↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Solve  作者: 黒藤紫音
一息ついて。
PR
21/77

「信じるよ」「信じろ」

前に投稿してから一週間越えてるぞ!


別の小説書いてました。

それに夏休みも終わったので、これからは更新遅くなると思います。



 などとしていると、唐突に車の音が聞こえてきた。

 音のしたほうに目を向けると、その車はこちらに近づいてきて、汐那や涼護の前で止まった。

 そして、運転席の窓から、妙齢の女性が顔を出した。


「無事に助けたみたいね、涼護」

「ええ、まあ」


 どうやら涼護と知り合いらしい彼女は、車から降りると、こちらを見た。


「初めまして。貴女が蜜都汐那さんね?」

「そうですけど……?」

「私は、詩堂詩歩(しどう しほ)。涼護の上司」


 詩歩は、端的にそう名乗ると、今度は涼護に向き直った。


「犯人は?」

「中で伸びてます」

「そう」


 それだけ確認すると、詩歩は、廃工場へ向かって駆け出した。

 中に入っていくのを見た涼護は、汐那に話しかけた。


「後処理はこれで良し。俺らはこのまま帰るぞ。送っていく」

「……いいの?」


 汐那は、詩歩が入っていった廃工場を見てそう言うが、涼護はくく、と喉で笑った。


「大丈夫だ。詩歩さんだし。……道すがら、色々説明する」


 そう言って涼護は自転車に跨った。

 そして、後ろの部分を叩く。


「乗れよ。こっちのほうが速いし。……まあ、クッションとか、気のきいたもんはないけどな」

「出来ればあって欲しいけど……まあ、いいわ」


 歩くのも面倒だし。

 内心でそう思い、汐那は涼護の後ろに横座りで座り、涼護の背中に腕を回した。


「落とさないでね」

「いいからお前はしっかり掴まってろ。行くぞ」


 そう言って、涼護は自転車をこぎ始めた。


○


「警察に連絡入れなかったのは、依頼主の意向なんだよ」

「依頼主って――――私のお母さん?」

「ああ」


 涼護と汐那を乗せ、二人乗り状態になっている自転車は、夜の道を走っていた。

 たまにライトを点け忘れている莫迦がいるが、涼護はちゃんと忘れずに点けて走っている。

 そして、自転車を走らせながら、涼護は事情を説明していた。


「あんまり大事にしたくなかったんだろ、ストーカー被害を受けてたとかさ」

「まあ……確かに、プラスの印象受ける人は少ないと思うけど……」

「それにしたって過剰な気がするが……まあ、それはいいよ」


 そう言って、涼護は面倒くさそうに会話を切り上げた。

 が、横座りで座っている汐那は、まだ気になることがあるのか、涼護に向かって口を開いた。


「けど、それにしたって危ないよね。君たちが」

「うちはそれなりに実績あるからな。あんな行動に出た奴もいなかったわけじゃないし」


 涼護はその時のことを思い出しているのか、少し懐かしげな声だった。

 何があったのか、少し興味はあったが、それよりも気になることを訊く。


「でも、あいつどうなるの?」

「詩歩さんがどうにかするだろ。まあ、その辺りの詳しい事情知りたかったら、後処理が終わった後に説明する」

「そう……」


 そう言った汐那は、一見何も気にしてないように見えた。

 それを知ってか知らずか、涼護は言う。


「心配すんな。お前には、絶対に二度と手を出させないから。俺が護る」

「……乙梨君」


 安心させるように、笑っている涼護に、汐那は微笑んだ。

 ……不思議だ。

 ほとんど面識もないのに、どうして、こんなにも安心できるんだろう。

 汐那は、涼護の背中に頭をとん、と押し付けて。


「うん。信じるよ」

「ああ。信じろ」


 汐那が言った、「信じる」というその言葉に。

 涼護は、臆面もなく、「信じろ」と返した。


「……ふふ」

「なんだよ」

「何にも」


 汐那は柔らかく微笑んでいた。

 前を見ている涼護には、その顔は見れない。


「っていうかさ……私、今胸押し付けてる状態よね」

「指摘するな、人が必死に無視しようとしてんのに!」

「それはそれでむかつくなぁ……えい」

「さらに押しつけんなー!」

「ひょっとして、狙ってた?」

「んなわけあるか!」


 夜の道、自転車を二人乗りしている男女が、そんな痴話喧嘩を繰り広げていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。