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88 戦いの準備を始める

 アークシュリラはヴェルゼーアたちにもジャイアントヴェスペを退治するとか、オーラガニアの住人がもっとここに来たらと相談したのか、3人からも同様なことを言われた。

 もし、アークシュリラが言って無ければ、3人も同じ考えだったってことだけどね。


 私ものほほんと日々を送っているのではなくて、戦いに行くことになっても良い様にナニかを準備しておかなければいけないよね。

 ナニかと言っても、私は剣を持ってアークシュリラと一緒には闘えないから、出来ることはそんなに多くは無い。


 アークシュリラは、ジャイアントヴェスペを剣でやっつけようと考えていたよね。

 それが戯言と聞こえなかったのは、彼女がジャイアントヴェスペ相手に八面六臂の活躍をしている姿が、ありありと想像することが出来るからだよ。

 だったら彼女が少しでも戦い易いように、私は魔法で支援を出来る様になろう。

 確かにジャイアントヴェスペには軽い魔法は効かないが、一切の魔法が効かない訳ではない。

 それなら一匹一匹を退治して行く物理的な攻撃よりか、魔法を使った方が数を減らす上でも数段効率が良い。

 数百から数十匹に減れば、彼女なら大丈夫と感じる。

 きっと、アークシュリラも剣で戦いたいハズだ。


 それに女王蜂は兵士蜂よりも魔法に対して耐性があるので、全ての兵士蜂を私が魔法で仕留めても残る可能性がある。

 巣に居る兵士蜂を全員やっつけても女王蜂を残したら、少しすればまた元通りの状態に成ってしまう。

 しかし、女王蜂だけをやっつけても、今いる兵士蜂が新しい女王蜂になる。または、産んであるタマゴや幼虫の中から新たな女王蜂が誕生するので、全滅させるしか居なくする方法はない。


 ジャイアントヴェスペは素早く飛び回って毒針を刺してくるから厄介だけど、飛び回らなければたいしたことはない。

 毒もひと刺しくらいでは、成人した人の致死量に達することは余りない。

 ただあの羽音は、私たちに恐怖心を与える効果が充分にあるんだよね。

 でも、無音で近付いて来るアノートギャスターより、来たことが判るのでまだありがたい。

 アノートギャスターは速さではジャイアントヴェスペの比では無いし、羽は刃物の様に鋭いから簡単に生き物は両断される。

 早い話が飛ぶ剣、それも良く切れる剣だよ。

 ジャイアントヴェスペは体当たりをしてくる事もあるが、羽に当たったとしても打撲をするくらいだからね。


 それで、私が支援をするとして、ナンの魔法を使うのが良いのだろう。

 飛ばなくするならば水だけど、周辺をぬかるませるとアークシュリラが戦いにくくなってしまうよね。

 ならば強い風で飛べなくするのも面白そうだし、土をジャイアントヴェスペの羽や躰にくっつけた方が良いのかも……

 でも、十匹くらいならそれでも良いけど、多いと後片付けが面倒かなぁ。

 やっぱり火で焼いちゃうのが、一番良いかも知れないね。


 強力な火魔法だと、周辺の木々とかに注意を払う必要が出て来るかぁ。

 強力な火魔法だと、生きている木ですら燃えるからね。

 それに一人だったら良いが、仲間が居ると巻き込んでしまうかも知れないしね。

 どうするのがベストではなくても、今回はベターなのだろうか。


 それで、私は色々な魔法を岩場から放って訓練をしている。

 自分でも得意となった雷撃(ライトニングボルト)を、ピンポイントでなくて広範囲に自分が望む形で放ちたい。

 しかし、強い雷撃(ライトニングボルト)を海に向かって撃つと、大量の魚がショックで仮死状態になったり死んだりしてしまう。

 だから、私は氷弾(アイスブレット)で練習をしている。


 ようやく二回に一回は、複数の弾丸が出る様に成って来た。

 それでも、幾つかはあさっての方向へ行ってしまって、放った全てが有効弾とはならない。

 溜まった全魔力をナニも考えずに一気に放出するので無いから、これは結構気力を使う。

 それは慣れもあるだろうけど……流石に私でも半日も練習を続けることは出来ない。

 それでも甘いモノを食べて脳の栄養補給をしたり、休憩を適度にとったりして少しでも長く訓練をしているよ。


 今日はビブラエスが海岸に来たので、一緒にタコを取っている。

「そっちに行ったよ」

「判ったぞ」

 ビブラエスは銛の扱いが巧みなこともあり、短時間のウチにある程度の数のタコを捕獲している。


「ゼファーブル、ありがとう。助かったよ」

「私がここで魔法を撃って、ビブラエスの邪魔してるんだからね。それくらいならお安いご用だよ」

「ところで、ゼファーブルはどうして魔法の訓練なんかを急にやり出したんだ。オーラガニア……いや、ジャイアントヴェスペに関係するのか」

「うん。もし、退治に行くことに成ったらと思ったんだよ」

「あれを全て退治する気か」

「一遍には無理でも少しずつなら出来るかも知れないからね。それにカペランドやザスティーニたちから、オーラガニアを助けてくれと言われた訳では無いけど。私たちがここで生活し始めたのもこの周囲に強い魔物が居たから、もし村や人が襲われたら助けるって決めたからだしね」

「そうだったのか。ジャイアントヴェスペを退治すると……でも、ジャイアントヴェスペは我々の共通語は話さないが、蜂族(アベイユ)語は話す。だから退治することだけを考える必要もないかもな。レファピテルほどではないにしても、蜂族(アベイユ)語は私も少しはしゃべれるしな」


 蜂族(アベイユ)語を話せるなら、ジャイアントヴェスペと無理に戦闘をしないで済むかも知れない。

 それでビブラエスはオーラガニアへ行ったことがあったんだね。


「ジャイアントヴェスペとしゃべっても、人を襲うなってのは都合が良すぎるよね。私たちはウルフとか、このタコとかを食べているんだし」

「それもそうだな。腹が減って無いのに、金のために捕まえているんだものな。ジャイアントヴェスペにも、同じことをする権利はあるか」

「だから今回は戦いに成るのかなぁ。オーラガニアが今居る所を捨てて、もしここに全員で来たら大変だからね」

「折角、ここまでにしたのだからな」


「そうだけどもさぁ。ヴェルゼーアも国に帰っても平気に成ったんだし、ビブラエスたちがもしハルメニアの方へ行くって言うのなら止めないよ。ここに残るのが私とアークシュリラだけだったら、この村をオーラガニアの人々に上げても良いしね。そうなったら無理にジャイアントヴェスペと戦わないで済むからね」

「でも、ただくれてやるのも惜しい気もするが」

「だからヴェルゼーアも色々と悩んでいる見たいだよ。どうするのが良いのかってね」

「そうだな」


 ヴェルゼーアから聞いた訳ではない。

 月に何度も誰かがハルメニアとここを行き来しているのだから、私だったらわざわざ思い入れのない遠い土地に居るよりか、国内で無いにしても近くの場所に引っ越す。

 まぁヴェルゼーアの場合は、ルルグスが居るからここを離れられないと言えなくもないけどね。

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