25 高レベルの魔法ってどうしたら使えるの
私は図書館に行って、錬金術と違う魔法の基礎の勉強をしている。
錬金術と同じこともあるけれど、何にも無いところで光を起こしたりアンデッドに対応したりする方法は錬金術にはない。
大人向けの書物は、ある程度の魔法が使えるモノ向けに書かれている。
ただ読むだけなら良いが、実際にやるとなると書いてある内容を理解しながらなので難しい。
そのために私は、子供向けの書物で初歩的なことを学んでいる。
今まで教わってきたことと違うので、とても素直に納得が出来ないこともあった。
魔法使いの子供って、小さいときにこれを学ぶのだから大変だね。
逆に魔法使いにとって錬金術は、理論ばかりだから形式張ってと感じるだろうなぁ。
アークシュリラは日課になっている、剣の素振りと魔力を動かす練習をしている。
そして、私が作った魔力を増強する薬も、毎日欠かさず服用している。
アンデッドの騒ぎは街中でも、日常会話に登るようになって来た。
神殿の神官たちも討伐隊を組織して、既に派遣したようだ。
まぁ、派遣されたモノが高位で無くても神官なんだから、アンデッド相手だし大丈夫だろう。
私たちは相変わらず魔法の練習に明け暮れている。
アークシュリラもようやくコツをつかんだ様で、手に朧気な弱い光を出せる様に成った。
私も初歩的なことは大体出来る様になったよ。
一つが解ると次も理解し易い。
なので数日前には理解出来なかったことも、今ではスムーズに理解出来る。
私は特に神聖魔法と言われるモノを中心に、会得する様に心掛けている。
しかし、死霊退散や死霊崩壊などは、町中で試す訳にはいかない。
神官たちが戻って来たと噂で聞いた。
しかし、アンデッドを退治したとは、全く村人たちの話に出て来ていない。
ナゼだろう。
疑問があるけど、今の私たちが確認する方法はない。
「どうなったか判らないけど、終わった見たいだね」
「その様だね。アンデッドなので見せられなかったのかなぁ」
「人魂は無理でも、肉体の方は持って来れると思うけどね」
「ゼファーブルは霊魂と戦える様に成ったの?」
「レベルが低ければ破壊は出来ると思うけど、まだ捕まえることは出来ないよ」
「魂って捕まえられるの?」
「うん、神聖魔法にあったよ。魂捕縛って言うモノだよ。あれっそれで魂を捕まえられるよね。私はまだ使えないけどね」
「そんな魔法があるの?」
「結構、高レベルだけど有ったよ」
「そのレベルってどうしたら上がるの? 魔物ごとに固定値が有って、それを貯めるの? それともギルドで認定して貰うの?」
「本によると魔力の量と関係している見たいだけどね」
「初心者でも魔力を沢山持っていれば、高レベルの魔法を使えるってこと?」
「そうなるね。ギルドのレベルとは関係ないってことだけは云えるよ」
私たちのギルドカードには《ルージュミルパーツ退治 達成》って成っているけど、あのギルドマスターが変なことをしてなければ、冒険者レベルは空欄のままのハズだ。
「じゃ、一生懸命練習をすれば、今までの分を取り戻せるんだね」
「そうだよ。アークシュリラは最初にマダーフォンをやっつけた時から、剣の腕前はスゴく上がっているよね」
「そうだね。私もルージュミルパーツをやっつけられたしね」
「でも、今もギルドのレベルはないよね」
「そうだったね」
アークシュリラはレベルがとんでもなく上がっている。今のままでいったら、直ぐに必要な魔法も自分で使えるようになるかも知れない。
そうなるとアークシュリラに取って、私と一緒にいる意味はなくなるよね。
イヤ、既に剣だけなら、アークシュリラ一人でも充分に旅をすることも出来ると思う。
それに比べて私は、変に錬金術の知識が邪魔をしている所が有ったよね。
魔法の発火とかも、錬金術で出来るってね。
別にプライドって訳じゃないけど……アークシュリラの様にナンでも吸収しないといけない。
使えるけど日ごろ使わないのと、使えないでは雲泥の差があるよね。
以前の私なら自分は錬金術師だし、魔法は必要ないって魔法使いを下に見ていた。
その考えは、ついさっきも出て来たけど……
「そうだね。アークシュリラは強く成っているよ。私も高レベルが使える様にガンバるよ」
「確かに私がそれらを使える様に成るより、ゼファーブルが使える様になる方が早いよね。でも、私は魔法を使いたいから、ゼファーブル、また練習に付き合ってね」
「判ったよ。私もアークシュリラに必要ないって言われない様にするよ」
「そんなことを、私は言わないよ」
「で、魂捕縛だけど、魂を捕まえる魔法ナンだよ。多分人魂にも有効だと思うけど、神官たちは何で使わないのかなぁ」
「もしかして神殿が教会とグルだったら、その魔法を使わないんじゃなくて使えないんじゃないかなぁ。捕まえてきて変なことがバレると大変だからね」
「そうかもね。ダルフさんに聞いてみようか」
「そうだね。他に聞ける人はこの街にいないしね」