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俺は畳み掛けるようにして話を続ける。
「『剣王』には? 『竜王』には? 『聖王』には? 『屍王』には? 『巨王』には? 『獣王』には? なあ? もう一度聞くが、お前等はこの六人の『王』に、ちゃんと会ったのかぁ? 会ってないよなぁ? 会ってたらこんな話にはならぬしなぁ?」
「……その、『王』が何だと言うのだ」
「まだ分からんか? ここまで言ったら普通気付きそうなもんだが、まあ惚けてるのか。恐らくは手が出せなんだったのだろうがな――」
俺は手に持った宝玉を掌で転がし遊びながらヴァレルヴォルテックに言う。
「とりあえず、残り六つの『宝玉』は今言った六人の『王』が持ってるから、今すぐ向かったらどうだ? 俺の持つ『宝玉』何かよりも難易度低いと思うが?」
「――あの、『王』とは?」ルデアが俺に聞いてきた。
「ん? ああ、今言った六人、こいつらは俺に絶対の忠誠を誓った六人、俺が力を授けた人間だ。いや、元人間か。そいつ等もお前と同じように俺に戦いを挑んできた者達でな。俺の授けた力に『神』の力を持った『宝玉』を与えられた六人――今では俺と同じ『王』を名乗ることを許した奴らよ。ま、俺とまでは言わんが強いぞ」
俺の話を聞いたルデアが不思議そうな顔をした。
「どうした」
「いえ、あの。そんなスゴイ人達なら、なぜ行動を起こさないのですか?」
「そんなことか。別に不思議でもなんでもない。俺の命令が無い限りは自らが勝手に動くことはしない。まあ、相手から攻撃を仕掛けてきた、とかなら別だがな」
そう言って俺は憶測でヴァレルヴォルテックに聞く。
「ん? もしかしてお前等、手が出せないとかではなくて既に仕掛けたのか? 仕掛けて返り討ちに遭ったとかか? おいおい、それだと折角『宝玉』の在処が分かったというのに、どうしようもないだろ? どうするよ?」
ヴァレルヴォルテックは押し黙ったままだ。図星だ。愉快を通り越して哀れみを覚えてきそうだ俺は。本当『強い』って罪だと思った。
「ん? なんだ?」
ヴァレルヴォルテックが手を差し出すと恐ろしいほど低い声で言ってきた。
「その『宝玉』を渡せ――死にたくなければ黙って差し出せ。今ならまだ間に合わぬこともないからな……」
俺は真顔で目だけが点になっているのが自分でも分かった。
「は? お前は何を言ってるのか? 絶望的な状況に気でも触れたか?」
「……さもなくば私は『神』を呼ばなくてはならなくなってしまう。良いのか?」
「あ? 何だと?」
「『神』を我々と同じと考えるぬことだ……」
そう言ってヴァレルヴォルテックが不敵に笑いやがった。