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233 ギルドで聞き込み

 私たちは食事を終えて、部屋に戻るコトにした。


「冒険者みたいな人たちが、私たちを見てたよね」

 部屋に戻ると直ぐにアークシュリラが言ってきた。

「うん、そうだね。魔力はそれ程では無かったけど、砂漠を渡って来たんだから実力はあると思うよ」

「そうだね。あの人たちはカヌーでの飛行じゃ無いから、ここまで一カ月近く掛けて来たんだよね」


 馬……イヤ、ヴェルブリュートを使ってもそれぐらいはかかる。

 まして徒歩だと二カ月以上を有するだろう。

 そんな中、魔物に一回も遭遇しない訳がない。

 一度ならず幾度となく、凶悪な魔物に遭っているハズだ。

 更に、ここにいると云うことは、魔物との戦いに勝てなくても、逃げ切るコトは出来る技量があると考えるべきだよね。


「ナンか用事がある感じでは無いから、ここまで来る冒険者が珍しかったのかもよ」

「それもそうだね。この付近はスコーピオンたちがいる処だからね」


 そんな話をしながら魔物から襲われないと言う安心感から、緊張が緩んだ状態の私たちは、いつしか寝入ってしまい気付くと朝を迎えていた。


「今日は、先ずは教会か神殿だね」

「もう一回ギルドへ行って聞いてみようか」

「大きな教会や神殿らしき建物は上空から見えなかったから、それで良いよ」


 私たちは朝食をとってからギルドへ向かった。

 昨日、宿屋を聞いたモノが受付にいたので、私たちはそのモノの所へ行った。


「昨日教えてもらった宿屋はとても快適だったよ。本当にありがとうね」

「それはよかったです。今日は依頼の相談ですか」

「誰も受けないで、困っている依頼でもあるの?」

「無くは無いですが……」

「先にこの街に来た目的を済ましたら相談に乗っても良いけどね。で、この国に火の神様を祀る神殿はある? それとこの国の国教はナニ? その教会はどこにあるの?」

「えぇと。ここで無くあちらの面談スペースで対応しても良いですか」

「私たちは教えてくれるなら、どこでも構わないよ」

「そうですか――」

 受付をしていたモノはそう言って、受付を他のモノに変わってもらい場所を移動した。


「それでは、最初に火の神を祀っている神殿ですが、今はありません」

「今はと云うことは、昔はあったの?」

「はい。数千年も前には在りました」

「数千年と云うことは、闇の神と光の神が戦ったころ?」

「更に前と云われています。その戦いに連なっているらしいですが、この国の伝承も途切れ途切れとなってしまっていますからね」


「じゃ、その神殿があった場所は判らないの?」

「東にオリタリヌと云う三つの泉があります。その中心にあったと伝わっていますね。今は泉があるだけで、ナニも無いですが……」

 三つの泉ねぇ、直ぐに見つかるかなぁ。

 その場所を探し出してから、神殿を見付けないと行けないしなぁ。


「そう。じゃ、国教の方は?」

「サリアの国教は水の神サラステーヴァを信仰しています。その中心的な教会は中央広場に面していますので、行けば判ると思います」

「それは昔からなの」

「太古の時代は判りませんが、昔は晴天の神であるアグステルバを崇拝していました。今では信じられませんが、その当時のこの地は草木の生い茂る所だったそうで、雨や曇りによる作物の不作を防ぐ意味合いが高かったのでしょう。そして今は先ほどのサラステーヴァを祀っています」


「ありがとう、よく判ったよ。ギルドの人って、全員がこんなに街のコトを知っているの?」

「ここのギルドは特別ですね。なんせこんな砂漠の中にある街なので、ギルドマスターの方針で訪れた冒険者のためになる情報を提供しようと研修とかを日々行っています」

「そうだったんだね、とても助かったよ。それで誰も受けない依頼ってナニ? 私たちも準備が必要だから教えてくれる?」

「少しお待ち下さい」

 そう言ってギルドの人は、カウンターの奥に引き上げていった。


 少し待っているとそのモノが再度やって来て、二枚の紙を私たちに渡した。

「最初のが、ここから砂漠地帯以外への街道整備です」

「これって国やギルドの仕事でしょ」

「普通ならそうですが、街道を作っても直ぐに砂に埋もれて仕舞うので、強力な魔法で埋もれない街道を作る仕事です。工事期間中の魔物退治も成功報酬に加算されます」

「1プラチナ貨となっているけど、更にもらえるってこと?」

「そうなります。もう一枚が方法は問いませんが、この地を肥沃な土地にすることです」

「それは人々では無理だよ」

「そうです。なので依頼主に出来ないコトを納得させるコトになりますね」

「依頼主ってこの人?」

「そうです。この国に長く生きている錬金術師(アルケミスト)の方です。年齢的なものか生まれつきかは判りませんが、とても頑固ですから私たちも納得して頂くのは諦めました」

「相手が頑固でも、話し合いだけだよね」

「大きな声では言えないのですが、残念ながら話し合いの最中に気分を害したらしく、ケガを負う場合も有りますし既に死亡したモノが何名もいます」

「これの成功報酬は全ての知識となっているけど、どう言う意味?」

「その方が所持している書物、全てですね」


 私はアークシュリラの方を見た。

「まさか受けないよね。私たちでは無理だよ」

 アークシュリラが言って来た。


「もし、この地が砂漠で無くなったら、街道整備は簡単に出来るよね。それでも報酬は変わらないの」

「受託後に状況が変わっても、報酬を変更するコトはありません」

「判ったよ。考えてみるよ」


 私たちはギルドを出て、中央広場へいった。

 中央広場の傍にあった露店で野菜を揚げたモノを買って、広場の一角に腰を下ろす。

 野菜の揚げたモノはサクサクとしていて、ポテトチップの様に薄くなく、かといってただの素揚げとも違う。

「ゼファーブル。これはコショウなど様々な香辛料を効かしているから美味しいね」

「野菜によって、食感が違うから面白くもあるね」

 二人でそれをつまみながら、国教の教会を眺める。

「マーク自体が違うみたいだね」

「だったら、見学は後で良いね」

 再度、野菜を揚げたモノを摘まんで、口の中に入れた。

 朝食は食べたが、小腹は減る。


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