閑話〜運営の絶望〜
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(サマー〇ォーズのネタです)
「……ん?」
「どうした?」
「あ……あの先輩…。彼ら何やってると思います?」
「んー?……は?」
そこには少し前に監視をし続ける事が決定していた男、ゼロが南の森から、ありとあらゆるモンスターを扇動で操りながらテールの街に進軍している姿が映し出されていた。
「え?コイツら何をして……っ!この進路……まさかコイツらこのままテールの街に進軍するつもりじゃねーだろーな!?」
「……あ」
だが、焦る運営などつゆ知らずゼロとリアはだんだんとテールの街に近づいていき……モンスターがついにテールの街の防衛用の城壁に突っ込んだ。
「やっぱりそうじゃねーか!おい、瀬奈!すぐに主任を呼んでこい!」
「は……はい!」
瀬奈と呼ばれた人物はすぐに主任を呼びに行く。
「おいおいおい、冗談だろ?まさか壊れないよな?門が壊れたりしないよなぁ!?」
だが、男性の願いとは反して徐々に城壁の門にヒビが入っていく。そして遂にその門はモンスターの大群に限界を迎え壊れてしまった。
「そうですよね!この門って雑魚モンスターを想定して作ってあるもんね!?南の森にいる高レベルモンスターを想定していないもんね!?てか、第一なんであのプレイヤー はモンスターを操れちゃってるんだよ!?どこの誰だよ!悪魔をモンスター寄りにしてモンスターの殆どに人間への敵対心を植え付けさせたの!」
目の前の画面に映し出される絶望的な状況にどこへ向けていいか分からない怒りが湧いてきた男性は頭を抱えて地面に向かってヘッドバンをしながらキレ続けていた。
「おい、今の状況は!?」
その時主任と呼ばれる男が入ってきたのに気づいた男性は救世主が来たとばかりに現状を全て主任に話した。
「……ッスー。帰っていい?」
「ダメです。貴方は主任ですよ?さっさと仕事をしてください。」
主任が現状を聞き、一周まわってむしろ驚きも湧かず、さっさと帰って不貞寝でも決め込もうとした所で部下から止められる。
「と言っても出来ること無いのくらい分かるだろ!?」
「このプレイヤー、害悪行為をしたってことで垢BAN出来ないんですか?」
"垢BAN"それは運営によってプレイヤーのアカウントを強制的に停止させること。規約違反などがあればゼロのアカウントを運営も削除する事はできる。だが……
「このプレイヤーの行為、別に違反じゃ無いんだよな」
「え……これで?」
そう、ゼロがしたのはモンスターを使った街の破壊行為。これは別に運営の方から咎めている訳では無いのだ。まぁ、まずプレイヤーが街ひとつ簡単に壊すなど誰も予想していなかったのだが。
そんな事を話している内にどんどん事態は悪い方向に進んで行く。
「あ……ティアーラが勝手にプレイヤーにクエスト出してますよ!内容は……モンスターとゼロの討伐!?」
「おい、それって俺らの方が不味いだろ!」
クエストの内容を確認した運営は絶望した。
内容は要約してしまえばモンスターとゼロの討伐だ。だが、ゼロ個人への討伐を促すクエストが出てしまったこと自体が問題なのである。
これはゲームだ。例えもしゲームのAIが勝手にプレイヤー個人を殺す目的のクエストを他プレイヤーに発行し、殺されればどうなるだろうか?勿論、運営はその件をクエストを出されたプレイヤーに非難され炎上。果ては会社が倒産してもおかしくないだろう。
「あ……終わりましたね。プレイヤー達のほとんどがあのクエスト受けちゃいました」
「……ッスー。はぁ、俺たちのゲームもここまでか……」
絶望のあまりため息も出る主任。だが、そんな運営に僅かな光が差し込んだ。
「いや、待ってください!ルナが専用クエストを出しました!」
「うおー!ナイスプレーだルナ!これならワンチャンあるぞ!」
ルナがゼロに専用クエストを出すことでバランスを取ったのを見て運営は歓喜する。これでもし彼がプレイヤーに殺されても訴えられないかもしれない。と
これで彼が倒されればPKをしている以上監獄に入るので、一旦は平和になるのだと。
だが、その考えが甘かった。
「……は?…えちょ……は?」
「コイツ嘘だろ?」
ゼロがモンスターの特性を使ってプレイヤーを全員殺してしまったのを見て運営全体の空気が重くなる。
「本気でこれやばくね?」
「この街の現状……もしかして、監督責任が足りなかったって言われてで俺のクビ飛んだりする?」
「主任いい人でした。さよなら」
「主任おつかれでーす」
「勝手にもうクビにしないで貰えるかなぁ!?言い出したのは俺だけどさ!あと軽く送り出そうとするのはやめてくれる?悲しいから!」
完全に画面の中の街の状況を見て絶望して、一周まわってクビになった時を想定した話をしてしまっている運営の人達だったが、そんなちょっと笑えるやり取りの裏では予想も出来ないほど更に笑えない不味い展開に発展する。
「え!アドラ!?なんでコイツが出てきてんの!?」
その画面上にはゼロに向かって斬りかかるアドラの姿があった。
その男は本来ならもっと後のゲーム内のイベントで出す予定だった強キャラの一人であり、普通ならこんな所で出ては来ない。
なら、何故ここにそんなアドラがいるのかと言うと……
「あ…ティアーラがこのプレイヤー一人を殺すために勝手に送り込んでますね」
その報告を聞いた主任は画面に背を向けて耳を塞ぎうずくまる。
「はは……もう終わりだ終わり。このゲームはここで終了だよ。多くのプレイヤー達の最初の街が、ゲーム開始から一日で破壊されて多くのプレイヤー達も死に戻り。NPCも大量に死んじゃって最後にテールの街のプレイヤーにティアーラから、このゼロとかいうプレイヤーにはルナによってクエストが出たと思ったら、アドラがゼロを殺すために出てきた?巫山戯てんのかって話だよクソが!」
絶望のあまり、画面を背に現状への憎しみの長文を呪文のように吐き続け、もう全ての声が聞こえなくなっている主任とその横で終わりを確信したように呆然と突っ立っている先輩を見て苦笑いをする瀬奈は画面を見て驚いた。
先程までのゼロの雰囲気が変わりアドラに向かって有り得ない事を口走っていたからである。
『上等だ。この俺"闇の女神ルナ"様が剣"悪魔ゼロ"が相手をするとしよう』
「嘘でしょ?この人あのアドラに勝つつもりなの?はは……やば」
ゼロのその言葉とその顔に浮かべる笑みを見た瀬奈は軽く笑ってしまう。
だが、彼の目を見ていると不思議と勝ててしまうような気がしてくるのだ。
「よし……こうなったらやけだ!もしアドラに彼が勝っても負けても面白い映像が取れたらその戦闘映像、ゲームのPVで使わせて貰えないか問い合わせて、使わせて貰おう!」
運営の中でも一番若手の彼女が一番ゲームの未来を見据えているのが一番笑える話ではあるが、それと同時に少し意識を取り戻した主任が瀬奈のその言葉を聞いて、胃に凄まじいダメージがまたもや入ってしまったのは、また別の話。
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