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メタフリーゼ王国。世界はシュバルド最北端に位置する争いの類を一切好まない信仰国家だ。国を統治するのは、先にも俺が述べた――聖王マリアカーナだ。


空を飛んで移動すること数十分。


俺の視界に半円形ドーム状に輝く『何か』が見えた。その何かとは、結界だ。俺はその結界を容易く通過する。


半円形ドーム状の結界の中。メタフリーゼの領域に入った瞬間。世界が一変した。脇に抱えたルデアが驚きの声を上げた。そこには『いつもの』世界が広がっていた。キレイに澄んだ空気に、清々しい程の青い空に真っ白な雲。暖かく心地の良い太陽の日差しに、鳥が飛び回り、優しく暖かな風が頬を撫でる。大地に目を向ければ色鮮やかな花々が咲き広がり、緑豊かな草原が視界遠く彼方まで広がる。


そして、人間によって均された道の先、三塔の尖塔が目立つメタフリーゼ王国ダランスタッド城があった。ダランスタッド城を中心に広く円形状に街が広がる。


多くの人々が行き交い。馬車が走る。営む店々からは活気な声が飛び交う。そこには紛れもない『平和』の日々を送る人々の姿があった。それを目にしたルデアの目にうっすらと涙が浮かんでいた。そしてポツリと声が漏れた。


「……なんで……?」


「何がだ?」


「なんで、なんでこんなに平和なんですか?」


「それが『世界』だ。お前が今まで見てきた世界、それが全てと思うな。このメタフリーゼは『神』にではなく『聖王』に支配されることを望んだ。ただそれだけのことだ」


やがて地上の人間が上空の俺の存在に気付いた。


一人、二人と、俺を崇め称える言葉が上がり始めると、それは一気に膨れあがり、まるで大合唱のような、割れんばかりの歓声へとなった。


俺はその声を気にすることもなくダランスタッド城上空までくると翼を休め地に降りた。


城門には槍を携えた衛兵の二人が笑顔で俺を迎えた。小脇に抱えられたままのルデアはずっとポカーンとした顔で俺の顔をみていた。すると、城門の向こうから大きな声が聞こえた。その大きな声は徐々に近づいてきた。やがて――


「――アーッシューッ! アーッシューッ! 会いたかったわーっ!」


という言葉と共に凄まじい勢いと共に城門の向こうから、どれだけの距離があったのかは分からんが、俺目掛けて蹴りがぶっ飛んできた。


俺はそれをヒョイと躱す。躱した蹴りが地に突き刺さる。地が発破を掛けたように破壊された。


「……相変わらずだな」


「あん、もう! 私の愛を躱すなんてあんまり!」


頬を膨らませ地団駄を踏んで怒る女。こいつが『王』の一人、聖王マリアカーナだ。


紫色の、下ろせば腰まである長い髪を結い上げ、『聖』という言葉に似付かわしくない毒々しい紫色のルージュを引いた女性。胸元が大きく開き、横に大きくスリットの入ったドレスから除かせる太股には、これまた到底似付かわしくない入れ墨が彫られている。よく分からない文字だが、どうやら、俺に向けた愛のメッセージということらしい。


高いヒールの音をリズミカルに響かせ、艶めかしく腰を左右に振りながらマリアカーナが俺の側に寄ってくる。強烈に甘い香りが俺の鼻を突き抜ける。


「あら、そのチンチクリンの雌は何?」

いつのまにかブクマが3000を越えてました。ありがとうございます!

評価も100を越えてました。ありがとうございます!

ストーリー評価が若干高いのは何気に嬉しいです。

これからの展開は結構雪崩れ式に進んでいく……かも?

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