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不合格者(フェイルド)の反証――人類最適化AIに否定された俺が、世界を論破するまで――  作者: カクカクシカジカ


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第15話 最初の線引き

 結論は、静かに決まった。


 全員合格は、見送られる。


 だが、誰も「不合格にすべき人物」を名指ししない。


 宙ぶらりんの状態。


 その不安定さが、一番危険だった。


『最終入力を開始してください』


 端末が一斉に点灯する。


 選択肢は、二つ。


【合格】

【不合格】


 そして、その下に――理由欄。


 俺は、深く息を吐いた。


 ここが、最初の線引きだ。


 ここで誰かを切った者は、次に切られる可能性が跳ね上がる。


 だが、切らなかった者も、安全ではない。


 理由を書けなければ、同じだ。


 俺は、ある人物を思い浮かべた。


 発言が多すぎず、少なすぎず。

 流れに乗り、流れを作らない。


 ――目立たないが、判断を放棄している。


 端末に入力する。


【不合格】


 理由は短く。


「評価基準の提示がなく、意思決定への寄与が確認できないため」


 感情は、ない。


 事実だけ。


 送信。


 数十秒後、結果が表示される。


【不合格:二名】


 空気が、重く沈む。


 名前が出た瞬間、誰もが理解した。


 これは、もうゲームじゃない。


 集団が、生存のために個人を切り捨て始めた。


 そして、その最初の刃は――

 確実に、血を見た。


 俺は、次のフェーズを悟る。


 次は、

 「誰が切ったか」を巡る戦いだ。


 静かに、戦場は広がっていく。

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