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251 発見したけど

 私はレファピテルだけでも帰ってきてから、この件は再度対応しようと考えてヴェルゼーアに話そうとした。

 私が言う前にヴェルゼーアが尋ねて来た。

「ゼファーブル。疑っている訳ではないが、本当にルッスラムはここに来ているんだよな」

「じゃ、林に入らないで、徒歩で周辺を調べようか」

「そうするか」


 私たちは再び林の周辺で、針の指す方向を調べていく。

 空中で停止させても揺れるカヌーと違って、徒歩では針を地面に置けるので、ほぼ正確に測るコトが出来る。


 ヴェルゼーアが、測定結果をその都度手書きの地図に書き込んでいく。

 一周して、最後のモノを書き入れてから、ヴェルゼーアはその地図と実際の風景を見比べている。

 そして、私に地図を寄越してきた。


「これが結果だ。見ての通り、あの家や林は交点ではない」

「そうだね。交点はここだから、もっと山側だね」

「そこへ行ってみようよ。それにしてもヴェルゼーアって、地図を前からこんなに上手く描けてたの」

「前から変わっていないが……今回は測量をしていない目視だけどな」


 私たちは地図の示す交点に着いた。

 やっぱり、ナンにも無いかぁ。

 私たちはその周囲を探索すると、地中に見覚えがある四角い物体が地面にあった。


「有ったな。で、掘るのか?」

 えっ、私が決めるの?

「もし、埋まってても、地下に行けそうもないからね。それにあの家から地下通路を作るには、ここは遠過ぎるよ」

「そうだな。地上にナニもないから、この上に建てた方が良いだろうな」

「待って、それじゃ四角柱を作ったモノも、そこへは行けないよね。私が、ここに魔方陣が有るか調べるよ」


 杖を突いて、魔方陣が有るなら現れてと念じた。

 一つの魔方陣が浮かび上がって来た。


「ゼファーブル。有ったな」

 私は、その魔方陣を読み解く。


「判ったよ。乗れば良いだけだね。それと私たちが中に入っている時に、他のモノが入って来ない様に少し変更しておくよ」

「頼む」

 私は現れた魔法陣を少し書き換える。


「出来たよ。私と同じ様にすれば変更は出来るけど、少しは安心かなぁ」

 私たちは魔方陣に乗って、真っ暗な所に出た。


「ヴェルゼーア。灯りを点けるよ」

「頼む」

 私が灯り(ライト)の魔法を唱えて周囲を明るくすると、そこは何処かの洞窟の様だった。

 壁はどこもが土がむき出しで、所々がでこぼこしている。

 そう言っても、ただ掘っただけではなくて、大きな出っ張りやへっこみは一応整えられている感じだ。

 足元もそれ程歩きにくくもない。


 こう言う所にいる魔物なら私でも平気なので、ヴェルゼーアがいれば心配はいらないよね。


 少し歩くと無数のシュレーガーが、天井付近を飛びまわっては天井にとまっている。

 地を這うモノたちはなんとかなるが、コイツらは一匹で居ることが少なく、その上、数が多いので始末するにも面倒だ。


「ヴェルゼーア、どうする」

「剣で一匹一匹切っていくのは大変なので、少し焼くか」

「そうだね」

 私が前に出ようとすると、ヴェルゼーアが言った。


「コウモリの魔物なら、私の魔法で充分だ」

「そう、ならお願いね」

火炎(フラメ)!」

 ヴェルゼーアがそう言うと、シュレーガーがいる天井付近を火で包み込んだ。

 シュレーガーは翼や躰に火をまとって飛び回り、時々高音で鳴いている。

 そして全てを焼き尽くして火は消えた。


 私はヴェルゼーアが放つのは火球(ファイヤーボール)くらいだと思っていたので、火炎(フラメ)と聞いて驚き、そしてその威力や範囲の正確性に再び目を見張った。


「ヴェルゼーア。イツこんなスゴい魔法を使える様になったの」

「ウィンデールの処へ行ってからだな。ゼファーブルもそうなっていないのか?」

「私も少しは能力が向上した感じだけど、そんなに変わらないよ」

「人によって変わるのか?」

「そうみたい」


 私たちはその後も、シュレーガーなど出て来る魔物を始末して先に進んだ。

 更に進むと七色に輝く山積みの金属が有った。


「これってルッスラムなの」

「違うのか」

「私は書物でしか知らないから……」

「もし、これがルッスラムだったら、いくらくらいになる」

「こんなに有っても、一度に換金出来ないよ」

「それもそうか。で、ゼファーブルの予想が当たった訳だが、四角柱のやっているコトを逆にしてもこいつは元の状態には成らないよな」

「逆にしただけじゃ、絶対にならないよ。新たにルッスラムから、土などを作るモノを作らないとダメだね」

「かと言って、これをただ山に戻してもダメだよな」

「そうだね。これだけの量を作るのにどれ程の材料を使ったかは正確に把握出来ないけど、普通の金属でも10倍以上の量を使うからね」

「ざっくり50倍としたら、既にあの山は25パーセントの土がないのか」

「それって、少なく見積もってそれくらいだね。この件で土の神々は動いているの」

「これは山のコトだから、火の神々と相談を重ねている様だぞ」

「縄張り……」

「残念ながらそうだな。普通の時は良いが、両方に関わる緊急事態ではどうしても対応が遅くなる。今の体制では仕方ないコトだ」

「そうね。今ここで体制批判をしても解決はしないよね」

「そうだ。これが解決したらみんなで話し合っても良い。なんなら神々にも参加してもらってもな」

「だったらもっと山を頑丈にして、崩れない様にする? 中身は少しずつだけど土を作る様に変更をするよ」

「空気からは土を作れないんだろ。その材料はどうする」

「そうだね、確かに空気からは無理だね。大量に使っても良い材料は思い付かないから、これから考えるコトになるけどね」

「そうだよな。急に私が話してゼファーブルを巻き込んだのだし、準備が出来てなくて当然だな」


 私がヴェルゼーアの話を聞いて、このコトを初めて知った。

 それは事実だ。

 しかし、到着するまでは、行けば解決が出来ると自惚れていた。

 解決ね。

 それは山を崩れなくすれば良いの?

 それとも、これを作ったモノや利益を得ているモノに制裁を与えるコト?


 いったい、どうなれば解決ナンだろう。

 山なら強度を増せば、崩れるコトはない。

 人なら、レファピテルかアークシュリラがここに来れば、ここでルッスラムを運ぶのに魔法を使っていると思うから見付けることは出来る。

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