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マリアカーナが笑顔でありながらどこか蔑んだような目でルデアを見る。俺は笑った。
「そう言うな。俺はお前が言う、その『チンチクリン』に封じられたんだからな」
俺はワザと「チンチクリン」のところを強調して言った。途端、マリアカーナの目付きが変わった。小脇に抱えたルデアを、女でありながら、ヒールの高い靴も有ってか俺に近い身長のマリアカーナが腰を折り覗き込むようにして見る。
マリアカーナが、若干引きつった顔のルデアの顎に手を掛けクイッと上を向かせた。
「……この雌が?」
マリアカーナの顔は笑っているが声は全く笑っていない。まるで値踏みをするみたいにルデアの至る所を「ふぅん……ふぅん……」と声にしながらジロジロと見る。
「ふぅん……それで? なんでそんな雌がアッシュと一緒にいるのよ。要するに敵なんでしょ? この雌。意味分かんない」
俺は脇に抱えていたルデアを降ろす。
ルデアがマリアカーナを見上げるようにしてみる。ルデアとマリアカーナが並び立つと改めてマリアカーナの高身長が際立つ。決してルデアの背が低いとかではない。マリアカーナがデカイのだ。因みに俺の身長は二〇〇ジャストだ。
「元俺の敵だったお前がそれを言うか」俺は苦笑した。
マリアカーナがまた頬を膨らませると拗ねたような表情になって俺の服の袖を掴んだ。
「意地悪……だって……あの時はまだアッシュのこと……何も知らなかったんだもん」
マリアカーナがルデアや衛兵共の目などお構いなしに、俺の脚に自分の脚を絡ませるようにして体を密着させる。
「……知らなかったの……アッシュが教えてくれたんだから……」
そう言ってマリアカーナが俺の下腹部を、股間を撫でさする。
「……雌は優秀な雄のコレには逆らえない……絶対に……」
マリアカーナが妖艶に笑うと唇をいやらしく舐める。隣のルデアが目を白黒とさせ「あわわ」と狼狽していた。
俺は密着したマリアカーナの体を強引に引き離す。
「あん」
「離れろ、匂いが移る」
「もう! 久しぶりだって言うのに、冷たい冷たい冷たいわよ!」
本気でブーたれたマリアカーナがムキーと俺の腕をポカリと叩く――
「……したい」
叩く、叩く、叩く――マリアカーナが俺の腕を叩きまくる。
「したい! したい! したい! したい! したい! したい! したい! したいの! アッシュとセックスしたーい! するの! するのするのするのー! アッシュと子作りすーるーのー!」
マリアカーナの一変に唖然とするルデア。
俺は頭を掻いた。癇癪を起こしたマリアカーナは容易なことでは収まらない。駄々を捏ねる子供とまるっきり一緒だ。
昔はこうではなかったんだがな……俺は溜め息を吐いた。
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あ、話は変わりますが。タイトルの変更は有り?無し?
元々のタイトルは、
魔王アッシュと七人の愉快な王(+1人)達
なんですが、どうなんでしょうか?