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229 鏡にあったマークを調べる

 私たちはイルーツに戻って、ビブラエスを探して尋ねた。

「ビブラエス、火の神々についての書物はまだ届いてないの」

「まだだな。ゼファーブルが神々のコトを尋ねて来るとは、ナニかあったのか」

「うん、これを南に行った処にある砂漠で拾ったんだよ」

 私はアイテム袋から箱を取り出して、ビブラエスにそれを渡した。


「石造りでこんな彫刻があるなんて、珍しいモノだな」

「そうなんだよ。開けてみて」

 ビブラエスは箱の蓋を取って、中を覗いた。


「鏡か」

「そうだと思うけど、このマークを調べたかったんだよ」

「どうして、火の神なんだ?」

「蓋の内側に神殿にって書いてあるから、そう思ったんだよ」

 ビブラエスは蓋を見てから言った。

「このマークが太陽を示しているなら、火の神でなく光の神じゃないのか」

「えっ、そうだよね。太陽なら火でなくて光だよね。でも、このマークはアシュミコルが送ってきた魔法使いが着ていた、真っ赤なローブの腕にあったマークだと思うんだよ」

「それで、このマークをシンボルにしている神が、誰かと知りたいと言うことだな」

「そう」

「でも、太陽の神はこんなマークじゃなかったと思うぞ。でも、アシュミコルが関係するなら火の神だな」

 ビブラエスはアイテム袋から光の神々について書かれた原本を取り出して、太陽の神のページを見つけて私に渡して来た。


「確かに違うね」

 太陽の神ラセスの所にあったマークは、二重の円を囲む様に四方へ大きな楔状のモノが出ていて、その間にそれより小さな楔形の文様があるモノだった。


「これは太陽ではないのかもな。だとしたら火の神々の仲間と言うこともあるけど……」

 ビブラエスはそう言ったが、私にはビブラエスがなんだか腑に落ちていない感じがした。

「ありがとう。火の神々についての本が届いたら教えてね。また手伝うから」

「判った。その時は頼むな」


 私はビブラエスと別れて、広場にあるベンチに腰を下ろした。


 このマークは太陽だと思うんだけど、今の太陽神が使用しているマークとは違うしなぁ。

 それじゃ、一体全体どの神殿に納めれば良いのだろうか。

 もう一度箱の蓋に書かれている文字を見るが、どう見ても神殿に納めろとしか読めない。

 それに他に文字は書かれていないし、その部分が加工された形跡も無い。


 だけど、ビブラエスが言ったように太陽神なら光の神々であって、決して火の神々ではない。

 昔は火の神々だったのかなぁ。

 それじゃ、あの魔法使いは未練がましく、昔に使っていた真っ赤なローブを着ているコトになってしまう。

 そんな訳は絶対にないと思う。

 神々の世界ならば昔の衣装を着ていても良いが、他の場所に現れる時は今の衣装を着ると思う。

 そうしないと人々や魔物などに誰だか判らないからね。

 だとすれば、あのローブは最新のモノのハズだし、腕のマークも今も使って居ると考えるのが正しいと感じる。


 ならば、これは光と闇の神々が戦った時に紛失した法具なのだろうかなぁ。

 そもそも火の神って、その戦いに参加していなかったのではないだろうか。

 私が知らないだけで、それ以外の時に他に神々が戦ったコトは無かったのかなぁ。

 考えれば考えるほど、こんがらがってくる。


 もしかしたら戦いでは無くって、光の神が自分たちの影響力を増やすタメに、火の神の処から持ち出してあの砂漠に隠したのかなぁ。

 だったら返した方が良いよね。

 と思うが、やはり召喚する踏ん切りがつかない。

 アークシュリラは鏡自体からは魔力を感じないと言っていたけど、理由はないが私にはこれがとても大切なモノと感じるからね。


 私はこのマークを知っていたら教えてと云う、チラシを貼る許可を街の運営しているモノにもらって、食堂などの掲示板などにチラシを掲示した。


 これで貴重な情報が入ればいいけどなぁ。

 神殿の場所は判らなくても、ナニのマークかが判れば先に進める。

 情報料として神殿の場所なら食堂利用券10枚で、ナニのマークかだけなら同じく5枚とした。

 ガセネタかどうかは、私を始めここにいるモノではチェック出来ないので、話してくれた時点で情報料の券は渡してもらうコトにした。

 私もただ漠然と情報が来るのを待っているコトはない。

 当然、ハルメニアやセファニラなどの街にある図書館やギルドなどに行って、このマークがなんであるかを調べている。

 ギルドで聞く場合は紙に写し取って、さすがに鏡や箱の実物を見せるコトはしていないよ。


 似ているマークを使っている国や街は結構見つけたが、全く同じ紋様はなかった。

 そこで、私はご神体でなく、法具に鏡を使う宗教にも捜索の範囲を広げた。

 それは、ご神体ならナンとか神殿に祀れと記すハズで、決して納めよではないと思ったからだよ。


 そう言っても、信者でもないモノに貴重な法具を見せてくれたり、作法を教えてくれたりする処は少ない。

 なので一般に公開されている所から見学をしたり、興味がある振りをして神官たちに日課などを聞いたりしている。


 食事券に釣られた旅人や冒険者からの情報も、結構な数が届いている様だった。

 それらの精査もしないとならない。

 食事券ならどんなに提供しても私は平気だが、正解が既に来ているのに続けているコトは、情報を受け付ける人々に悪いからね。


 そんなコトをしていたお陰で、数件の有力情報は手に入っている。

 行くのなら近くからと云うコトはしないが、傍なら一度に行った方が良いだろう。

 その集まった情報を先ず図書館で調べて、間違いやあからさまな勘違いを除いていった。

 そして私は、現地に行かないと判断出来ない情報をリスト化して行く。

 後はアークシュリラと相談をして、実際にどこから確認に行くか決めるだけかなぁ。


 私はアークシュリラの処へ行って、リスト化したモノを見せる。

「これが、太陽のマークについての情報をリスト化したモノだよ」

 アークシュリラはそのリストを見てから言った。

「サリアって、あの砂漠にある国なんだね。今は小さい国みたいらしいけど……」

「そう、ガシララ王朝とは違う国の様だし、ここら辺と取り引きもしていないから、図書館や街では詳細は判らなかったよ」

「そうだね。詳細が判ればマークが同じかくらい判るよね」


「後は他の大陸ってのもあるけど、人々なら違う大陸へ持って来ないと思うんだよ」

「人々ならね、神々なら別だよね。でも、太陽神か火の神の処から持ち出して、砂漠に隠すかなぁ。私なら水中にするよ」


 アークシュリラと私はイロイロと思ったコトを言って、見に行く順番を決めていった。

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