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5 えっ、転生者なの

 私とアークシュリラは街に入り、商業ギルドへ向かった。

 どこの街でも、商業ギルドはその街のメインストリートにある。

 たとえ冒険者ギルドが寂れた所にあってもだ。


「ここだね。アークシュリラちょっと売ってくるよ」

「ゼファーブル。商業ギルドって、一緒に行っちゃダメなの?」

 商業ギルドは、建物の中に入って良いのが各団体で一名までとは決まっていない。

 当然、同じ店の仲間なら一緒に行く。


「じゃ、アークシュリラ、キョロキョロしないでいてね。こっちが恥ずかしいでしょ」

「判ったよ」

 アークシュリラは素直に応じてくれる。

 でも、街に入る際にギルドカードをかざすことも知らないなんて、アークシュリラは今までどういうところで生活をしていたのだろう?


「回復のポーションを売りたいんだけど、ここで良いの?」

 私は受付にいる人に聞いた。


「回復薬ですね。金額はこの表に記載されて居る通りです。それで良ければ、商品とギルドカードを出して下さい」


 私は桶とギルドカードをアイテム袋から取り出して、受付のカウンターに置く。

 受付の人は私のギルドカードを見てから、桶の栓を抜いた。

 そして桶の中に棒を入れてかき混ぜてから引き抜く。

 どこの街でもやることは同じだね。

 私としては、桶に突っ込んで品質をチェックするこの棒を売って欲しい。


「これは中級品で、この量では30本くらいですね。でしたら、この金額になりますが良いですか?」

 受付の人は、金額が書かれている用紙で私に説明をした。

「もう少し高くならないの? これは上級品を薄めたんじゃないんだよ。ここに小さく書いてあるじゃん。だからもう一声! お願い」

 同じ中級品でも上級品を薄めたモノと、最初から中級品とでは扱いが違う。

 それは水とかで薬を薄めれば、どんなに良く攪拌しても時間が経つといつか分離してしまうからね。

 ギルドが小瓶に入れ替えて売る時に、再度攪拌とかの作業が必要になるよ。

 なので、欄外に不純物の有無で金額が変わることがあるって、小さく記載されて居る。

 それが書かれているのは、ギルドが引き取る金額を減らすために書いてあると思うけどね。

 多分、さっきかき混ぜた棒でも、不純物が入っているかは判ると思う。


「そうですね。ゼファーブルさんはイロイロな街のギルドでも売ってくれてますし、品質は全く問題ないですから一割ほど上乗せしますね」

 ここ一年ぐらいは、毎回一割高く買い取って貰っている。

 なので、私としてはギルドカードにそのことを記載して欲しい。


「ありがとうね。ついでにこの街にある食事の美味しい宿屋を教えてよ」

「宿屋ですか? ……それなら、月のあかり亭が良いですよ。料金もお手頃ですし、食事も美味しいって言われてますよ」


 処理が終わり、私はお金とギルドカードを受け取る。

「ありがとうね」


 私は商業ギルドを出て、教えてもらった宿屋に向かった。


 宿屋はそれほど新しくはないが、痛んでいる様子もない。

 手入れが行き届いている感じがする。

 宿屋の一階は、お決まりの食堂兼酒場になっていた。

 私はそこに居た店員に聞いた。


「二人だけど、2日ほど泊まれる?」

「食事は要るのか?」

「どの食事?」

「朝と夜だ」

「食事が有るのと無しの料金は、それぞれいくらなの?」

「あすこに掲示してある通りだ」

 食事が有っても無くても、金額はたいして変わらなかった。


「有りでお願い、支払いはいつ?」

「先に頼む」

「判ったよ」

 私は2日分の代金を支払う。

 そして、店員から食事の時間などの説明をアークシュリラと一緒に聞いた。


 部屋は他の宿屋と同じ様な作りだね。

 ベッドが二つと小さなテーブルに2脚の椅子があるだけだ。

 これで食事付だから安いかなぁ。

 でも、食べてから判断をしよう。


「アークシュリラ、冒険者ギルドでも行く?」

「ゼファーブル、そこへ行って何をするの?」

 ???


「ちょっと、いいかなぁ。アークシュリラ、あなたのことはこないだ話してくれたこと以外は聞かないつもりだったけど、今までどうやって生きてきたの?」

「わたし? 言っても良いけどゼファーブルは信じられないよ」


 アークシュリラが、何を語ろうとしているのかは判らない。

 しかし、言った内容がいかに荒唐無稽でも、私は信じてあげよう。


「私に聞かせてくれる?」

 アークシュリラは、頷いてゆっくりとしゃべりだした」

「私は地球から転生して……」

「ごめん。ちょっと、待って」


 アークシュリラは頷く。

 地球?

 転生?

 確か召喚魔法に他の星に住むモノを連れて来る、転生・転移召喚があったと思うけど……アークシュリラの話そうとしていることは、私が想像していた遙か上をいっている。


「地球ね。そこでアークシュリラは暮らしてたんだね」

「そうだよ。でも、私は病気で死んだんだよ」

 と、言うことは、地球というとこには治癒魔法はないのかなぁ。

 あれば、あくどい者に関わらなければ、病気で死ぬことはほぼない。

 あくどい者は、多額のお金を請求して来るから、支払えないこともあるって聞いたことがある。更に借金漬けにして治しても奴隷の様に扱われるともね。

 治癒魔法はあったけど、そう言うモノに引っかかったかも知れないね。

 それなら蘇生魔法も……


 その後、アークシュリラは、自分はかけっこもしたことがなく、ずっとベッドの上で本を読んでいたこと、その本に登場する騎士や戦士にあこがれていたことなどをしゃべった。

 そして、神様に剣を扱うモノにしてくれとお願いしたら、あすこに居たと話してくれた。

 ここら辺から先日聞いた内容になるんだね。

 そして私に会ったということなんだね。

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