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235 泉を発見する?

 イルーツに戻った私は、レファピテルにあのマークのコトやサリアで手に入れた書籍を見せて話をしている。


「ここいらでは知られていない内容もありますね。それでも図書館に置くのですか」

「置くつもりだけど、マズいかなぁ」

「これらの内容はサリアに行けば周知の事実ですが、今聞いた話ですと行くのが大変ですよね」

「そうなんだよ。カヌーでも二週間は係るからね」

「馬だとその倍以上ですね。それがここでも読めると言うのは……それに戦いなどにも応用出来そうなモノもありますから、多少なりとも心配ですね」

「そうだね。それは心配だよね。ならば最初は、一般に公開しなくても良いよ。ガシララ王朝の歴史書や神々についてと同じで、内容を吟味したモノを公開しても良いしね」

「それが良いでしょう」


 魔法と魔法陣については、私とレファピテルが内容をチェックして、公開する本を作るコトになった。

 同時に、ゴーレムやホムンクルスについて私たちがまとめた本にも、加筆修正をしておく。

「レファピテルも自分で蔵書を見た方が良いと思うから、今から一回行こうか」

「お願いしますね」

 私はレファピテルと一緒にサリアの近くに転移した。


「あすこがサリアだよ。街の中は自分で探索してね」

「判りました。帰りは私が魔法をかけますよ」

 今度はレファピテルが転移の魔法をかけて、私も一緒にイルーツに戻って来る。


 ビブラエスとアークシュリラがやって来て、ビブラエスが言った。


「この唐辛子は、ここのモノより随分と辛いな」

「そうなの」

「ゼファーブルは食べてないのか」

「食べてないよ」

「でも、料理によっては、良いアクセントになるな」

「だから幾つかの種類は、種を取って農園で栽培をしてみるよ。栽培が出来なくても、もうビブラエスなら一人で買い付けに行けるよね」

「転移ではアークシュリラとさっき行ったが、近いうちに一度カヌーでも行くつもりだ」

 ビブラエスは一人で行くのかなぁ。

 まぁ私としては、鏡の件が終わればサリアに行く必要性はあまりないけど、ビブラエスはあるのかなぁ。


 私たちはイルーツで数日の間のんびりと過ごした。

 決して神殿に行くのを諦めた訳ではない。

 魔法や魔法陣の本について、レファピテルと相談する内容があったからだよ。

 実際にそれを試すのは一人でも出来るが、ゴーレムやホムンクルスの弱点につながる内容をチェックしていたからね。

 一人では見逃してしまう内容も二人でチェックをすれば、かなりの確率でそれを防げる。


 だいたい終わったので、私とアークシュリラは再度砂漠地帯へ行った。

「三つの泉があると言ってたから、直ぐに見つかるよね」

 アークシュリラは楽観的にそう言ってきた。

「そんだけ場所が特定出来るのなら、崇拝しなくても観光施設として公開すれば良いのにね」

「じゃ、ゼファーブルは直ぐに見つからないと言うの?」

「さすがに泉はあると思うけどね」


 しばらく飛行をしていると湖が見えた。

 湖と言ったのは、その大きさからだよ。


「あれがギルドの人が言っていた泉なのかなぁ」

「ゼファーブル、あれって一つしかないよ。話では三つの中心と言っていたよね」

「じゃ、他の二つは? それとも、これじゃないの?」

「今回はそれほど飛んでないから、先へ行ってみようか」

「そうだね。アークシュリラ、変なん魔力を感じたら教えてね」

「この距離で魔力を感じるのは、魔法を打ち合っている時ぐらいだよ」

 私たちはサーブルヴェールドゥテールが突然砂を吐き出しても良いように、結構な高度を維持して飛行していた。

 そのタメにかなりの範囲を確認出来る反面、巨大な魔物がいること以外の地上で起こっていることはほぼ確認できない。


「じゃ、もっと低空を飛ぶ?」

「それも手だけど、ゼファーブルは広範囲探索で水があると判らないの?」

「あまり範囲を広げると、近場の空気中にある水分にも反応しちゃうからね。広範囲探索は、だいたいが地中の物質を探すモノだよ」

「やっぱり、範囲を広げるとそうなるよね」


 それでも私たちは湖を中心に、他に湖がないか捜索をした。

 そして二つ目の湖を発見出来たが、残りの一つがない。

「これは湖じゃなくて、池だよね」

「昔はもっと大きくて、これも湖だったのかもね」

「二つじゃ、中心部は解らないよ」

「でも、この二つの中間を真っ直ぐに飛べば、その線上に神殿は有るんだよね」

「はるか昔だから、今は砂の中かもよ」

「そうなると、範囲を狭めてナン度も地中を捜索するしかないよね。いつもの様に発掘(アウスカーボン)じゃ、地上に出てきちゃうしね」


 発掘(アウスカーボン)は地中にあるものを地上にだす魔法だから、構造物の全てが地上に出現する。玄関のみとか屋上だけと云う便利な使い方は出来ない。


「こんだけ探しても湖も建物もないね。祀るのを止めた時に、破壊したと云うコトは無いよね」

「そう言う可能性はあるよね。破壊の方法にもよるけど、跡形も残ってない状態ってコトも考えられるね」

 図書館にあった魔法や魔法陣の内容は、今の私たちでも公開をためらうモノもあった。

 それを当然の様に公開している国なので、建物自体を跡形もなく消し去るコトが出来たと考えた方が良いのかもね。


「そうだよね。でも、ギルドの人は既に破壊されているとは言ってなかったよ。破壊して跡形もないならそう言ってくれないと、私たち見たいに昔の神殿に行くモノがいるかもね。そして戻って来たらきっと事件になるよ」

「しかし、泉は三つと言っていたけど、ここには二つしか無いじゃん。なので細かいコトは知らないと考えた方が良いかもね」


 本当にギルドの人は現状を知らなかったのか、あるいは私たちがいる所が違っていて、ギルドの人が言う通り今も泉は三つ実在しているのかだけど……

 どちらが可能性として高いかなぁ。


「アークシュリラ。ここじゃ無いのかもよ。更に先ってコトはないかなぁ。一つ目も泉じゃなくて、あれを説明するなら湖だよね」

 アークシュリラは少し考えてから言った。


「確かにね。あれは泉じゃなくて、大きさから言って湖だよね。それにこの距離ならカヌーが無くても、無理をすれば調べに来られるよね。なので曖昧なことを教える必要は無いね」

 そうだ、ここにはヴェルブリュートがいる。速度はカヌーほどでは無いモノの、この距離なら決して来られない距離ではない。

 それに砂漠地帯を抜けて、別の街や国へ行く方がはるかに遠い。

 その上、この湖と池は水が湧いている様には思えなかった。でも、川の流入が無いので、絶対に地下水かナニかが染み出ているハズだけどね。

 また、それが蒸発する量と釣り合っているから、川となって流れ出してもいないだけと思う。

 泉と云えば泉なんだけど……

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