閑話〜クリスマスSP〜
キャラ崩壊&メタ要素&物語の流れ無視。
その全てを行っております。
見なくても物語には影響しないので、見なくても結構ですが、出来れば見て欲しいです。
(*´ `*)
これは作者が無理くり時空を弄り作り出した、ゼロとリアが引き離されていない世界線のお話……。
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「ゼロ様、"くりすます"と言うのはどういうものなのですか?」
「ん?どうしたんだ急に」
リアは唐突にゼロにある質問を投げかけた。
それは"クリスマスとは何なのか?"
リア達の世界には"イエス=キ〇スト"なんて人物は居ないので、勿論クリスマスなんて行事は生まれない。なんなら本当の意味で宗教と呼べる物は聖教会くらいしか無いので、そんな行事も生まれなかったのだ。
「あーそうか。クリスマスはこの世界には無いのか。……てか何でクリスマスなんて知ってるんだ?」
「ああそれは"大人の事情"と言うやつです」
「大人の事情か」
大人の事情です。
「あ、すまん。話が逸れたな。それで、クリスマスとは何か……か」
「はい。"くりすます"と言うのが何か気になってしまって夜も眠れません!」
「お前は元々、夜も眠らねぇだろ」
ゼロが突っ込むとリアは可愛くはにかんで見せた。
「はあ……まあ、クリスマスってのは元々は、ある人の降誕祭なんだが、俺達の出身国ではその日に恋人や友人、家族なんかと集まってお祝いしましょう……っていう祝いの日のイメージが強いな。あとは、クリスマスの夜にはサンタクロースがやって来てプレゼントを配ったりとかな」
「"さんたくろーす"とは何ですか?」
「ああそうか、それもか」
クリスマスが無いならば、勿論サンタクロースなんて超次元の存在が生まれる筈もない。今日のリアは好奇心旺盛なので知らない物はどんどん質問していく。
これは余談だが、作者は9歳くらいの頃に母親に向かって……
「サンタさんはママでしょー!?」
なんて言ったばかりに、次の年からプレゼントが無くなり、現金支給になったのはいい思い出である。
「サンタクロースってのは、どんな建物にも入り込める技術を持った凄腕の人物で、みんなが寝静まった夜、その一年をいい子にしていた子供のもとに現れては、プレゼントを渡していく大犯罪者だ。赤色が目印だな」
「"いい子"とはどういう基準で選んでいるんですか?」
「子供は生きてるだけで"いい子"だから殆どの子供が貰えるんだよ。……いや、貰えた事が無いって方はすみません」
「誰に話しかけているんですか?」
「大人の事情だ」
「大人の事情ですか」
大人の事情です。
ゼロの言い方は棘があり、初めて聞いた人なら誤解をしそうな説明ではあったが、リアはゼロの言わんとしていることを正確に読み取った、
これが、俗に言う"以心伝心"というやつである。
あれ?違いましたっけ?
「つまり、どんな場所にいる子供でも、夜の内にプレゼントを配ってくれる優しい赤い人って事ですか?」
「まあ、簡単に言えばそうだな。……サンタが人かどうかは真偽が問われるが」
ゼロは、もしサンタクロースなんて人物が本当に居るなら妖怪か怪物の類だと思っていた。
何せ、世界中の子供達に一日でプレゼントを配るのだ。そんな事が出来るなんて人とは言えないだろう。どんなスピードで配ればそんな事が出来るのか教えて欲しいくらいである。
ただ、リアはゼロの話を聞いて満足したのか何回か頷いた後ゼロの方を向いて一度頷いた。
「ゼロ様、教えて下さりありがとうございます」
「いや、別にいいよ」
リアはゼロにお辞儀した後どこかに歩いて行こうとする。
「どこ行くんだ?」
ゼロがそう聞くとリアは振り返り、唇に人差し指を当て、少し笑って言った。
「ふふ……秘密です♪」
今日も闇がやってくる。
日は落ち、辺りが暗闇に染まり出す。
◇━━━━━━━━━━━━━━━◇
ゼロはその時ログアウトしていた。
「はぁ……白米はうめぇ」
最近のゼロは専らもやしのみの生活だったので白米が余計に美味しく感じるのだろう。
というか、ゼロ自身なぜもやしオンリーで生きていられたのか正直謎である。
「ふう……飯も食ったし、そろそろログインするか」
時間は深夜の0時。
普段ならそろそろ寝る時間なのだが、今日は何となくもう一度ログインしたくなったのだ。
「よし、やるか」
ゼロは気を引き締めてログインする。
そしてログインしたゼロの目の前にあったのは……。
◇━━━━━━━━━━━━━━━◇
「ん?」
「へ……?ゼロ……様!?」
「何やってんだ」
目の前には辺り一帯を真っ赤な血で染め、自身も《血液魔術》で作ったのであろう真っ赤なドレスを来たリアが居た。
「あの……その……これは……そのぉ……」
今まで見せた事が無いほどに狼狽えるリアと辺り一帯の風景。そしてリアの格好を見てゼロは一つ思い至った事があった。
「まさか……サンタクロースか?」
「あう……」
いつものキャラはどこに言ったのか?と聞きたくなる程にキャラ崩壊を起こしているリアだが、ようやくゼロは納得がいった。
だが、それでも突っ込みたい所が幾つかある。
「少し質問をしようか」
「はい……」
めちゃくちゃ落ち込んでいるリアだが、それでも関係ないと言わんばかりにゼロは遠慮なく質問する。
「この風景はなんだ?」
「"さんたくろーす"は赤が目印と聞いたので風景も赤くしようと……思いました」
「あー……」
ゼロが言葉足らずなせいで起こった不幸な勘違いその1。
風景が全て血のせいで地獄絵図。
リアは服装だけでなく風景までもが"赤"だと思い込んでしまっていた。
「じゃあ次にあの吊るされている魔物はなんだ?」
「プレゼントです!あ、生きてますよ」
「あー……」
ゼロが言葉足らずなせいで起こった不幸な勘違いその2。
プレゼントに魔物の肉体を用意する。
まあ、プレゼントなのだから間違っては無いが、なかなか魔物をあげるなんてことは無いだろう……普通に怖いし。
「じゃあ最後だ。なんで俺に抱きついてるんだ」
「……………いえ、疲れたので、ゼロ様に抱きついて癒されていたとかではありません。ええ、違います。違いますとも」
「やめろ、イメージが崩れる」
「はい……すいません」
リアの大失敗その1。
ゼロが起きるのは、どうせ数日後だろうと考えて、疲れたリアはついついゼロに抱きついたまま甘えてしまっていた。
完全な失敗である。
「はあ……まあ、なんだ。リアなりにクリスマスを祝おうとしてたんだろ?」
「はい……」
「でもなぁ……俺、別にいいことして無いし、子供でも無いんだけど」
「いえ、先日ゼロ様は、私にとってとてもいい事をしてくださいました」
リアは先程までのキャラ崩壊を収めて真剣な顔でゼロに語 りかける。
「ゼロ様にも未だ完全には私の過去を明かすことは出来ません。ですが、ゼロ様は私の因縁を……過去の怨敵を打ち倒してくださいました」
リアが思い浮かべるのはゼロとアドラの戦い。
リアのため……だとはリア自身、烏滸がましいので思ってはいないが、理由はどうであれ自分を助けてくれた……そしてアドラを倒してくた。そんなゼロにリアは心から感謝をしていた。だからこそ、今日こうしてゼロを祝おうとしたのだ。
「ゼロ様……本当にありがとう…ございます。貴方様は私の恩人であり、最も大切な人です!」
そこまで言われるとゼロも文句は言えない。
正直、最近は殆ど言っていなかった言葉をゼロはリアに言う。
「あー……なんだ。ありがとな」
「……っ!」
リア自身貰えると思っていなかった言葉。
リアが驚きで固まっていると、ゼロは恥ずかしそうに頬を染めて、一言リアに忠告をする。
「こんなに血をばら蒔いたら魔物が寄ってくるだろ?俺がまた戻って来る時までに片付けておいてくれ……じゃあな!」
最後の方は早口だったが、リアが何かを言う前にゼロは再び眠りについてしまった。
リアは普段見せないゼロの慌てようを見て、少し笑ったあと一言呟いた。
「大好きですよ……ゼロ様」
今日も夜は明けていく。
闇は明けて光がやってくる。
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