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217 ヴェルゼーア、ハルメニア王国へ行く

今回は、いつもと違いヴェルゼーアの視点です。

 エンラント帝国の軍隊が来て、セグールの村が併合されそうに成っていた事件は無事に解決した。

 そもそも村長にそれをナンとかして欲しいと、ゼファーブルたちが依頼されたのがコトの始まりだから、ゼファーブルたちはセグールへ村長らやベガトルらに結果の報告をするために行った。


 確かに私もほぼ同じ時に、エルドマに居た旅のモノに聞いていたけど……


 依頼を受けたコトを、どうのこうのと云うつもりはない。

 私だってルルグス……イヤ、エルドマが併合されそうになっていれば、たとえレファピテルやビブラエスが反対しても、一人でエンラント帝国の侵攻を防ぐ戦いをしただろう。


 結果は、エンラント帝国が元の王国に戻ったし、私たちもエンラント王国に顔馴染みのモノが出来て良かったと思う。

 特別貴族だけは余分だったけどな。


 私はクーリツァを渡しに、ハルメニア王国へ向かっている。

 カヌーでハルメニア王国に行くのは、本当に久しぶりだ。

 いつもなら王都ハルメニアに転移をするが、軍隊の侵攻が有ったコトで地上の様子を見たかった。

 それでレファピテルに無理を云って、今回はカヌーでの移動にしてもらった。

 どうせ私たちが行って話す内容は、事前に書状で連絡済みだから急いで行くことも無い。

 数日だが検討する時間を、リルファンに与えても良いだろう。


 ハルメニア王国内でも卵は食べるが、やはり高価な食材だ。

 そこで、ハルメニア王国でクーリツァを飼うコトで安価になれば、庶民も食べるコトが出来ると思う。

 父の領土であっても勝手に飼育することは、ベンネやヘンブンの卵を販売に携わっているモノの生活に影響を与えるから、さすがに私の一存では出来ない。


 それと、いくら安くなったとしても、料理方法を知らなければ誰も買うことは無い。


 レファピテルやビブラエスたちは幾つかの玉子料理を知っているが、庶民ならほとんど食べないから料理方法も知らないだろう。

 なので、二人には簡単にできる玉子料理のレシピを、いくつか書いてもらった。


 アークシュリラだったら、もっと簡単な玉子料理も知っているかも知れない。

 事前に頼んでおけば良かったと、何日かして後悔をした。

 アークシュリラが私たちが知らないコトを色々知っているのは、地球と云う星から来たからだ。


 その地球と云うところの様子は、エリロヘルスの処へ行ってからたまに見ることがある。

 確かにここより便利なモノも有りそうだし、食べ物も美味しそうだった。

 名前が判らないので、アークシュリラに聞くことは出来ないが……

 レファピテルやビブラエスなら、見れば作れるかも知れない。


 でも、私にはその星は住みにくそうな場所と云う感じがして、そこで暮らしたいとは思わなかった。

 住んだら、とても良いところと云うこともある。

 確かに、食わず嫌いかも知れないけどな。


 何日か野宿をして、そろそろハルメニア王国の領土が見えて来た。


「レファピテル。特段、問題になる所はないな」

「そうですね。このまま王城へ行きますか、それとも大公の処ですか」

 ハルメニア王国では徐々に貴族制は廃止されているので、既に父は公爵ではないしハルメニア王国内でも大公と云う役職も廃止されたが、レファピテルたちは未だに元の役職である大公と呼んでいる。

「王城でよいだろう。そろそろ、私たちも馬に乗り換えるか」

「そうですね。カヌーでは行けませんモノね」


 カヌーは非常に高価だが、ハルメニア王国内でも作られている。

 だがしかし、飛行出来る場所も限られているので、街中で乗り回すにはあまり便利とは言えない。

 なので、貴族の間でも全く普及はしていない。


 レファピテルならカヌーで王城や国の重要施設の周囲や、上空を飛行させない魔法を施すコトも出来るだろう。

 ゼファーブルたちも暗に禁止するより、違う方策を考えると思う。

 もし、その様な重要施設を敵や反乱軍にカヌーで攻められても、対処が出来ているからその方が国のためにもなる。


 だが国のモノは相変わらず、簡単に禁止とする。

 私も以前なら禁止一択だったろう。

 ゼファーブルたちに会って、今は少し考える様になった。


 私たちも街の傍で馬に乗り換えて、王城を目指した。

 特段なにもなく私たちは王城に着き、謁見の間でなく応接室でリルファンに面会をするコトになった。

 まずはクーリツァを見せなければ、話は始まらない。

 レファピテルがアイテム袋からクーリツァと卵を取り出して、リルファンに渡す。


「これが、先日連絡したクーリツァだ」

「これが、そうなのか。卵は普通の大きさだな。それに鳥は全然暴れないな」

「池か湖が必要だが、鳥自体は大人しいぞ」

「そうか。それでここに何匹、置いていくつもりだ」

「5匹だな。しかし、毎日卵を産むから、増やすなら20日も放って置けばヒナが孵るぞ」


「オスを入れなければ、孵るコトはないのだろう」

「ベンネやヘンブンと違いクーリツァはメスだけ飼っても、オスになるモノが出てくるからダメだ」

「そうなのか」


「それと、産んだ卵は二日ぐらいで食べる様にして欲しい」

「あぁ、長くても四日だな。そこは判っている」


「レファピテルとビブラエスが書いた玉子料理のレシピがある。庶民はあまり卵を食べないから教えて欲しい」

「判った。でも安定的に生産出来るまでは、最初は店舗に卸すコトにするか」

「そこは任せるが、早めに庶民が食べられる様にしてくれ」

「判った」


 そして、レファピテルがレシピにある数種類の玉子料理を作り、リルファンがそれを食べる。

「味も変わりはないな。レファピテル、美味しかったよ。二人とも良い土産をありがとう」

「リルファン、どうした。お前らしくないぞ」

「二人はこの国を良くしようとしているのだ、国王としてお礼を言うのは当然だろう」

「そうか」


「ところでガシララ文字などはどうですか」

「あの本か。学者どもが騒いで、うるさかったぞ。全ての図書館に複写して配布したから、今は誰でも読める」

「ありがとうございます」


「また、何か見付けたら持ってきてくれ。それとビブラエスが持ってきた本も、神官どもが色々言っているが書かれているコトは事実なのだろう」

「そうですね。ビブラエスが持ってきた本の内容が正しいです」

「そうか。この国に伝わる神々で、結構異なる神がいるな」

「そうだな。宗教と云っても、信徒を増やさなければならない。それは仕方ないコトだ」

「そうだがな……」

「ハルメニア王国では国教は決めていないハズだから、特に問題はないだろう」

「貴族の中に信徒がいる」

「あぁ、それらの意見を一々聞いていたら、都合の悪い正しい情報は入って来なくなるぞ」

「そうなのだが……」


 その後、私たちはリルファンにエンラント王国のコトなども話した。

 そして、王城をあとにした。


「ゼファーブルたちなら、ハルメニア王国とエンラント王国間のやり取りをどうするかなぁ」

「そうですね。オブゼントはウィスキーを欲しがってましたが、ハルメニア王国とファリチスでは若干ですが風味が異なります。ですから、きっと両方を送るでしょう」

「しかし、ハルメニア王国の船はエンラント王国へは行っていないぞ。それにオーラガニアなどで補給して貰わないといけないしな」

「商品をオーラガニアへ送って、一緒に運んで貰えば良いのですよ。それが無理ならカヌーの巨大なモノを造るとか、転送装置を改良しても良いですね」


 ゼファーブルは錬金術師(アルケミスト)なので、出来ないと諦めずに新たな方法を見付ける。

 それが相手の居ることであってもだ。

 私の様に邪魔者は排除をするのではなく、居ても手出し出来ない方法や相手が欲する方法を必ず見つけ出す。

 リルファンにはエンラント王国への交易について、先程詳細を伝えたからきっと検討をしてくれるだろう。

 呼ばれれば、何度でも説明に来るつもりだ。


「カヌーの巨大化など、色々な方法を考えて置いてくれ。しかし、エンラント王国に転送装置を設置するのは防衛上良くないかもな」

「判りましたよ、ヴェルゼーア。でも、あなたも考えるのですよ」

「私も考えはするが、残念ながらテストは出来ない。それが出来るかはレファピテルたちで試してくれ」

 私も魔法で簡単なモノ、例えば壁などは作れるが、高度なモノはまだ無理だ。


「はい。でも、私たちがこうして居られるのも、ゼファーブルたちのお陰なのですね」

「そうだな。あの二人は自分たちが中心にならず、いつも私を立ててくれる。今回のハルメニア王国への旅もそうだしな」

「本当なら私たちが脇にいて、ゼファーブルが中心に成ってもおかしくはないですモノね」

「本当にそうだな。私を救うタメに戦って以来ずっとそうだな」

「ヴェルゼーアも、イヤでは無いのでしょう」

「御輿は軽い方が良いからな」

「そんなコトはありませんよう」


「それに、アークシュリラもゼファーブルを心から信頼しているしな」

「ゼファーブルもアークシュリラを信頼していると思いますね」

「そうだな。私たちも、ゼファーブルに嫌われない様にしないといけないな」

「本当にそうですね」


「二人はまた旅をするのか」

「アークシュリラは旅をしたがってましたよ。しかし、少しの間は私たちが旅をするのは無理ですね」

「寂しいが、その時は、また二人だけで行ってもらうしかないだろうな」

「私たちは二人が戻って来た時に、失望させない様にするだけですね」

「しかし、リルファンはまたナニかを持ってこいと言っていたから、エンラント王国との顔合わせが早期に出来れば、私たちも一緒に行けるかもな」

「そうですね。転移をすれば良いのですから、様々なコトに目処がついたらゼファーブルたちには悪いですが、迎えに来てもらっても良いですね」

如何でしたか。

三人称で書けば良いのですが……


この話を書くに当たって、以前に書いた所を読み返して、『西方の拠点の設備』や『ハルメニア王国での貴族制廃止』など忘れていることが多くあることが判りました。

一応、判る範囲で齟齬が起きないようにしたつもりですが、漏れていたら指摘して頂けるとありがたいです。


今後ちょっと出の施設や人物などを使うコトもあるので(他の大陸へ行く訳で無く、半島に居ればどうしても出てきますよね)、やはりプロットまでは行かずとも、備忘録を作った方が良いのかなぁと強く感じました。

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