能力
頭がいたい。クラクラする。「寝ちゃったのか...」
寝ぼけ眼のままベッドからおきあがった俺は呟いた。どうやらテスト勉強をしたまま寝てしまったらしい。
俺、咲城龍は蒼真学園に通う高校2年生だ。今日は大切なテストの日。運命の分かれ目の日であるといっても過言ではないだろう。何故なら、俺は赤点と言う名の悪魔に身をおかされているからだ。
俺が通っている蒼真学園は校則が緩いのだがその分といってはなんだが勉強においてはかなりうるさい。この前も教師の小林鉄郎に数学の点数が悪くてどやされたばかりだ。
「外に出て軽く運動でもしよう。」
運動着に着替えてドアを開けるとやさしい朝日が俺を包んだ。これが俺の日課である。
とりあえず、学校に行くときによく通る道を進み、公園に着いた。だがその日はいつもと違っていた。毎朝いぬの散歩をしているおばさんもいなければ、ラジオ体操にせいを出すおじさんもいない。
「おっかしいなぁ」
とりあえず鉄棒を使っていつものように懸垂をしていると、ふと辺りが暗くなってきていることに気がついた。そして俺は事の重大さに気がついた。時計を見てみると午後の五時半過ぎを指していた。遥か昔には朝日と夕日に区別があったらしいが今はない。俺は無言で走り出した。もちろんあらゆる思考は停止。本能のまま学校へ走って走って走った。途中で靴が脱げたことも全く気にならなかった。気づかなかったといった方が正しいのだろう。学校に着いた。門はしまっていなかったのでとりあえず校内へ入ってみた。体育館からは、竹刀がぶつかり合う音、グラウンドからはソフトボール部の掛け声、上の階からは吹奏楽部の楽器の音が聞こえる。肩に馴染みのある重厚で大きな手が乗っかったことで俺は人生の終わりを悟った。
後ろには小林鉄郎がいた。
「お前。覚悟は出来ているな?歯を食いしばれっ」
鈍い音が校内に響き渡った。
「うぅ...」
目覚めると俺は特別指導室の椅子に座っていた。
「目が覚めたようだな。気分はどうだ?」
自分でやっておいて気分はどうだ?じゃねぇよ!と突っ込みたいところだがここはこらえる。
「いいみたいです。」
俺は答えた。
「そうか、それはよかった。何か言い訳はあるか?」
俺は、哲郎の能力を忘れたまま答えた。
「母が急病で倒れてしまって連絡の暇さえありませんでした!すみませんでした!」
「そうか...それは仕方ないか..............」
ホッとため息をついた瞬間、俺は宙を浮いていた。
「俺に嘘が通用するとでも思ったかぁぁああああああ!」
俺は思い出した。哲郎が嘘と真実を見分ける能力者であることを。そしてそのまま俺は眠りに着いた。




