武器選びって楽しいよね!
変更:書き忘れがあったので話を追加しました
しばらくして、納屋の光が収まる
ラドムは信じられないのか首回りをしきりに触る
しばらくして、首輪がないことを確認できたのか、俺を見上げて....
「......ありがとう……」
それだけ言って男泣きに泣いた
10分ほどで、泣き止んだので本来の目的を達成することにする
忘れていませんよね?
武器買いにきたんですよ?
忘れてましたね!
俺も忘れてましたよ
いや〜、なんで武器買うだけでこんなに時間が.....
ようやく店内を見回すと、商品は数えるほどしかない
「武器鑑定」スキルを発動させて、1つ1つ確認していく
そして気になるものは.......あった
店の片隅に刀、片手剣、両手剣が立て掛けてある
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黒曜の剣
黒曜結晶で作られた片手剣
「魔道具作成」スキルによる魔法は付与できないが、最高レベルの切れ味を持つ業物
特殊効果:光属性ダメージ減少(小)
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黒夜刀
黒曜結晶で作られた刀
「魔道具作成」スキルによる魔法は付与できないが、最高レベルの切れ味を誇る業物
特殊効果:魔力変換「切れ味」付与
自己再生(小)
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黒曜の大剣
黒曜結晶で作られた両手剣
「魔道具作成」スキルによる魔法は付与できないが、最高レベルの切れ味を持つ一品
特殊効果:与えるダメージ上昇(小)
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黒曜結晶
素材
暗黒魔力と自然魔力が蓄積しているところにできやすい
武器の素材としては、最高品だが、魔力との親和性が非常に低く並大抵の魔法は拒絶されてしまう
レア度 7/10
必要武器作成スキル7
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鞘に柄、刀身に至るまで、全てが真っ黒で、わずかに透ける透明感のある黒色だ
「なぁ、これかなりの業物だろ?言っちゃ悪いが、なんでこんなボロ屋に....」
そうなのだ
ぶっちゃけ、超ブランド武具屋にあってもおかしくないレベルなのだ
今の俺では武器作成スキルが低くて100本に1本しか作れない、特殊効果持ちの武器が3本、それも刀には2つも付いている
それもランク7の素材にだ
普通ならこんな所にはない代物なのだが....
「ボロ屋とは酷いなぁ...一応はマイホームだぞ、あとそれがなんであるかだったか?
そりゃ簡単だ、それ、俺が打ったからな!」
そういうと、ラドムは胸を張る
どうだ、と言わんばかりに...
..........
「うそ、だろ.....お前、鍛治師だったのか....しかも武器作成スキル7だったのかよ!」
「あぁ、そうだぜ!」
どうだ!もっと褒めろよ!と言わんばかりの先輩ヅラがムカついて、腹に一発かましてやった
よくよく考えて見れば、そんなにおかしい事じゃない
街きてすぐ武器屋始められて、鍛治師がドワーフにしかいないことを知っていて....
「でも、武器作ってる音なんて聞こえなかったぞ!」
そうだ、武器作ってれば、ハンマーやら槌の音がするはずだ!
「グフッ!....あぁ?そんなの防音の魔道具使ったに決まってるだろ」
防音の魔道具?
マジ?そんなんあるの!?
目からウロコの情報だった
後で絶対買おう
とアキトは誓うのだった
「なぁ、これいくらだ?」
「あぁ、金なら要らねえぜ、さっきので十分だ」
「いやいや、そうもいかんだろ!いくらなんだ?」
金を払おうとしたが、結局押し切られてしまった
「実際、そんなにスゲェ高ぇもんじゃ、ねぇんだ」
「いやいや、十分スゲェだろ」
「武器としては、な....
お前、武器鑑定使ったんだろ。なんてでてた?」
「えっ、最上級の業物だって……
あとは、魔法が...あっ!そうか!」
ここは、魔法至上主義の世界
魔法との親和性が低いのは致命的だ
「まぁ、加工すれば拒絶の効果は無くなるんだがな...
それでも、魔法が使いづらくなったっていう噂が絶えなくてな...」
なるほど、魔法が使えない俺にとって、最適な武器ってわけだ
「わかった、これはありがたく受け取っておくよ、あっこれ、旅の路銀にでもしてくれ」
そう言って金貨5枚を置く
どうだ、これは断れまい!
実質、代金を払ったのと同じだ
俺はなんとなく、貸しを作るのが嫌いだった、特に金関係は人間関係が崩れる
元々友達の少ない俺は特に気にしていた
ラドムも断れないことがわかったのか
「いやこんなには....
あぁ、もらっておくよ
じゃあこれは、後輩への選別だなっ!」
いくつかのインゴットを選んで、トレード画面を見せつける
ぐ、ぐそう、言い返せないじゃないか
そして勝手にyesボタンを押されてしまった
「......貰っとく」
「はははっっ、貸しなんて思ってねぇから安心しろ」
ピロリン
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スキル「交渉術」手に入れました
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このタイミングで!?
今のって交渉だったの!?
店の去り際、お小言を1つ頂戴した
「......おい、アキト、その服で行くなら、絡まれたり、スられたり後ろから刺されたりされやすいからきをつけろよ」
俺も最初王宮からの追っ手かと思ったしな
とラドムはカラカラと笑う
「えっマジで!」
マジ使えねえな、王宮のもん
帰りに服買ってくかな....
「あぁ、そういえば、王宮といえば噂が流れてたなぁ」
「へぇ、どんな話だ?」
「なんでも国王が最近奴隷を買い漁って兵士として加えてるとかなんとか…」
奴隷を兵になんて物騒な話だぜ、まぁもう俺は奴隷がないから関係ないけどなっ、とラドムが笑う
…待てよ、兵力の拡大?
そんなの1つしか理由を考えられない
戦争だ
これは予想だが、マズラル王国の国交的に考えて、相手は間違いなく帝国だろう
それなら俺たちの扱いは……
考えただけで寒気がする
あぁ、早くシオリたちにも伝えないと
「ドワーフの町に来たら呼べよ!」
「おう!」
そう言ってドアを開けた
外はもう、日がてっぺん近くに上っていた...
王宮出た時はまだ朝早かったのになぁ....
なんて、のんきに考えながら街に出る
ラドムの懸念が現実になるとも知らずに....