230 砂漠を捜索する
アークシュリラに今まで調べた情報をリスト化したモノを見せて、お互いが知っているコトや思ったコトを言い合いながら現地に行く順番を決めていく。
「ゼファーブル。だったら、この順番に行こうか」
「そうだね。砂漠と鏡は直接関連は無いけど、あすこにあったからね」
私たちは、先ずあの砂漠にあるサリアと云う国に行くコトにした。
その国のマークが鏡のマークと同じなら、昔に紛失したか捨てたモノと云う可能性が大きいからね。
それに他の場所よりか同じ砂漠にある国なので、あの鏡に関係する可能性が大きいと思えたからだよ。
私たちは、ビブラエスとレファピテルに断ってから出発をした。
別に今回の旅が長期になりそうだと感じた訳ではなく、二人からあのマークについて進展があったかと聞かれたからだよ。
二人も気になっていた様だね。
前回は散歩の延長だったが、今回は目的地があるので小旅行だ。
なので事前にサリアの場所などは調べてある。
「サリアって砂漠地帯のほぼ中央にあるってコトは、前回の所よりか南なの」
「良く判らないけど、南だと思うよ」
「見付けられるかなぁ」
「生き物に取って水は必要だから、傍に湖か川があると思うんだよ。それを見付けて周辺を探せば小さな街でも見つかると思うよ」
「それもそうだよね。しかし、わざわざスコーピオンなどの強い魔物がいる所でなく、この草原に引っ越せば良いのにね」
この草原にも河は流れているから、定住するコトは出来る。
田畑を作れば、狩猟をせずとも安定的に食べ物を確保するコトも可能だ。
「本当にね」
アークシュリラの言うコトは一理ある。
周囲に国々が密集している処では、移転などをするコトは簡単ではない。
しかし、ここら辺に国や街はないので、移転をしようと思えば移転は出来る。
それをしないのは、何らかの理由があって動けないと云うコトだと思う。
「やっと砂漠地帯になったね」
「このまま真っ直ぐに進もうか」
サリアが砂漠地帯の中央付近にある以外の情報を入手出来ていないので、一応この砂漠の大きさを知らないコトには中央付近に辿り着けない。
砂漠の広さが私たちの想像を超えていたら、いい加減に飛行をしていては絶対に見付ける事は不可能だ。
しかし、カヌーで空から見ているので、遠くに町並みか湖や川が見えれば、砂漠の正確な大きさなど判らなくても構わない。
たとえその川が違っていても、川の流域を調べていけば村や集落の一つくらいは砂漠の中でもあるだろう。
そこでサリアの場所を聞いても良い。
「そうだね。目印がないから、それしか方法はないよね」
私たちはカヌーで前方の遠くを見たり、左右を眺めたりしながら進んでいる。
当初は直ぐに川があるだろうと楽観視していたが、進めども湖はおろか一向に小さな川すらない。
これは砂漠を真面目に、測量しないとダメなのかも知れないかなぁ。
だったら連の北側にある、モンドリアへ先に行った方が良かったかも知れないなぁ。
あっちなら、街道など目印は沢山ありそうだからね。
私がまずったと思っているとアークシュリラが、私に聞いてきた。
「ゼファーブル。もしサリアの紋章があれだったら、どこの神殿に鏡を納めるの?」
「国の紋章なら国教かも知れないから、その中心的なヤツかなぁ。でも、それだと無人と云うコトはないよね」
「そうだね。私たちが国主の処に行っても、相手すらしてくれないと思うんだよ。そうなったら力技でやるの」
「それだと、問題が多いよね」
「じゃ、どうするの?」
「夜間とか人が居ない時かなぁ。でも、これが捨てられたモノだったら、勝手に納めるコトはしないよ」
ナニかの問題があって、神殿に飾るのを止めたのなら、私たちが勝手に安置するコトは出来ない。いや、してはならない。
「そうだね。鏡が無くなった理由を調べないといけないよね。もし、盗られたのなら、渡せば正しい位置に置いてくれると思うけど、捨てたのなら渡したらダメだよね」
「先ずは、このマークが国の紋章かどうかだね。もし、そうなら砂漠の中にあった理由を調べないといけなくなるね」
違うなら問題はない。次の目的地に行くだけだからね。
もし、国章だったら私たちが調べるよりか、ビブラエスに調査を依頼した方が確実だから良いのかも知れない。
でも、今から考える必要はないけど……上手く行く方法、最善手を考えて仕舞うのは、私の性格なので仕方ない。
ここまで来て、ああだこうだと言ってはいられない、そこは後先を考えないアークシュリラを見習って行動するのみだよね。
ヴェルゼーアたちだって最善手を考えて行動をしていると思うけど、私からすると一か八かの賭けに出るコトもあるよね。
何日か飛行しているが、未だに砂漠は終わらない。
私たちみたいに砂漠地帯に入ったモノで無くて、アークシュリラの様に初めて降り立ったのがこの地だったら、この星はまるで全てが砂漠しか無い様な気がするだろうな。
などと考えながらも右を見たり、左を眺めたりもしている。
カヌーの飛行も最近は慣れたこともあり、大型の魔物に襲われなければ空中で停止も出来る様になっている。
その為に数時間なら地上に着陸して休息をしなくても、そのまま空中で休むコトも出来る。
でも、火を熾しての煮炊きは空中では不可能なので、食事を作るときは地上に降りないといけないけどね。
おにぎりや干し肉などの火を使わない食事なら、ずっと空中にいることが可能なのでスコーピオンやサーブルミルパーツなどの凶悪な魔物と遭遇する割合を随分と減らすことはできる。
「まだ砂漠は終わらないし、川も無いね」
「ないね」
「本当に、ここって人が住んで居るの?」
「今も居るはずだよ。だって旅人の情報だし、セファニラにあるギルドでも確認したからね」
セファニラのギルドで確認したら、サリアにもギルドはあるとのコトだった。
街自体が無ければ、ギルドも存在しないと思うけどね。
それとも既に街はなくて、砂漠で迷ったモノのタメにギルドだけ建物が建っているのかも知れない。
どちらにしても、ナンらかの建物はあるハズだ。