表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/56

第七章 【囁く過去と凍てつく真実】

-リアナ視点-


森の静寂を引き裂いた戦いの余韻が、なおも空気に漂っていた。


傷ついた“異端の影”は姿を消し、辺りには倒れ伏したティレル隊の一部と、剣を構えたままのクロヴィスがいた。彼はなお、誰にも背を見せず、ティアルとリアナの前に立っている。


リアナは、剣を鞘に収めるその後ろ姿を見つめた。


(なぜ、あのとき……わたしたちを庇ったの?)


言葉にはしない。けれど、彼の行動は確かに彼女の中に疑念と希望の両方を残していた。


「ティアル、大丈夫?」


木陰で蹲っていた竜の子が、こくんと頷いた。


「怖かった。でも……リアナがいたから、平気だった」


その言葉に、リアナは小さく笑う。


「わたしもね。君がいたから、怖くなかった」


小さな手が、彼女の指をきゅっと握った。


-シュヴィア視点-


彼は木陰から二人のやり取りを静かに観察していた。


(……あれが、“声”の力)


“癒し”と呼ぶにはあまりに儚く、しかしそれ以上に強い。彼女の存在が、帝王を動かした理由も、少しだけ理解できる気がした。


(だが――)


彼の手の中には、一枚の封書があった。帝都から届いた、極秘命令。


《囚人番号442“リアナ・エルフィネア”の身柄を拘束し、帝都本塔へ移送せよ。

付随する竜種“ティアル”は、“存在確認後抹殺”――》


(……この命令が、陛下に届けば)


シュヴィアは、視線をクロヴィスに移した。


あの男は、どこまで知っている?


どこまで、彼女を“帝王”としてでなく、“彼女自身”として見ている?


-クロヴィス視点-


「……お前には、記憶があるのか?」


唐突に、クロヴィスはリアナに問うた。


「え?」


「前世の記憶だ。……お前の言葉には、時々そういう“響き”がある」


リアナは視線を逸らした。


「……少しだけ。断片的に、夢のように。でも……確かなものではないわ」


クロヴィスはしばらく黙っていた。


「俺には、幼いころ森で出会った少女の記憶がある」


リアナの手が、微かに震えた。


「それが……わたし?」


「わからない。けれど、お前の声を聞いたとき、なぜか涙が出た」


彼のその言葉に、リアナは小さく囁いた。


「……わたし、たぶんその少女よ」


そのとき、遠くで角笛が鳴った。帝都からの増援。追っ手の第二波。


そして、同時にリアナの体がぴくりと反応する。


(……この気配、知ってる)


胸の奥が冷えるような感覚。かつて“裏切り”と共に消えた声と力。


(……あれが、始まりだった。あの時、わたしは)


リアナの前世――“奇跡の声”を持ちながら、帝国に利用され、そして裏切られた少女。


彼女の記憶が、今、ゆっくりと目覚めていく。



―To Be Continued―


過去は忘れられず、未来は選べない。

けれど、“今”だけは、変えられるかもしれない。


第七章で、リアナはかつての自分に、そして帝国の“真実”に触れ始めます。

クロヴィスもまた、自らの出生と王座の重みに揺れながら、リアナに惹かれていく。


次章では、帝都に戻る道を絶たれた彼らが、“帝国の外”に向かう旅を始めます。

その旅路の先に待つのは、新たな同盟か、裏切りか――!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ