光の女神の怒り
ちょっと今日は短いんですが、次回から本格的に狩りを始めます。楽しみにして頂ければ……
あと、最近皆さんから感想を沢山頂けて本当に嬉しいです!自分の小説で疑問に思った事やダメだと思った所は遠慮なく言ってくだされば直しますので、これからも応援して頂ければ幸いです。
アドラに連れられて入った建物の中は異様だった。
中は血や腐肉の匂いが充満しており、とても一般人の耐えれる匂いでは無かった。
それに加えて建物全体が凍てつくように冷気で覆われており、まるで冷凍庫を思わせるようだった。
「あの……こ…ここは?」
寒さで声が震えるアランを横目にアドラは質問に答える。
「ここは"浄化聖堂"と呼ばれる場所で、教会で運営していた建物の一つです。この世で死に、魂が天界へ旅立たれた人々の肉体を清め、土へ帰す為の場所です。人の肉体は死後に清めないと、魔物の不死人になりますから、こういった建物も必要なのですよ」
アドラはそう言いながら建物の奥へと歩を進める。
「あ…あの、では何で…僕は…ここに…呼ばれたの…でしょうか?」
そう言葉を発したアランだが、その声は震え、呂律がまともに回っていなかった。
それもそのはずで、プレイヤーは基本的に暑さや寒さといった物は極力感じないように遮断される。だが、それとは別に周囲の気温が高すぎた場合や低すぎる場合にデバフがかかるようになっているのだ。
アラン達は寒さによって身体の動きが20%ほど鈍くなるデバフを喰らっていたためまともに言葉を発するのも辛かったのだ。
「実はと言うとここにも神に祈りを捧げるための礼拝所が存在してましてな、中央区にあった教会があの魔術の被害にあってしまい祈りを捧げられなくなったので、ここで祈りを捧げていたのです。そしたら天啓が降りてきましてね、『異界人のアランという男を連れてきて』と言われたのですよ」
「い……言われたって……誰に…ですか?」
「聖教会が崇める神は一柱だけですよ」
そう話しているとアドラはこの建物の最奥にある扉に手をかけて、押し開く。
「"聖騎士長"アドラ、異界人アラン及びその仲間達を連れてきました」
「待っていました、よく連れてきてくれましたね。流石は私の"剣"です」
「いえ、勿体なき言葉」
アドラと会話するその女性は、普通の人間にはみえなかった。
手、足、目、口、髪。そのどれを取っても人の様ではある。だが、人よりも遥かに美しいと感じさせる"何か"をその女性は持っていた。
その女性がアドラとの会話を終えると、その双眸をアランの方に向ける。
最初はアランもその目は綺麗な金色だと思っていた。だが、見ているうちに銀にも青にも赤にも、ありとあらゆる色の様に感じられた。
その今まで感じたことの無い感覚に目眩がしてきたアランは何を思ったのか、その女性の方へと歩を進めようとした。
次の瞬間、彼が立っていたのはテールの街では無かった。
「は?一体……ここは」
「まだ、混乱しているみたいですね」
ひたすらに白いとしか言いようの無い空間に響く女性の声。
咄嗟に声のする方に顔を向けると、そこには先ほどの女性がいた。
「貴方は……何者ですか?」
「そう言うアナタも薄々分かっているのでは無いですか?」
その言葉でアランは何かハッキリと理解した様な感覚を覚え、頭に思い浮かんだ存在の名前を上げる。
「まさか……貴方は、"光の女神"…様…ですか?」
「ふふ……アナタが漸く私の正体に辿り着けたことで、次の話に移りましょうか。それがアナタを呼んだ理由なのです」
「僕を呼んだ理由……」
一度そこで言葉を区切った女神は100人が見れば100人が惚れるであろう程の綺麗な微笑みでアランを見据えて内容を話す。
「アナタを呼んだ理由……それは……」
女神は自身の願いを笑顔でアランに告げる。
だが、光の女神ティアーラはその笑顔の下で怒りを燃やす。あの忌まわしき悪魔を……かつてティアーラが自身の手で滅ぼした種族である悪魔になった異界人をこの世界から消すべく、あらゆる手を尽くす。それが彼女の願い。それがティアーラが神と成ったときに誓ったティアーラの願いだからこそ。
(私は必ず悪魔を消す……フィー……貴方のためにも)
ティアーラによるゼロを殺すための計画は着々と進んでいた。
◇━━━━━━━━━━━━━━━◇
「よし、ここら辺でいいのか?リア」
「はい。ここら辺一体がテールからツァーレまでの最短距離となる場所ですので、恐らく異界人達もここを通るかと。あ…あの草が低いところが恐らく人の通っている所ですね」
リアが指を指した方を見てみると確かにそこは周りに比べ草が低く、踏みならされた様な跡があった。
「ならここら辺で餌が来るのを待つか……そう言えば今の服装のまま襲うのはちょっと不味いな」
そう言うゼロとリアの服装は先のテールでの戦いのせいで血が服にこびり付いており、異臭を放っていた。
「確かにこのままだと、流石に魔物も寄ってきてしまいますね」
「ん?魔物って血の匂いに釣られてくるのか?」
「そうですよ?」
ゼロはその事を初めて知ったが、よく考えて見れば魔物も野生生物の様な物なんだから血の匂いがすれば、そちらに向かう習性があるのかもしれない。と考えたゼロはそこでその考えを終えて改めて先ほどの話に戻る。
「んー……なら余計に必須か。リア、服を変えるぞ」
「あの、すみません。私は変えの服を持っていないんですが……」
「そんなもん異界人達から奪い取ったものにあるだろ」
「ああ、それがありましたね」
そう言いながらゼロはインベントリの中のアイテムを確認して……頭を抱える。
「やべ……アイテムが多すぎる」
あれだけプレイヤーを殺していたのだから相応のアイテムが溜まっていてもおかしくなどないし、ゼロだって何となく分かっていたからアイテムを金に変える機械をルナに貰っていたのだが、ゼロの手に入れていたアイテムの量はゼロの想像以上だった。
「リア……手伝って…くれるか?」
「………………はぁ」
リアの珍しい本気のため息に申し訳なさが込み上げてくるがゼロとリアは異界人狩りよりも先にアイテムの整理をする事になった。
「これいるかな?」
「こちらの服はいるんじゃ無いですか?」
「ん?なんだこれポーションとかか?……あ」
「ちょっとそれ!毒ですよ!」
「え?まず……」
……ゼロ達が動き出すのはあと少し。
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