なんだってこんな目に......
1話短めでできるだけ早く更新していきたいと考えています
2話は1話からの回想シーンです
きっかけは、高校の受験日だった
寒空の下、駅から何十人という受験者が高校へ歩いていた。アキトもそんななかのひとりだった
いや、はずだった
寝坊をするまでは
アキトは元々あまり余裕を持っていなかったにもかかわらず、30分も寝坊してしまったのだ
そんなわけでアキトは改札口を抜けると、猛ダッシュで通学路を走り抜けた
「ヤバイヤバイヤバイヤバイィィ
高校始まれば遅刻するなーとは思ってたけど受験日はヤバイィィィ」
そんななかでそれが落ちているを見つけたのは奇跡とも言えよう
「ん、あれはー」
時間が押し迫るなか、立ち止まるのは愚策であろう。しかし、アキトは立ち止まった。なぜなら、それに酷く見覚えがあったからだ
それは、アキトが絶賛握り締め中の白くて細長い紙と同じ
そう、受験票である
「ゼッテーやべーだろこれ...」
しょうがないとばかりに、名前も見ずにとりあえず拾って、高校へ急いだ
「セーフセーフセーフ...まだ3分ある!」
入り口を探しながら歩くと、入り口と思われるところで、女の子と教師と思われる男性が話していた
「えーと、あのーもしかしてこれをお探しですか?」
そう言って、拾った受験票を差し出した
すると、女の子と教師?がそろって、こちらに顔を向けると
「あーー、それだよそれ!」
女の子が驚愕の表情を向ける
あっ、可愛いな、と俺は場違いも思ってしまったのも男なら仕方のないことだろう
そうなのだ、そうに違いない
「ほらっ、あったでしょう!」
と女の子は教師?に向けて言う
それから、俺は教師?に事情説明を求められ、素直に答えた
それから女の子に魅惑の「ありがとう」をもらい、思わず見惚れていると、はっ、として思い出すそう時間がなかったのだ、思わず腕時計を見ると...
試験時間を5分もオーバーしていた...
「終わった...もう、すべてが終わりだ...俺は試験に遅れてしまった...」
全身が白い灰になって燃え尽きたどこぞのボクサーよろしく
俺は突っ立ったまま終わりを迎えた
「へっ、なんのこと?」
「へっ?」
「へっ?」
頭にハテナマークを浮かべた2人の応酬が続く
「だって、もう時間が...」
「え、まだ5分あるでしょ?」
「へっ?」
「へっ?」
「マジ?」
「マジ」
「だってほら、時計....」
「それ、ずれてない?」
「••••••••••••••••••Noooooooooo!!!」
そうだった、昨夜遅れないようにって、時計進めてたんだった…
頭から湯気を出し、穴でも何でもいいから、入りたい気分だった
クスッと女の子が笑う。年相応の可愛らしい笑みだったが、俺は見ることさえできなかった
笑われちゃったよ、おかっちゃん
俺、初対面の美少女に笑われちゃったよ...
これが俺とシオリとの出会いだった
俺は余裕を持った中堅校に受験したのもあり、俺もシオリも合格だった
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すーはー、す〜は〜
少し進んで、学校初日、俺は教室のドアの前で深呼吸をしていた
「最初が肝心だ、第一印象ダイジ
第一印象ダイジ!」
俺は別に高校生デビューなんてするつもりはない
ただ、小中と保ってきた立ち位置を確保したいだけだ
アキトのクラスの立ち位置といえば、
air
つまりは空気だった、数人と友達になり、クラスのみんなとは広く浅い人間関係を築く、灰色の学園生活...
これには、アキト小学4年生の時のいじめが関係しているのだが、それはまた別の話
ふー、と大きく息を吸い込み、ドアを開ける
「おはようございます」
クラスを見渡すと俺の隣の席に妙な人だかりがあった
その席に座っていた美少女が、こっちに駆け寄ってきて......
「おはよう!アキトくん!同じクラスの隣の席になったね!これからよろしく!」
美少女シオリが満面の笑みを浮かべ、クラスの男子は、絶対零度の眼差しが降りかかってきた
高校生活始まって10秒、アキトの立ち位置が確定した瞬間だった
そのあと、クラスのみんなから逃げるようにシオリと仲良くなり、さらに冷たい目線を生む悪循環を繰り返した
その最中にシオリ通して前の席のコウスケとも仲良くなったが、なんの気休めにもならなかった...