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「……それってつまり……今世界にいる魔物は魔王さんの魔物ではないってことですよね?」
「まぁ、そう言うことになるな」
「それでは、そちらもヴァレルヴォルテックが何かしらで絡んでるんでしょうか?」
長い耳を少しだけ垂れさせ、不安そうな面持ちで言うルデア。
「考えられんことも無いが、それは限りなくゼロに近いだろうな……結界もあったろうしな」
「それでは……?」
魔物達がせかせかと動き回る様子を見ながら、俺は顎に手を添え考える。俺は空を見た。
俺が封印されるまでには見たこともなかった、けったいな怪鳥が縦横無尽に飛び回っている。まあ、俺が何十年と城から一歩も出ていなかったから知らなかっただけかも知れんが、少し気になった。
城が完成するまで少し時間もある。そうだな、と。俺は決めた。
「――行くか」
「どこにですか?」
「『王』共に会いにだ。何かしらの話が聞けるかもしれん」
「え? ……きゃっ!」
そう言って俺は、艶光る黒い翼を生やすとルデアを小脇に抱えて『王』共の居る国へ、俺目掛けて襲い向かってくる怪鳥共を当たり散らしながら、飛んで向かった。
この世界シュバルドには俺が力を授け、王と認めた六人の元人間が存在する。
剣王――ガルハザード
竜王――コアヴェンダブル
聖王――マリアカーナ
獣王――ルドルフ
屍王――ギャラフリード・ギャラード
巨王――バロン
此奴等六人。個々の力は相当なものだ。俺がこの世界に居なければ誰もが支配者になれる器をもっていると言っても過言ではない。
とりあえず一番最初、俺はここから一番近い場所――メタフリーゼ王国。聖王マリアカーナの元へと向かうことにした。
正直言って、この女とはあまり会いたくないんだが……仕方あるまい。と思いながら。
小脇に抱えたルデアが「きゃーきゃー」と喚くのが喧しいと思いながら。