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ベトベト

作者: スフィンクスさん

俺は生まれつきベトベトしている。

デブなわけでもないし汗っかきというわけでもないが、とにかく全身ベトベトしているのだ。

服を着るとすぐに服がベトベトになってしまう。繊維がすぐ痛むから服代がかかる。

ショップでバイトをしていたことがあったが、商品に触るとベトベトになってしまうためすぐにクビになった。


そんなベトベトした俺でも、友達になった奴は快く接してくれる。

みんな普通の奴だ。ベトベトはしていない。

あいつらときたら、たまに俺のベトベトを触りたがって、よく密着してくる。

ベトベトになっても気にせず、スキンシップを取ってくれる。


ある日、友達とデパートにショッピングに出かけた。

みんな良さげな服を選んでわいわいしている。

俺は、商品がベトベトになるといけないから、少し離れて様子を見ているだけだったが、楽しかった。


そんな中、突然デパートに異常事態が起きた。

なんと、デパートのなかに爆弾が仕掛けられたというのだ。

友達もデパートの店員も、みんなうろたえている。

俺だってこんなところで死ぬのは嫌だ。

何を思ったか、友達がその爆弾を探しに行こうと言い出した。

どうやらドラマによくある、赤い線か青い線を切れば爆発しないっていう筋書きで何とかなるんじゃないかと、そう思ったみたいだ。

俺は気が進まなかったが、友達に付いて爆弾を探し始めた。

すると案外簡単なもので、三階の子供預かりセンターのゴミ箱に仕掛けられたのを見つけてしまって拍子抜けした。

とはいえ、子供を狙うなんて犯人は最低な奴だと思った。

友達がある店舗から借りてきた(盗ってきた)ハサミで線を切ろうとしてみた。

だが残念なことに、線は2本どころではなく、何十本も張り巡らされていたのだ。

友達は匙を投げた。それにもう、タイマーを見たら時間はない、あと20秒ほどで爆発する。

ええい、ままよ!と俺は爆弾に覆い被さった。友達には死んで欲しくなかったからだ。

せめて俺が盾になって爆発を防げれば、ととっさに思っての行動だった。

別に英雄気取りなわけでもないし、自分の人生に絶望してヤケクソになったわけでもない。無我夢中だったのだ。



ーーービーッ。

変な音が鳴ったと同時に、タイマーが止まり時間の表示がなくなった。

何が起きたんだと思ってみたら、爆弾がベトベトになっていた。

俺が覆い被さったことにより、爆弾がベトベトになって止まったのだ。

人生で初めてベトベトが役に立った。

その後、爆弾処理班がやってきて、爆弾は無事取り除かれた。

俺はみんなから感謝された。みんな喜んで俺のベトベトに触れてきた。

中には舐める者もいた。どうやらちょっと甘いらしい。

ベトベトも捨てたもんじゃないなと思った日だった。



その後、俺はベトベトで生成した水飴を売って大儲けをしたのだった。



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