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22 いったい誰が黒幕なの

 私たちは山の中を歩いて、モランデティスの居ると思う場所へ来ている。

 周辺にナニが有るかは大体判った。

 それにしてもモランデティスほどの巨体が隠れられる場所は、そんなに多くは無いと思うけどなぁ。

 私はモランデティスを発見出来ずにいた。


「アークシュリラ。モランデティスはどこにいるんだろうね」

「ゼファーブル、寝ぼけているの? あすこにいるよ」

「えっ。どこ?」

 アークシュリラは森の入り口にあたる、平原との境を指差した。

 私は、その方向を注視した。


「あっ。いた」

「あれが見えなかったって、一体ナニを見ているの? 自分のために目薬を作った方が良いんじゃないの」

 モランデティスたちは、大人しく平原との境で数匹が仲良くしていた。

 あれが戦士たちと昨日も戦っていたモノなのかなぁ。

 なんだか優しそうだね。

 多分ここに住んでいるなら、平原だけでなく森の中にも行くこともあるだろう。


「アークシュリラ。モランデティスは、なんでドワーフの村に行ったんだろうね」

「そうだね。もっと仲間が多くいるのなら食料調達ってことも考えられるけど、あの数だよね。それにここなら鹿やイノシシ、平原ならマダーフォンやウルフとかを捕まえていれば充分に暮らせそうだよね」

「それと……この山はどこの国でもないから、退治されるってこともないよね」

「そこは冒険者次第じゃないの」


 冒険者は自分の都合で魔物を狩っているから、どこの国でもないと言って安心は出来ないと言うことだね。

 その動物たちを保護したければ、国とかなら――自分の領土であるなら法律を作って退治されない様にすることも出来る。

 自分の領土でない場合は……それによって戦をするのは考え物だけどね。

 そこは退治されないことを祈るしか、私には出来ない。


「そうだったね。冒険者はどこでも魔物を退治するよね。で、教会はこの山全部を自分のモノにしたかったのかなぁ」

「教会がこんなにも広大な土地を欲するとは考えにくいけど、確かに双方は戦っていたよね。そうなるとお互いを戦わして得をするのは誰だろう」

「得?」

「双方に戦う理由が無ければ、普通は第三者が絡んでいるって考えない?」

「あっ、なるほど。教会が勝てばこの山そのモノは自分の土地になるけど……でも、教会は領土的野心は無いと思う。だとすると誰?」

 ドワーフの人々が教会に頼んだとは思えない。だとすると神殿かなぁ。


「私の考えではイファーセル国の誰かと思うよ。教会に山まで領地にすれば国に入れてやるとか言ったのかも知れないね。それに編入されるなら少しでも領地が広い方が発言権も増すからね」

「確かにそうかも知れないね。あすこはエンラント王国とすれば山の向こう側になるから、何かあっても直ぐには助けられ無いよね。その上、エンラント王国は砦の辺りが国境線だから、ここからだと随分離れて居るよね」

 なのでモランデティスはエンラント王国から支援を受けて戦っている訳ではなく、自分たちだけで教会と戦って居る事になるね。

 やはり戦士がやって来たから戦っているのだろう。


「そうだね。私たちで双方が戦うのをやめさせることは出来るけど、私の考え通りだとしたら上手く立ち回らないとイファーセル国から目をつけられるよね」

「それってイファーセル国が裏で糸を引いていると言うの?」

「そう言ってるけど、他にどういう解釈ができるって言うの?」

「そうだけど……目を付けられても、私たちは困ることはないよね」

「イファーセル国内へ行かなければ良いけど、エマルダはイファーセル国だよね」

「そうだけど、エマルダにはイファーセル国の役人はほぼいないから大丈夫じゃないかなぁ」

「今はいないってことだよね。同じ国内だから、明日には駐屯しているかも知れないよ」

「確かにね。それじゃ民に影響が出てないから、もう放置で良くない」

「それも一案で良いかと思うよ」


 私個人としては、イファーセル国内を旅することはないが、エマルダへはまた来ると思う。

 なので、アンデッドが襲撃するのをやめさせて、イファーセル国の誰かに狙われるのは良くない。それに教会も黙っていないだろう。

 エンラント王国は今回の戦いには全く係わっていないから、そこから文句を言われることはないと思う。

 沢山の思惑が入り混じっているから、争いを止めれば済む訳ではないんだね。

 なにも悪い事をしていなかったモランデティスには可哀想だけど……


「アークシュリラはどうしたら良いと思うの」

「私はアンデッドを操っているモノだけでも、やっつけたいね」

「そのモノを退治しても、次のモノが出てくるよ」

「そうかもね。ここに居る全員を退治してもダメだよね」

「教会に居る人々を全員捕まえてもダメだろうね。それに教会内部だと日中でもアンデッドを操られたらと考えると、直ぐには無理でも人魂をやっつけられるように、私もエレメントに対処出来る魔法の勉強をするよ。それからでも良くない」


「そうか、それは考えなかったよ。教会内だと逆結界を張っていたら、アンデッドも日中だからといって安心出来ないよね」

「で、アークシュリラは教会の礼拝堂ってどこも同じって言ってたけど、建物の他も同じなの?」

「教会によるかなぁ。そこで一番偉いのが誰かによるよ」

「それって、どう言うこと」


司教(ビショップ)司祭(プリースト)によって変わるかなぁ。あの場所が何かの聖地ってことはないと思うので、大司教(アーチビショップ)ってことはないと思うけどね」

「変わるのね」

「変わったらマズいの?」

「忍び込むとしても、間取りを知っていると知らないでは違うでしょ」

「ゼファーブルは教会に忍び込む気なの?」

「うん、それも面白いかなぁって思ったんだよ」


「でも、司教(ビショップ)司祭(プリースト)の違いで一番大きいのは、居る聖職者の数が違うことだよ。私は建物の間取りより、そっちの方が問題だと思うよ」

「じゃ、宿に戻ってから作戦を考えようよ」


 私たちは宿に戻ってきた。

 そしてアークシュリラと一緒に私は紙に簡単な地図とかを書いて、ここ数日で判った情報を整理した。

 そして、教会の一番偉い人の役職や神殿と教会の関係とか、私たちが知りたいことを別の紙に書いていった。

 そして村人なら誰でも知っているモノと、神殿や教会の人に聞けば簡単に教えてくれると思うことに印を付ける。

 印のつかなかったモノが、今の私たちでは簡単に調べられないことになる。

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