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238 火の神々についての書籍が届く

 私たちがイルーツに戻って各神殿の様子を見て回っていると、ビブラエスから火の神々についての書物が届いたと念話があった。

 これでようやくあのマークがアグステルバ自身のマークかも解る。


 私たちは火の神々について書かれた書物をいつもの様に読んでいく。

 そしてハルメニア王国など各国で渡しては事件になる内容だけを吟味する。

 そのマズい箇所は削除をするだけで、もちろんウソは書き込まないよ。


 他の神々の時も同じ方法でやったが、属性によって所属する神の数や信仰しているモノの数が違う。

 光の神々は信仰者が多いことで、ハルメニア王国国王などからの召集があった。

 その内容を説明するために、ヴェルゼーアを中心に三人が交代で出向いていた。

 しかし、ずっと行き放しではなく、最近は戻って来ては帰国を繰り返しているよ。

 まぁ、それ以外にもヴェルゼーアの場合は、蒸留酒の件や様々なコトがあるみたいだから行く機会は多くなっているけどね。


 そのチェックをする作業は、今ここに残っている四人で頑張っても数日で終わる量ではない。

 それは火の神々だけでなく、他の神々の所で削除した内容との整合性が取れていないとダメだからね。

 どう見積もっても、一カ月弱は係る。


「ゼファーブル。アシュミコルのマークは全然違うね」

「そうだね。アシュミコルはやはり燃えている火の様だね」

 一つの疑問が片付く。


「太陽神は光と火を行き来していて、こんがらがってきたぞ」

 ビブラエスが半分ヤケクソ気味に言った。


「仕方ないですよ。似た様な神々もいましたが、太陽神自体の所属は、今現在、火の神々なのですからね」

「レファピテル。それは解っているが、火の神々はもともと同じ様なモノだらけだからな」

 ビブラエスとレファピテルは、互いに文句を言ったりなだめたりしながら作業は続けている。


「ゼファーブル。これってあのマークに似てないか」

 ビブラエスが言って来た。

「どれ?」

「このコチャンティルだ」

「確かに同じだね」

 私はマークの後の説明を読むと、そこには火山の神であると書いてあった。


「そうなるとコチャンティルが真っ赤なローブを着ていた魔法使いなのですね」

「そうみたい。でもコチャンティルのマークとサリアの国章が同じって偶然かなぁ」

「偶然かは解らないけど、今は同じモノを使っているコトは確かだよ。しかし、コチャンティルなんて話はあの国で聞いたことがなかったよね」


 アークシュリラが言う通り、今は同じモノを使っていると言うのが事実だ。

 このコトは、誰に聞くのが良いだろうか。

 サリアでは、聞いた話が伝わっていると思う。

 なので他のモノに聞いても、時間が無駄になるのがオチだ。

 あの神殿を建てたモノか、国章を定めたモノに聞ければ一番良い。


 私が考えているとビブラエスがしゃべり出した。

「となると、鏡自体もあの国を現していないで、コチャンティルを現しているのかもな」

「そうなると問題が出て来ますね。礼拝する処にあるマークです。アークシュリラたちの説明では、取り外しが出来ないと言っていました。それですと他の属性の神に礼拝する時も、このマークを掲げているコトになります。それは冒涜以外のナニモノでもありませんよ。国章でしたら建てた国ですから、神々も渋々でも納得するでしょう。それが神個人のマークですと話が変わってきますよ」


 レファピテルの言うコトは、本当に大きな問題だよ。

 だからあの様になってしまったと云える。


「整理をしないとダメだよね。あの神殿にあったのがサリアの国章か、そうでないかはもはや関係ないで良いかなぁ」

「アークシュリラ。それは砂漠化したコトを言っているのですか」

「そうだけど、レファピテル、違うの」

「私の考えでは、あの鏡がサリアのモノか、コチャンティルのモノかと言う方が優先と思います。サリアのモノでしたらそのままでも良いですが、コチャンティルのモノでしたら返却するべきです」

「そうだな。ずっとゼファーブルが持っていても、この街に禍こそあっても良いことは起こらないだろうな」

「だったらどうやって調べるの?」

「自分がその時に一緒にいれば隠し事をしているかが解ったんだが、ゼファーブルたちから聞いただけではそれは判断出来ない。と言ってもギルドのモノがウソを言う必要がないので、国の伝承はどんな手を使っても、ギルドの人が話してくれた以上は解らないと思うぞ」


 ビブラエスが言うのなら、そうかも知れない。

「で」

 アークシュリラがビブラエスに話の続きをせかす。


「コチャンティルを召喚すれば良いだけだ。これを見つけたが貴方のモノかと問えば邪険にはしないだろう。レファピテル、違うか」

「そうですね。ちょうど火の神々の書籍が届いたばかりですしね。良いかも知れませんね」

「聞いて自分のだとなって、サリアへ行ってくれれば良いけど、居座ったらどうするの? 新しく神殿を建てるの?」

「別々なら建てても良いと考えます。今後必要になるコトもあるので、今回ついでに風と土の神々の神殿も建てても良いかと思いますね」

「そうだね。今なら建物を壊さなくても、適度な距離感で配置するコトが出来るよね」


 コチャンティルを呼ぶとなれば、全ての問題が片付く。

 片付かないモノは、神殿を建てる時に風や土の神に聞けばよい。

 イルーツには、四大属性に闇の神殿があるのだからね。

 今後、唯一残っている光の神が使う神殿も、建てるコトになるだろうかなぁ。


「召喚をしたり、神殿を建てる場所を決めたりするのはヴェルゼーアが居るときにしようよ。それまでに本を配れる状態にしよう」

「そうだな。今回は騒ぎにはならないと思うが、こればかりはどうなるか解らんからな」

 ビブラエスが苦々しく言った。

 本当に何度もハルメニア王国の国王に呼ばれているコトが、私には懲り懲りって感じがした。


 やはり内容のチェックには一カ月近くがかかった。

 その本は直ぐにレファピテルが複製をして、図書館に置いてもらう手はずを整えた。


 ヴェルゼーアも今はイルーツにいる。

 いつ呼び出しがあるかが判らないので、今日コチャンティルを召喚するコトにした。


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