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244 ラガービール

 私は、街中にある定食屋で唐揚げを食べている。

 これはクーリツァの肉を使ったモノだよ。


 最近はエールの他に、ラガービールも出回っている。

 これはヴェルゼーアがオーラガニアに神々について説明に行った際に、試しに仕入れたモノだよ。


 ヴェルゼーアが言うには、評判によってはここで本格的に酒造りを始めるらしい。

 ウィスキーはファリチスで、焼酎やブランデーはハルメニアが美味しかったので、その時はあえてここで酒を造る気持ちは起きなかった様だけどね。


 まぁ、農園でいろんな野菜を作っているから、ラガービールの材料くらい増えても平気かなぁ。


 そのラガービールに、唐揚げは非常に良く合う。

 ピザなどもビールに合うが、いくら合うと言ってもピザは何切れも食べるコトは出来ない。


 その点、つまみ用の唐揚げは、もともと定食で出すと小さすぎる肉を捨てずに利用している。

 なので、一つ一つが小さくて一口でたべられる。

 それに捨てるモノだったので、値段も非常に手頃だよ。


 しかし、悲しいコトに直ぐにそれは品切れになるから、食べたい時に売り切れと云う確率は高い。

 そう言う場合は、唐揚げをあきらめるコトもあるが、定食で提供される大きさのモノを正規の代金を支払って頂く場合もあるけどね。

 その時は、つまみ用の代金しか払わない、なんてコトは絶対にしないよ。


 卵を産まないクーリツァも、活用方法が見つかって良かった。

 それと卵を産んでいたクーリツァも、二年を過ぎると産む卵の数が減ってくる。

 歳を取ったのだから、こればかりは仕方ない。


 今まで私たちに卵を提供してくれたと云っても、そんなクーリツァたちを死ぬまで飼い続けるコトはしていない。

 全てのクーリツァの脚には色違いのリングがついていて、しっかり生まれてから何カ月が過ぎたかが判るようになっているからね。

 クーリツァ自体も、その時になって始めて身に危険を感じて、ここから逃げたとしてもそんなに長い間生きることはない。

 もともとの寿命が四年程度なのだからね。


 それに年齢を重ねると、生き物の肉は必ず固くなっていき、それと筋肉も減ってくる。

 それは人などにもこれは当てはまるし、もちろん長寿命の生き物もだよ。

 更には龍種やエレメントなども、死の間際には肉はやはり固くなる。

 その固くなったり、減ったりする期間は、種別によって違うけどね。


 ヴェルゼーアが仕入れて来た、ラガービールを発見した国がどこだか判らない。

 でも、そこには絶対に旨い料理があると思う。


 そろそろ珍しいモノを見つけに、どこかへ行こうかなぁ。

 南方はこないだ行ったばかりだし、北でも行こうかなぁ。

 ウィンデールから授かった能力も気になるしなぁ。

 もし、行った先で珍しいモノや面白いモノがなくても、北なら(れん)に寄ってラーメンを食べて来ても良い。


 ここでもラーメンや餃子は提供されているけど、やはり気候も食べるものが美味しく感じるのには大事だと強く思う。

 (れん)では粘度の高いラーメンが美味しかったけど、ここではそう言うモノよりかは醤油ラーメンが旨い。

 夏になると、暑いので冷たい冷やしラーメンとかになるけどね。

 ラーメンじゃないけど、冷や麦もさっぱりしていて美味しいよ。


 サリアにはクスクスって言う、非常に短く米の様なパスタがあった。

 いったい、この星にはどんだけの麺料理が有るのだろう。

 全部をたべるコトはさすがに出来ないかも知れないけど、知っている料理は本にまとめておきたい。

 そうすれば、他のモノがその地に行かなくても済む。

 そして本を参考にして、更に美味しくアレンジ、発展させてくれると思うからね。


 唐揚げもビールも無くなったから、私は店を出て散歩をする。

 ほろ酔いには、ちょうど良い風がそよいでいる。

 前から見覚えのある顔とすれ違う。

 互いに言葉は交わさず、会釈をするだけである。

 アシュミコルも、今から飲みに行くのかなぁ。

 それとも食事かなぁ。


 最近は神々もこの様にお忍びでなく、堂々と飲み屋や定食屋、喫茶店などに出入りしている。

 最初に街中で出会った時は、文句を言いに来たと思って訳を聞いたよ。

 そしたら、人々がどの様な生活を日々送っているかチェックしていると真顔で言われたから、私も神様も大変だねと真剣に応じた。

 それから幾度となく同じコトがあって、今に至っている。


 まぁ、神様でも美味しいモノや珍しいモノは食べたいだろう。

 だから飲み食いを禁止にするつもりはない。

 しかし、本名を名乗って店員に無理難題を吹っ掛けるとか、暴れるコトは酔ってもしないでほしい。

 街のモノたちに恐れや(いか)られて、飲食や神殿の使用が禁止となったら面倒だからね。

 神様なんだから、信仰上で畏れられるのは一向に構わないよ。


 さすがに神々同士で一緒に呑むときは、どこかの神殿でやってもらいたい。

 その時の料理人は、レファピテルたちが自分たちで対応をするか、街にいる料理人たちの中から厳選して対応するかだよ。

 だから、一部の料理人は、神々の顔と名前を知っている。


 また、料理人の手はずが整わないなど神殿で行えない時は、私たちが住んでいる一階にある食堂を貸し切りにしているよ。

 その時はゴーレムやホムンクルスもフル動員で対応している。

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