御徒町樹里の冒険外伝 ネコにゃん、旅に出る
この作品を、ネコにゃん様に捧げます。
僕はネコにゃん。その名の通り、猫だにゃん。
実は、僕の大好きな女の子、ノーナしゃんが町からいなくなったにゃん。
それで、ノーナしゃんを探す旅に出ることにしたにゃん。
故郷のドウホクカイ王国を出発し、僕は南を目指したにゃん。
何故なら、ドウホクカイ王国は、北の果ての国だからだにゃん。
過酷にゃ旅だったにゃん。
僕は何日も飲まず食わずで歩いたにゃん。
ふと気づくと、僕はキサガーナ王国に入っていたにゃん。
クンクン。
この匂いは!
間違いないにゃん! ノーナしゃんだにゃん!
僕は嬉しくなって、走り出したにゃん。
「そこな猫、待て」
どこからか、声がしたにゃん。
「誰だにゃん?」
僕は爪を立てて警戒したにゃん。
「私は悪魔コツリ。お前を我が僕にする」
「何だにゃん?」
僕はいきなり何かの力で飛ばされたにゃん。
「はっ!」
気がつくと、そこは暗い洞窟のような場所。
「私は一体?」
近くにある小さな泉に近づき、水を飲もうとした。
「うわ!」
私は仰天して退いた。泉の底から、得体の知れぬ者がこちらを見ていたのだ。
「何だ?」
私はもう一度、泉を覗いた。
「もしかして……」
嫌な予感。右手を動かす。相手は左手を動かす。ああ、やっぱり。
「これは、私でしたか」
でも私は一体誰だ? しかも、何だ、このふざけた服装は?
まるで道化だ。
「お前は今日から妖精テックだ。私のために働くがいい」
どこからか、不気味な声が聞こえた。すると驚いた事に私の身体はその声に反応した。
「ホッホウ。畏まりましてございます、コツリ様」
そう、我が名はテック。皮のコートが似合うチョイ悪オヤジ型妖精さ。
続く、かも知れない……。