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9

右目を塞ぐように垂れ下がった前髪を手で払ったマリアカーナが俺に視線を向ける。


「まあ覚醒間もなくてコレだったらそんなに悪くないんじゃない? でも、まだまだ『王』の器には程遠いと思うわ。まさか、コレを『王』にしたなんてことはないんでしょ? じゃないと、流石にロキ……違ったわ、ガルハザードが怒るわよ?」


俺は笑って言う。


「いや、既に『王』として俺の側に置くことを決めた。まだどこに据えるのかは決めてはおらんがな」


マリアカーナが肩を上下させた。


「……呆れた」


「なになに? 二人してなに話してるの? で? おばさん、どうなの? さっきのが本気なわけないよね? じゃないとボクガッカリなんだけど」

「だ、そうだぞ?」


ルデアの言葉にマリアカーナがあからさまに歯軋りを交えた舌打ちをする。しかしすぐに平静を取り戻す。俺は、今度はルデアに言う。


「構えとけよ」


「何にー?」


「構えても無駄よ」


不気味なほど冷たく低い声で、そう言ったマリアカーナが地を蹴ると、ルデアに瞬きをさせる間もなく一瞬にして間合いを詰める。


ルデアの思考が追いつくよりも早く、マリアカーナの突き上げ気味の掌打がルデアの顎を打ち貫く。マリアカーナの一撃で意識が飛び、吹っ飛ぶルデアの手からスルリと剣が落ちた。勝負は決した。が、マリアカーナは攻撃の手を休める気は毛頭ないようだ。


吹っ飛ぶルデアの脇腹を下から蹴り上げるマリアカーナ。


二撃三撃と攻撃を連ねる。一撃を加える度に巻き起こる衝撃波と共に糸の切れた操り人形のようなルデアの体が空高くへと舞い上がっていく。マリアカーナの七撃目。ルデアの体は雲を突き抜け、遙か空高くまで飛んでいた。


地上の俺からは二人の体は豆粒程の小ささになっていた。


空にルデアを残し先に地上へと戻ってきたマリアカーナが乱れた髪を手で整えると、ヒールの踵で地をコツンと叩いた。


その瞬間、ルデアの体が空から凄まじい勢いで地面へと叩き付けられるようにして落下してきた。重圧だ。感情のない人形のような表情のマリアカーナが二回、三回とヒールで地を叩く。連れてルデアの体が硬い地の中へとドンドンと深くめり込んでいく。


この攻撃はいつまで続くのか? それはマリアカーナの気が済むまでか、それか、俺から奪った『魔力』が底を付くまで続けられるだろう。


まあ、どっちにしろその頃にはルデアは死んでることには違いない。


俺は苦笑いを浮かべながらマリアカーナの元へと歩くと、その肩を掴んで攻撃を止めさせた。俺にニコリと笑ってみせるマリアカーナ。


最後の一撃――マリアカーナが力強くヒールの踵で地を叩いた。激震と共に地が蜘蛛の巣状に割れ砕け散った。


そこには俺がつい先刻ロイドに見舞った時と同じ、底の見えぬ大きな穴が出来ていた。

で? クリスマスは楽しめましたか?


……楽しめた?

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