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6/9

憂鬱

この作品はBL系です。

苦手なかたは見ない方がよろしいです。

今回に限ってなんで旅行に出掛けちゃうんだよ兄ちゃん


肩を落として、佇むのは一人の少年


液晶画面を覗けば、どうやら少年の兄が旅行に行く旨を伝えるメールが表示されていた。


「どうしよう。兄ちゃんが最後の砦だったのに」


少年の足元には大きなボストンバッグがおいてある。


「どっか泊まるとこ探さないと野宿だ。

もう秋なんだから野宿は勘弁して欲しい」


どうやら泊まる場所を探しているようである。


メールを閉じ、力無くその場を後にしようと踵を返した。



腕を掴まれ、抱き寄せられる。


「酷いな、どうして俺のとこに連絡してくれないの?


忍のためなら俺の家に招待するよ」


耳元で囁かれた言葉に鳥肌を立て、硬直する


「どうしたの?こんなに固まって」


優しく撫でる指先にまたもや鳥肌が立つ。


無理、これ以上は


冷や汗をかきながら全身に力を込める。


「ごめんなさい」


思い切り跳ね退け、脱兎の如く逃げ出す。


引き留められても止まりたくない。


なんでいるんだ、あの変態いやストーカー


振り返りたくもない。


全速力で走り、そして息が切れたところで立ち止まり深呼吸を繰り返す。


空気が美味しい。


額に浮かんだ汗を拭い、近くの自販機でスポーツドリンクを買う。


それを一気に飲み干し、日陰になっている場所に座り込んだ。


どうしようか


泊まるとこないなんて


疫病神でもついてるのかな


あ、ストーカーはついてたか


最初は良い人だった。


元々あいつは兄の親友で、兄の所に遊びに来ていた自分に優しく接して遊んでくれたのだ


だが、いつだったかあいつは


「ねぇ、忍」


「何?亮」


「俺と付き合ってくれないか?


もちろん恋人って意味だからね」


そう爆弾を投げてきたのだ。


正気か疑ったが


目を見て分かった。


冗談や笑いじゃない


本気だ、完璧に真面目に告白している。


そう分かるほど亮の瞳は真剣で笑いなど一ミリもなかったのだ。


はっきり言って予想外の事に返事を窮した。


自分的には兄の親友で年の離れた友人としか思っていない


いやその前に同性で恋愛自体考えていないのだ。


しかし、傷付けたくはない。


だから答えは一つだけだ。


「ごめん


亮の事は好きだよ?

でもそれは友人としてであって恋人としては見れない


好きになってくれてありがとう


だから他に良い奴を見つけて欲しい」


そう答えた。


すると、亮は悲しげに笑み俯いた。


少々胸が痛んだが、仕方がない


さすがに、ねぇ変えられないよ


気まずくて視線を反らした。


今考えれば馬鹿だった気がするよ


だって亮が蛇のようにしつこいとは思わなかったんだから


「なら、少しは望みはあるんだな」


「は?」


「決めたよ、忍。


俺は必ずお前を振り向かせてみせるよ」


話が完璧に合ってない。


いや、それ以前に亮お前はすごい言ったな


俺断ったよな


断り方を間違えたと言うのか


それはとても妖しい笑みで自分を見つめる亮


あの時俺は逃げるしかなかった。


だって怖かったんだ


逃げるために兄などとは必要最低限の交流で、居場所は告げてない


どうして?なんで亮はあそこにいたの?


偶然?


そんな偶然は嫌だ。


ブルブルと震え、身を縮めた。


「捕まるよりマシだし、恥を忍んで行くか」


肩を下ろし、歩き出す。


ケータイを開き、通話履歴をスクロールする。


そして目的の番号を探し当て通話ボタンを押した。


「出ますように」


そう願いながら耳に当てる。


そう背後に迫る脅威も知らずに電話をかけていたのだ。


「逃がさないよ、俺の忍・・・」




END

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