閑話 sideセリア 気になっている人がいるんです
一応明日も投稿予定です。
こんにちは!皆さんお待ちかねセリアです!
…え、待ってないって?
ふふっ、恥ずかしがっちゃて〜
……え、まず誰だって?
ご冗談を。
忘れてるわけないでしょ、全くもう!忘れたふりなんてしないで!
………え、ホントに分からないって?
え、えっ、嘘でしょ。
ちゃんと登場してるのよ!
ほら、転移した広間の王座の横に!
お父さまに紹介もされたのよ!
わたし王女よ!
※第5話登場
…………えっ、影が薄すぎるって!
そんなぁ…
と、いうわけで、わたしはセリア・K・マズラルです。ちゃんと覚えておいてね!
えっ、誰に向かって話しているのかって?
ふふっ、それはもちろんヒ・ミ・ツだよ。
今回はわたしの話をするよ。
実はわたし、最近気になっている人がいるの。…あぁ、恋愛的な意味じゃないよ。
わたしの昔からの友人、ツバキ姐さんにどうやら好きな人ができた見たいなの。
というのも、わたしと姐さんはよく城内で話をするんだけど、最近、その人の話ばかりなのよ!
姐さんは否定するんだけど、出会ったばかりの2ヶ月前は「あの子」って言っていたのに、最近じゃあ「彼が…でね」ってしつこく話すの。頬を赤らめてるあたり間違いないと思うの。
わたしと姐さんは親同士が知り合いで、3歳の時からの付き合いで、3つ年上だから姐さんなの。
お父さんがうるさいせいで彼氏の1人もできないって嘆いてた姐さんに好きな人ができたのは祝福したいのだけど、その相手が曲者で…
こないだ、お父さまが27人の勇者を召喚したのだけど、その中で唯一「女神の祝福」を受けていない青年がその「彼」だったんです。
彼の名前は霧峰瑛斗
すごく弱いし、わたしは姐さんの恋を応援すべきなのかな…と思って彼に会いに行っているのだけど…
会えない!
おかしい。同じ城内にいるはずなのに…
全く会わない!
彼の仲間に何度も何度も彼の居場所を聞いて向かっているのに、どうしても会えない。
そのせいで彼の仲間ばかり仲良くなってしまいました。
※アキトは王女を王の仲間だからと索敵で逃げてました。それで索敵レベルが上がったとかなんとか…
特にシオリさんやカエデさんとは彼について話しているうちに仲良くなりました。
シオリさんとカエデさんがいつも逆のことを言うのでとても面白いです。
でも、そんなことも今日で終わり。
今晩わたしは彼、アキトさんの部屋に突撃します。
「右よーし、左よーし」
「セリアいっきまーす!」
ダダダダダッ
「プギャ!」
グシャ。ベチャ。
そこにはドアに張り付く哀れな王女がいた。
※解説ターイム
まず、セリアがドアに走る
セリアがドアノブに手を掛ける瞬間
まさかのドアが内側から開けられる
手をかけ損なったセリアはそのままドアへダイレクトアタック♪
見事にクラッシュ!
「おぉ、ワリーワリー。いや〜気づかなかったわー(棒)」
嘘をおっしゃい!本当ならそんなにニヤニヤしてるわけないでしょ!
赤くなった鼻頭を両手で抑える。
やはり、この男に姐さんは任せられない!
※アキト重度警戒中
心の声(先手必勝!)
「あなたがアキトさんですね」
「あぁ、そうだが?」
ビシッ
「聞きたいことがあります!」
「おぉ、そうかちょうど俺も聞きたいことがあるんだ」
おや、彼も?
「ここで話すのもあれだしな。まぁ、上がれよ」
部屋の中は思ったよりも綺麗でした。
鍛治用の炉を兼ねている暖炉にはゴウゴウと火が焚かれており、用具も手入れと整理がされ、机や床には埃もなく掃除が行き届いているように見えました。
ふーん、なかなかやるじゃない。
「で、まず聞きたいことがあるんだけどさ。王女がこんな時間に男の部屋に来るってどうよ?なんなの?夜這いなの?」
「よ、よ、よ、よ、夜這いですってぇ!?
ち、ちがいますよ!」
いきなり何を言いだすんですかこの人は!?
「ふーん、あっそ」
※アキトの心の声
(ヤバイ、王女イジるのめっちゃ楽しい!)
「先に聞かせてもらう。あんたが俺を追い回してたのはどういうことだ?」
「それはですね。貴方に質問するためですよ」
「ほう」
※アキト再度警戒中
コホン
「単刀直入に聞かせてもらいます。
アキトさん、貴方はツバキ姐さんのことどう思っているんですか!!」
「……は?え?」
「どうしたんですか?」
「…ちょっと待て。聞きたいことってそれか?」
「はい、そうですが?」
「王からの命令とかじゃなくて?」
「はい?どうしてお父さまが?」
「…」
「…」
はぁ。
アキトさんがため息をつく。
「悪い、どうやらお前のこと勘違いしていたらしい。で、なんだって?」
「え、あぁ。ツバキ姐さんのことをどう思っているんですか」
どういう勘違いをしていたんでしょう…
「ツバキ姐さん?」
「そうです、ツバキ姐さんです」
「あの、書庫司書のツバキさん?」
「そうです。どう思っているんですか(彼女として)」
「え、いやまあ、(面倒見の)いい女性だとは思ってるよ(元女性恐怖症の俺でも話せるし)」
「(都合の)いい女ですって!?」
「あっ、でも、時々(冗談で)イジると赤くなって反応がいいのは好きかな」
「ええ!?(体を)イジると赤くなって反応がいい(性的な意味で)ですって!?」
「元の世界のさ、知識とかやり方を教えてあげてるんだけどさ」
「(性的な)知識とかヤり方とかを(肉体的に)教えてあげてるぅぅ!?」
「まあ、これからも仲良くしていきたいとは思っているよ(友人として)」
「仲良くしていきたいぃ!?(肉体的な意味で)」
そ、そ、んな、2人の関係がそんなに進展していたなんて…
※全く進展してないです
でも、なんとしても、なんとしてもこの男だけは姐さんから引き離さなくては!
こんな女を道具としか思っていない男!
姐さんは騙されているんです!
※思ってないし、騙してないです
「も、もう帰ります」
急いで姐さんを説得しなくては!!
「待てよ、俺はまだ聞きたいことがあるんだ」
「わたしにはないです!帰らせてください!?」
早く姐さんに伝えないと!
「待てって!そうだ、ここは俺の部屋なんだぞ!勝手に出ていけると思うな!」
ええ!?まさか!まさか、この男はわたしまで食べる(性的に)というのですか!?
自分の部屋に連れ込んで、逃げられなくした後で…
※連れ込んでないです。むしろ王女から入ってきてます
ブルリ
「いいですか!わたしに何をしようとわたしは決して屈しな『質問だ』はいぃぃすいません。すいません」
はっ、思わず謝ってしまった。
「お前、この国をどう思ってる?」
「はい?」
「どうした?」
「え?えと、え?質問てそれですか?」
「そうだが?」
「………すいません行き違いがあったみたいです」
「そ、そうか」
※アキト
(なんだろうこのデジャブ感)
「で、この国をどう思っているかでしたよね?」
「そうだ」
「え、っと、いい国なんじゃないですか?食料もあるし、争いごともなくて安定していますし」
「…本当にそう思っているのか?」
「え?えぇ…」
「そうか、ならいい。もう帰っていいぞ」
なんでしょう。今の含みのある言い方は。
「あぁそれと、俺から1つ忠告だ」
「はい?」
「王様には気をつけろ。この国は見かけほど安定もしていなければ平和でもない。近々行動を起こすだろうから、今のこの国が好きならしっかり考えて選ばないと後悔するぞ」
「え?お父さま?えぇ…」
どういう意味でしょう?
と、とにかく今は姐さんを!
セリアはアキト部屋を飛び出していく。
胸に嫌悪感と1つの忠告を抱えて
この後、ツバキに散々たしなめられて結局説得に失敗してしまう。
この時のセリアのアキトへの印象は
「変態」「女の敵」「よくわからない奴」
だった。
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王女は白、っと。
はぁ
アキトは1人になった部屋でごちる。
一体誰がこの戦争に加担しているんだろう。
奴隷まで使った帝国との戦争
流石に王様の独断ではないだろう。奴隷を買う奴や管理する奴だって必要だし。
それにしても王女、セリアだったか?
突然怒ったりと情緒不安定な奴だったな…
どうしたんだろう?
アキトがセリアの誤解を解くのはまだまだ先の話。