死んでしまうのは、ステータスダウンに肉体が耐え切れず、崩壊してしまうことに起因するものだった。
だが、ゼロはそんなことは気にせずにスキルを発動させ、強化するスキルを選ぶ。
選ぶのは[拳術]と[見切り]そして……《神の冒涜者》。
「さあ、これで奴とも戦える」
ゼロは顔に笑みを浮かべ、リアとアドラの間に降り立つ。
「嬉しいね、リアがそう言ってくれると」
心から出た言葉をそのまま呟くと、アドラに視線を向けて決意を固める。
(さあ、ここからが正念場だ)
ゼロとアドラの戦いは始まった。
忘れてそうなスキル
《神の冒涜者》…神やそれに連なる者に与えるダメージが上がる。教会と敵対関係になる。LUK以外のステータスは上昇値が二倍になるが、LUKはとても上がりにくくなる。
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