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26 村のおさに会う

 ダルフさんの鍛冶屋に私たちは向かった。

「ダルフさ~ん。居ますか?」

「ナンだよ。お前さんたちか。もうダガーで不具合が有ったか?」

「ダガーじゃなくて、ダルフさんはアンデッドを見たって人を知っているの?」

「知って居るも何もウチの隣にいるモノだ」

「それでアンデッドたちはどうなったの?」

「神官たちが退治したそうだ」

「本当に退治したの?」

「神官たちが我々にウソを言う必要はないが……」

「私たちに確認する方法ってあるの?」

 それからダルフさんに、私たちの考えを説明した。


「それもなくはないが……(おさ)に聞いてみるか」

「えっ村長を知っているの? お願いできる」

「じゃ店を閉めたら、行くことにする。悪いが、また夜にここに来てくれ」

「判ったよ」


 日没後に私たちはダルフさんの店に行き、そして村長の所へ連れて行ってもらった。

「ベルモ居るか、ダルフだ」

「ダルフか、今開ける」

 ダルフさんが訪問の目的を話して、私たちは家の中に通される。


「ベルモ、どう思う」

「そうじゃな。神官たちが我々にウソを言う必要はないが、モノを確認して無いからなぁ。お嬢ちゃんの話もあながち想像だと云えないな」

「ベルモさん、私たちにそれを調べさせてくれませんか?」

「調べてもらうのは構わんが、お嬢ちゃんたちが間違ってた時は、我々も困ったことになる」

「私たちが調べて間違いだったら、私たちが勝手にやったこととしていいよ。裁きも受けるから安心して。でも、私たちの言う通りで神官と教会がグルだったら処罰することが出来るの?」

「教会は我々の管理外だから単独だったら無理だが、神官たちは我々で処罰できる」

「神官ってドワーフじゃなくて人間だったよね。イファーセル国の役人で無くて平気なの?」

「平気だ。我々は併合された訳ではない。きちんと自分たちで村を運営している」

 自治は認められているってことなのね。


「でも、それではお前さんたちにうまみはないぞ」

 今まで黙っていたダルフさんがそう言った。


「確かにそうじゃな、金か?」

「お金ナンかいらないよ。ダルフさんの所でダガーを買ったら帰るつもりだったけど、私たちは助けたいモノが現れたからやりたいんだよ。それじゃダメかなぁ」

「助けたいモノ?」

「そうだよ。ベルモさんたちは笑うかも知れないけど、モランデティスを助けたいんだよ」

「モランデティス? 魔物のか? 面白いお嬢ちゃんたちだ。判った。それで本当に良いのだな」

「良いよ」

「ダルフ、それじゃ協力してやれ。ここに出入りしていては誰に見られるか判らんからな」

「ありがとう」


 私たちは村長の家を出た。

「それじゃ、今日はありがとうね。私たちは月明かりって宿屋に泊まってるからね、何か有ったら連絡してね」

「判った」


 私たちは宿に戻ってどうするかを相談する。

「教会と神殿ね。アークシュリラ、どっちからやる」

「教会かなぁ。神官は判らないけど、神殿は逃げないからね」

「そうだね。危なくなると教会は逃げるよね」

「神父がやっているのか、個人的じゃなく教会全体でやっているのかを調べる必要が有るよね」

「その必要はないよ。やっているのは教会全体だよ。神父が個人的にやってたのなら、神官たちが動いた時に捕まえていると思うよ」

「教会全体と言うこと?」

「そう、だから証拠を出せなかったとね。で、どうやって捕まえるかだね」

「面倒だから、正面突破で良いんじゃない」

「アンデッドがいたのは村のそばじゃないから、捕まえる口実にならないよ。それに村人がアンデッドに襲われた訳じゃないからね」


「それじゃまた調査をするの?」

「本当なら教会内部に潜入して、アンデッドを教会が操っていたという証拠が欲しいよね」

「そうかぁ。で、教会って私たちで潜入出来ると思う?」

「私たちにそんな技能は無いから、無理かなぁ。でも、全員に寝て貰えばゆっくり調べられるよね」

「なるほど」


 私たちは夜になるのを待って、行動をすることにした。


「ゼファーブル。どうするの? 眠っていないモノも居るよね」

「アークシュリラに負けないように、私も頑張って魔法を練習したよ。じゃ始めるよ」


 私は呪文を唱えだす。

「眠りを司る神々の力を私に与え給え! ここに居る私たち以外のモノにしばしの眠りを、人形化(ダリジフォン)!」

 辺りに紫の靄が掛かって、教会周辺を覆った。


「これで教会に居るモノは朝まで動かないからね。但し、今、範囲外に居たら掛かって居ないから全員って思わないでね」

「ゼファーブル。スゴいよ。こんな魔法を使えるようになったんだね」

「アークシュリラのおかげかなぁ」

「私は何にもしてないよ」

「良いから、行こうか」


 私たちは堂々と正面玄関から侵入した。

 もちろん鍵も魔法で開けたよ。


「先ずは司祭(プリースト)と言うか、お偉いさんの部屋からだね。ナニか書面があれば良いけど……」

「判ったよ」

 私たちは、次々に部屋を調べていく。

 一部屋毎に聞き耳を立てて、中の状態を確認しないで良いから作業は早い。

 それは、もし眠っていないモノが居れば、眠ったモノたちを起こすだろうから音がしないはずはないからね。それに各部屋に付いている扉も、音が漏れない様な重厚なモノじゃない事もあるよ。

 しかし、入り口近くに司祭(プリースト)の部屋が有る訳はない。

 私たちは順番に各部屋に入ってそこを調べている。

 どう見ても神父たちの作業場所と判るところも一応調べて見るが、そこには日々実施している教会の仕事で起こったことの覚え書きくらいしか無かった。

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