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209 話し合いが終わる

 私たちは、ガーゼルの居城でエンラント帝国の宰相と話し合っている。


「それでは私たちに接触したのは捕虜の釈放でなく、皇帝……イヤ、魔法使いの駆除をするコトが目的なのか」

「捕虜の返還には、我が国が変わる必要がある。返してもらってからと言うわけにはいくまい」

「それはそうだ」

 捕虜を返還して、やはり国は変わりませんでしたとなったら意味はない。

 その上、前に増して兵隊を派遣されたら目も当てられない。

 だがしかし、国の方針が変わるまでの間、私たちはずっと捕虜を養う気も持ち合わせてはいないよ。


「ワレの配下のモノが調べたところでは、お主らはあの兵隊を意図も簡単に何処かへ消してしまった。多分、魔法なのだろう。だから恥を忍んで頼む。皇帝陛下を救ってくれ」

 ヴェルゼーアは私たちの顔を見てから言った。


「判った。お主らの国が変わる事を信じて、捕らえた兵士は一人残らずここに連れて来る。皇帝がどうなるかは判らんが、魔法使いは一人残らず捕まえる。しかし、兵を返したからと言ってまた攻めてきたら、今度は私たちが全力でエンラント帝国を攻めるからな」

「判りました。皇帝陛下が戻られるまで、この城で兵士を養うことにします」

「国に帰しても良いが、それが一番だな」

 兵士が前線から逃げ帰ったと思われてしまうこともある。

 いくら指揮していたモノが話しても、魔法使いたちがその報告を聞いて的確な判断をするとは限らない。

 命を無駄にしないためにも、ガーゼルの居城にいた方が良いのかも知れない。


 その後、私たちは捕まえた兵隊をガーゼルの居城で釈放して、オブゼントからエンラント帝国の入国許可証をもらった。

 一応、入国許可証を持っていると、ほとんどの公館への立ち入りが自由に出来るらしい。

 もちろん、枢機に関する秘密の場所や皇帝の私邸などには出入り出来ないけどね。

 ビブラエスにとってはあまり必要がないものだけど、それを受け取ってから皇帝のいる街へ戻って行った。


「これならビブラエス一人でも魔法使いを駆除することが出来ると思うけど、私たちはどうする」

 ヴェルゼーアが私たちに尋ねてきた。

「そうですね。魔法使いを生きたまま捕まえるのでないのでしたら、ビブラエス一人でも大丈夫でしょう。しかしオブゼントらは、きっと生きたまま捕まえたがっていますね」

「差し違える気がある様なコトを言っていたけど、本心は違うと思うよ。出来れば自分たちも元の状態になりたいとね」

 レファピテルの言葉の続きを、アークシュリラが言った。

「まぁ、貴族はそんなモノだから、それを非難しても仕方がないな」

 ヴェルゼーアが悲しそうに云った。


「で、ゼファーブルは魔法使いが皇帝を操っていると思う?」

 アークシュリラが私に尋ねてきた。

「多分操ってはいないと思うよ。意識を朦朧とさせて、自分たちがやりたい様にしているだけだと思うけどね」

「もし、そうだとして目的はナンだ」

 ヴェルゼーアが問うたが、その目的は不明だ。

 ヴェルゼーアやアークシュリラの様な剣で戦うモノなら、自分を売り込む機会を増やしていると云うコトも考えられるけどね。

 魔法使いでは、よほど広範囲魔法が得意でない限り、自分が中枢部にいるのなら戦いがない方が好き勝手出来て良いと感じる。


 なので、ヴェルゼーアの問いに対する解答を、今の私……イヤ、私たちは誰一人として答えを持ち合わせてはいないと感じる。


「それは判んないけど、魔法使いを生きたまま捕まえるよね」

 私は素直に答えた。

「出来ればそうしたいな」

「それではレファピテルとゼファーブルが、兵隊と同じ様にすれば直ぐに終わるよね」

 確かに眠らせれば、後は簡単だ。

 それに皇帝の居る処で、剣を振り回して攻撃をするのでないから、問題も起こらないかなぁ。

 あっ、持っているだけでダメとか言っていたっけ……


「それじゃ、眠らして全員を捕まえる? 魔法使いを排除すれば良いのだからね」

「魔法使いは良いとして、皇帝がナンで不死の体を求めたかは解決出来てませんが」

 レファピテルの云う通り、皇帝が魔法使いを集めた目的は不死の体を求めたからだ。

 魔法使いに『不死の体に成れば、ずっと国民を幸せに出来る』と、そそのかされたのかも知れないが、魔法使いが不死の体に成る目的で集められたとしたら、また、同じコトが繰り返される。

 魔法使いが戦いの命令を発しているのと同じで、これもナゾだ。


「皇帝に裁判をするかは判んないけど、きっと魔法使いを捕まえれば裁くよね。だから幾つかの理由も判ると思うよ」

 魔法使いたちに対して、どこまでエンラント帝国できちんと裁判をするかは判らないが、全くナゾのままというコトは無いと思う。

 なので、私はそう言った。


「確かに魔法使いは裁判になると思うが、皇帝はわからんな。もし、皇帝が不死の体を求めた理由が判ったとしても、私たちが皇帝の罪を決めるコトは出来ない。それにエントラント帝国が周囲を攻めなければ私たちの目的は達成だから、あまり他国のコトに首を突っ込む必要もないな」

「そうですね。エントラント帝国が軍隊を派遣しなくなれば、この件は終わりですね」

 皇帝を裁判に掛けることは無いと思う。

 なので捕まえたときにしゃべってもらう以外に、ナゼ不死の体を求めたのかは知ることは出来ない。


「それでは、皇帝たちを捕まえに行こうか」

「そうしよう」「そうですね」


 私たちはエンラント帝国の帝都へ転移した。

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