EPISODE 天界編1
時は遡る。
「私の親愛なるビレッジの先生を、殺したのは、君か」
手足を拘束されているイツキは頷く。
「本来なら、ビレッジの掟により君はここから消えてもらうのだが」
手元の黄色いドリンクを口に含み、堪能するかのように味わって飲み込んだ後、提案をした。
「君は、マジックサンクチュアリの天使になって貰うことにしした」
声の主は、ボルトビレッジ、そしてマジックサンクチュアリを統括するキング
ライトボルテックス
「天使とはなんだ?」
イツキはまっすぐ王に向けて放つ、タメ口だ。
「話せば長くなる、こちらへこい」
ライトがそう言うと、イツキの縛られた縄が全て魔法によって解除される。玉座に座るライトへ向かい、膝をつく。
イツキは緊張を感じていた。
威圧感というものがあったからだ。
「君には天使の契を行う、この世に帰るのも、帰られないのも、君次第だ」
イツキの額に手を触れた刹那───
フッ、とイツキが消えた。
「ここは、どこだ」
「天使の世界へようこそ」
天使とは思えない普通の人間の姿をした壮年の男性が現れた。
辺りは真っ白、その床下は水晶のようになっており───
そこにはカミヤの姿が映っていた。
「君は、今日から天使としてカミヤへ的確な言葉を授ける任務にあたってもらう」
さらに続ける
「そして、君の名前は下界の名前ではない、エンジェルネームNO.7─フェリだ」
フェリ? 俺の名前が?
何がなんだかわからない、俺は死んだのか?天使の役割とはなんだ?そして魔法は……
「この天使の世界では、魔法は使えません」
「どういうことだ?俺はマジックビレッジでランク3の魔法使いになるために編入したんだぞ」
「下界へ戻るには一つ条件があります」
「それは、カミヤという魔法使いを見守ることです」
曖昧すぎる。見守るだと?いつまで見守ればいい?
疑問が次々と頭のなかに湧いてくる
その時
カミヤの悲鳴が聴こえた。
どうやら、決闘場で負けそうなのだろう。
「フェリ、あなたの出番ですよ」
壮年の男性、いや天使がそう告げ、ずっと姿を消した。
天界編 天使フェリ 始動