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266 レファピテルの問い

「レファピテルはナニを感じたの?」

 私は、レファピテルの問いかけに降参をして尋ねた。


「先ほどゼファーブルが言ったコトもそうですが、街と言わず小さな村にも神殿と云うか小さな(やしろ)がありましたよ。これほど神を祀って居るのに、不思議と神官に出会ってません」

「そう言えば、神殿の傍にも行ったけど、今まで一度も神官に出会っていないね」


 イルーツでは、神官たちが付近の清掃などをしていたり、参拝者の案内をしたりしている。

 そのタメに、日中なら誰も神殿の外にいないと云う状態はない。

 他の国や街に建っている神殿でも、神官たちがいないと云うコトはあまりなかったと思う。


「ここの神殿は、誰もお世話をしていないただ建てただけと感じますね。それに神すら祀られていないと云うコトはないでしょうか」

「どこの街だか忘れたけど、神殿で祈っている人はいたよ」


「その人は神が祀られていないコトを知らないか、特定の神に祈っていたのではないのかもしれませんね」

「そうだね。祈って居たモノは、最近になって街に来た人かもね。それにイルーツの様に全属性の神殿がないから、特定の神を祀らないってコトもあるよね」


 複数の神殿を建設する費用を抑える観点から、普通はその国を守護する神だけを祀る神殿を建てる。

 だがしかし、民族の構成が複雑なタメに、国が特定の宗教を崇拝する様に決めると内乱になる場合は、神殿だけを作って特定の神を祀らないコトもある。

 また、昔に立ち寄った街に、山や湖とかの自然そのモノを崇めている処もあったのを思い出した。

 この国もそうなのかなぁ。


「確かに特定の神ではなくて、自然そのモノを崇めている所もありますね」

「でも、建物があるんだから、神官でなくても管理はしていると思うけどね」

「一日数回の清掃でしたら、警備隊が手の空いた際にやっているのかも知れませんね」

「そうかもね。もしこの国では特定の神を崇拝していないのなら、イルーツに来る目的は神殿ではないよね」


 特定の神々を崇拝していれば、私たちの処にその祀り方を聞きに来るとか、神々について学びに来るってコトも考えられる。

 神々についての説明にエトガヌン連邦へは行っていないから、今頃になって他の国や旅人たちから神々についての話を聞いたと云うこともあるけど……神々を祀っていなければそれはあり得ない。

 しかし、エトガヌン連邦で、これから特定の神々を祀ろうとしているってのは排除出来ないけどね。


「魔法が発展していないですから、魔法の見学に来ると考えた方が現実的ですね」

「それなら、公開している魔法だったら、教えても良いよね」

「そうですね。魔法使いを派遣してもらい図書館で勝手に学んでもらっても構いませんが、本を読んで理解するのと教わるのでは、同じ言葉でもニュアンスの伝わり方が違いますからね」

「そうだね。その場合の先生はレファピテルがやるの?」

「私でなくて、初歩でしたらゴーレムやホムンクルスで充分ですよ」

「それもそうか」


 レファピテルは、ヴェルゼーアたちに全て街と村で作業が終了したコトを念話で伝えた。


「ヴェルゼーアからゆっくり戻って来てくれと言われましたよ」

「仕方ないよ。三人で分担してやっているから、今から私たちの担当を作るとなるとおかしくなるよ」

「それだと、結構な所まで調査が順調に進んでいる感じですね」


 全く調査の進捗が芳しくないなら、途中からでも担当は変えられる。

 しかし、上手くいっているなら、私たち二人の手があいたからと云っても、あえて変える必要はない。

 逆に情報の伝達不足や相手の信頼とか、不慣れなモノに変わる事による不都合の方が大きい。


「じゃ、ゆっくり帰ろうか」


 私たちはカヌーに乗って、周辺を見渡してみた。

 冒険者や商人などの旅人たちが、街道を行き来している。

 草原には動物や魔物たちが歩いたり、寝そべったりしている。

 穏やかな日常の風景が広がっている。


 遠くに目を凝らしても、ここからでは私が最初に着いた街は見えない。

 全ての街や村に行ったから判ったが、結構、エトガヌン連邦は広大な領地を持っている。

 その国土は、半島にあるハルメニア王国やエンラント王国より広いと感じた。

 しかし、一つひとつの街や村が離れているみたいだから、面積が広いコトと人口が多いと言うことが必ずしもイコールではないけどね。

 でも、街や村の数はエトガヌン連邦の方が多いので、イルーツよりかは絶対に人口が多いのも事実だ。


 もし、ジョバル公爵……イヤ、エトガヌン連邦がイルーツに攻めて来たらどうだろうか。

 私たちなら戦いには負けるコトはないが、ザコでも数が多いと撃退するのが手間だし面倒くさい。

 エンラント王国が帝国と名乗って進行して来た時は、ガーゼルとオブゼントと云う国の重鎮と知り合えた。

 なので、戦後の一切をその二人に丸投げ出来た。

 調査しているヴェルゼーアたちが、ジョバル公爵や他のモノでも知り合えれば良いけど、私たちが戦後の処理までやるのは勘弁してほしい。

 やはり戦争になる様なコトはやってはダメだよねと強く感じた。

 私はここに来たばかりで調査を全くしていないので、レファピテルにエトガヌン連邦について尋ねることにした。


「レファピテル。エトガヌン連邦って食べ物はどんな感じだった?」

「そうですね。国土がこれほど広いのですから、地域によって好んで食べているモノは違いますね」

「南部は、イルーツ周辺とあまり変わらなかったよ」

「北方では鍋料理が多いですね。西側はデアニア王国周辺と、また東側は(れん)と料理は似ていますね」

「鍋料理かぁ。寄せ鍋とかはあった?」

「醤油や味噌はないですから、さすがに私たちが作る様な鍋料理はないですよ。あるのは、肉や野菜を煮込んで塩などで味を調えたモノですね」

「ポトフみたいなの?」

「ジャガイモも入れますから、ポトフよりアイントプフって感じですね」


「じゃ、味噌とか醤油なら交易が出来るかもね」

「みりんやお酒も、大丈夫かと思いますよ」

「それらは最近デアニア王国とも取り引きをし出したみたいだから、もっと量産をしないとダメだね」

「ヴェルゼーアたちに頑張ってもらうだけですね」

「そうなるね」

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